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もたらされる混沌

修復されたばかりの教会のドアをバーン!と開けてそのろりっこは言い放つ。


「わたしは真央。この世界に混沌をもたらす存在」


そんなろりっこを放置して俺は隣のピンク髪をゆさゆさとゆする。そういえばこの勇者、俺の存在をガン無視してたな。


「おーい、勇者!出番だぞ!」


勇者エリーシャはマキシマムホーリーブレイド・マックスを持ったまま硬直している。足元には先ほどまでなかった水溜りが。


「金髪さん。この人ビビッて漏らしてるんですが…」


「そ、そんな!」


「本当に勇者なのか?」


「ちゃんと面接しましたから!」


いまどきの勇者は面接で選ぶのか?


「ちなみに…何人くらい面接したんだ?」


「約百人です!応募してきた精鋭から私が選びました!」


金髪は無駄にでかい山脈を揺らして答える。


「ちなみにどの辺りで募集掛けたの?」


「この先にある村役場です」


「そこだけ?」


「はい」


oh!


テキストの形状がロケット山脈になったところで俺は質問を打ち切った。


つまり、エリーシャは少し強いだけの普通の人ということらしいぞ。


「人間風情が私を無視するとはいい度胸だ。ちなみに用があるのはそこのしょんべんくさいガキでも、乳と尻だけの女神でもなく、おまえだ。」


しょんべんくさいろりっこに、しょんべんくさいって言われる成人女性って。


ちなみにこの世界では十六にもなれば立派な成人らしい。あと乳と尻だけじゃないぞ、ふともももあるぞ。女神。


おまえだで思い出したが、「次はオマエダ」って駅がよくネタにあがりますが、俺は「次の停車駅はキクナ」も捨てがたいと思います。


意識を戻す。


「なんですか、真央さん」


「私にアレを譲れ」


ろりっこは教会の天井を指差す。そこには、先ほどまで全損していたが「奇跡」により半透明なステンドグラスが嵌り、夕日を浴びて煌いている。


「あの、この教会は別に俺のものじゃないですし」


ろりっこはさらに不機嫌になる。


「ちがう!もっとその先を見るのだ!」


夕闇迫る大空に…なんだあれ?


この世界に似つかわしくない巨大な人工構造物が空を覆ってオレンジ色に輝く。よく見れば…某ゲームに出てくるあの戦艦にも似ている。


「それこそ俺のものじゃないと思うんだが?」


金髪女神は右手で構造物を指差し左手で口を押さえ、ふるふると山脈を揺らしてまなこが開きっぱなしになっている。


開いているのはまなこですよ。


「あ…あれは神器!」


ん?神器って俺に突き刺さっているんじゃないの?


突然、俺のポケットに入っていたスマホが鳴り出す。


画面には「圏外着信」と表示される。なんじゃそれ。


「はい、俺です」


少しの間をおいて、スピーカから流れた声。


「おにいさま、ようやく気が付きましたのね」


忘れることのない聞き覚えのある声…そんなはずは無い…。あいつは俺を置いて…。


「転送開始」


目の前が真っ白になる。

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