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四話

「.....茜の誕生日ですか」


「そうなのよ。もうすぐ茜ちゃんの誕生日なんだけど、あの子のことだからきっとギンちゃんに伝えてないと思って」


「あの子は自分の事よりも人の事を考えちゃうから」


「それで、僕は一体なにをすれば?」


「茜ちゃんにね。ちょっとしたプレゼントをあげてほしいのよ」


「なんでもいいの。あの子の為になにかしてあげて」


「.....わかりました」


「あとこれは当日まで内緒よ」





~~~~~~~~~~~


「ただいま」


「おかえりなさい」


「おつかい頼んじゃってごめんなさい」


「いや、いいんだ」


「......。」


「ギンさん、どうしたんですか?」


「なんでもない。これ頼まれてた物だ」


「ありがとうございます」


(茜が喜びそうな物か....)


「ゴホッゴホッ」


「大丈夫か?」


「ギンさんが来てから調子良かったんですが、最近また辛くなってきちゃいました」


「そうか...」


(.....時間がないな)





~~~~~誕生日当日~~~~~~~~


「茜ちゃん!誕生日おめでとう」


「おばちゃん、覚えててくれたんだゴホッ」


「無理しないで寝てなさい。これおばちゃん特製元気の出るお団子よ」


「わぁ、おいしそう。ありがとう」


「ほら!ギンちゃんも」


「え、ギンさんも?」


「そうなのよ。私がこの前教えておいたの」


「気にいるか分からないんだが....これ」


「ありがとうございます....あけてもいい?」


「あぁ」


「これって...ミサンガ?」


「覚えててくれたんですか?」





~~~~数日前~~~~~~~


TV「~~~~」


「この女の人、おしゃれじゃないですか?私ファンなんですよ!」


「おしゃれ?」


「なんていうか、見ていて綺麗だなってなるっていうか」


「説明が難しいですね」


「こいつみたいになりたいってことか?」


「なれるならなりたいですけど、それは無理なんでせめて同じものが欲しいですね」


「例えばこのミサンガとか。かわいいです」


「なるほど....」



~~~~~~~~~~~~~~


「あれと同じミサンガを探したんだが、見つからなくて」


「けど、そっちの方が茜に似合うと思うんだ」


「茜はそのままで綺麗だよ」


「ありがとうございます....」


「お、おい何故泣く」


「気にいらなかったか?」


「ち、違うんです。えぐっ」


「嬉しいんです」


「嬉しいんです....」


「着けてもらっていいですか?」


「あぁ」





~~~~誕生日の日の夜~~~~~~~


「こんなに楽しい誕生日は久しぶりです」


「こんなに嬉しいプレゼントも」


「今日はありがとうございました」


「....。」


「ギンさん?」


「僕はいつも....」


「人間はなんて愚かな生き物なんだと思ってきた」


「人間は不完全だ」


「だから犯罪は絶えない」


「原因は感情だ」


「感情があるから争いごとはなくならない」


「だったら感情なんていらないんじゃないか。そう思ってきた」


「けど、茜に出会っていろいろ理屈じゃ説明できないなにかを僕は抱いてきた」


「茜はなにを楽しんでいるんだろう。なにを喜んでいるんだろう」


「僕は要らないと思っていた感情を手に入れたんだ」


「人間は良いものだ」


「自分勝手で浅はかだけど人のことを思いやれて温かい人間」


「礼を言うのは僕のほうだ」


「僕を人間に戻してくれてありがとう」


「ギンさん。私...」


「あっ!」


「桜が咲いてますよ」


「これが桜....」


「綺麗だ」


「.....実はもう一つ言っておくことがあるんだ」


「僕は、もうすぐ帰らなくてはならない」


「え...」


「僕が向こうに行くと、ここに僕がいたことはなくなってる。つまり....」


「ギンさんとの記憶がなくなるってことですか」


「....そうだ」


「.....私きっと忘れません」


「だってギンさんはここに居ましたから」


「ギンさん....身体が透けて....ゴホッゴホッ」ドサッ


「茜!大丈夫か!」


「茜!!!あk....」





~~~~天界~~~~~~


「茜!」


「ここは....」


「よく戻ったな」


「我が主....」


「我が主、茜は、茜は無事なんですか」


「落ち着け」


「あの娘はもうすぐこちら側に来る」


「それって...」


「そうだ」


「そんなのあんまりです!」


「あの娘にとってはそれが運命だ」


「運命って....運命ってなんですか!」


「茜はそんなの望んでいませんでした」


「茜はいつも自分の手で未来を掴んでいました」


「人間の努力は運命の前では無力」


「それを嫌という程知っているのはお前だろう?」


「さぁ。お前は感情を取り戻した」


「刑期満了だ」


「.....。」


「と...さい」


「なんだ」


「僕はこれから先永遠に死神でいい!だから茜の運命を取り消してください」


「なにを言っている」


「他人の為に自分を犠牲にするというのか」


「そうです」


「.....。」


「くっくっくっく」


「なにを笑って....」


「いいだろう」


「合格だ」


「....合格?」


「そうだ」


「言ったろう。これはお前が人間の感情を取り戻す試験」


「簡単な事だ」


「他人の為に自分を犠牲にできるかどうか。これが最後の問題だった」


「そしてお前は見事合格した」


「これで本当に刑期満了だ」


「茜は...」


「安心しろ」


「あの娘は無事だ」


「でも、僕が戻るときに倒れて....」


「あれはな....私が手を加えたからなんだ」


「一体どうゆう....」


「あの娘の病気を取り除いた」


「え?」


「倒れたのはその副作用とでも言っておこう」


「じゃあ....」


「あぁ。もう健康だ」


「そうですか....」


「それでこの後のことなんだが.....」






~~~~~数日後~~~~~~~~


「茜ちゃん」


「あ、おばちゃん」


「本当に退院するのね」


「おばちゃんちょっと寂しいわ」


「またいつでも会いに行くわよ」


「今度は患者としてじゃなくてね」


「それはそうと、茜ちゃん一気に有名人よ」


「難病を一瞬で治した奇跡の女性ってね」


「本当に奇跡だわ....」


「だけど、なんだか心にぽっかり穴ができたみたい」


「大切なことを忘れてるような....」


「せっかく病気が治ったんだからそんな暗い顔してちゃ駄目よ」


「....そうね」





~~~~~~~~~~~~~~


(おばちゃんにお団子もらっちゃった)


(ん?)


(そういえば、このミサンガ誰に貰ったんだっけ....)


(思い出せないなぁ)


(貰ったときすごく嬉しかったのは憶えてるんだけど)


(......やっぱりお団子は桜を見ながら食べるのが一番ね)


ぽろぽろっ


(あれ)


(あれ、なんで私泣いてるんだろ.....)


(桜....綺麗だなぁ)


(.....思い出した.....全部思い出した)


(忘れるわけない)


(だってあなたは確かにここに居たもん....)


(会いたいよ...ギンさん)


「茜」


「え?」


「茜、ただいま」

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