二話
「人間。一つ聞いてもいいか?」
「まず、人間って呼ぶのやめてください」
「私には茜っていうれっきとした名前があるんですからね」
「.....あぁ。分かった」
「で、聞きたいことってなんですか」
「にn....茜は死神が怖くないのか?」
「普通、人間は理解の範疇を超えたものに直面すると恐れおののくだろ」
「そうですねぇ.....私、入院生活長いんですよ」
「しかも個室でしょ。友達もできなくて、一人でできることが趣味になっていったんです」
「その中でも読書は大好きなんです」
「病室に居たって、本を読めば何にだってなれる。何処へだっていける」
「誰とだって知り合える。だからあなたが死神でもあまり驚かなかったのかもしれません」
「ふーん」
「お前は変わってるな」
「ふふっ。そうかもしれませんね」
「ところで死神さんのお名前は?」
「死神には名前なんてものはない」
「そうですか....死神さんだと呼びづらいですね」
「なにかあだ名を考えましょう」
「あだ名ってなんだ」
「あだ名っていうのは、敬愛の意を込めて呼ぶ二つ目の名前みたいなものです」
「死神さんにとっては二つ目ではないですが...」
「なるほど」
「考えるんで、ちょっと待ってくださいね」
「......。ギンっていうのはどうでしょう?」
「銀髪だからギンさん....簡単過ぎますかね」
「いや、それでいい」
「じゃあ、決まりですね」
「........。」
「.....ギンさん」
「私も一つ聞いてもいいですか」
「なんだ」
「死ぬって....どんな感じですか?」
「心臓が停止して生命を維持できなくなると.....」
「いや、そういうことではなくてですね」
「死ぬときは辛いですか?」
「.......なぜ人間は死をそんなに意識するんだ」
「生きている以上死ぬのは至極当然の事だ」
「この時代は自殺する者が非常に多い」
「生きているのが辛いから逃げ道として死を選ぶ」
「しかし、死は終わりじゃない。通過点にすぎないんだ」
「死を否定するなら、生きてる意味も分からないだろう」
「茜、死を恐るな。死神を恐れないお前ならできるはずだ」
「.....そうですね。あなたは死後の世界から来たんですもんね」
「私がこれを引き受けた理由の一つを知りたいですか?」
「私は死が怖かった」
「私が死んだら、元々居なかったみたいに消えちゃうんじゃないかと思ったら気がおかしくなりそう」
「でも、そんな時にギンさんが私のところに来てくれた」
「嬉しかった。あなたは死後の世界を証明してくる」
「あなたは私の希望なんです」
「.....そうか」
「死ぬ時は、あっという間だ」
「苦しくも痛くもない」
「そうですか......」




