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子ども心と町の空  作者: 伝道師
第三章 蛇騒動と赤ちゃん置き去り事件
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五話

帰りは日差しを避けるために、川の東側の木々が植えてある堤防沿いを走る。

風も無く、なま暖かくどんよりした陽気で、雨が降る様子でも無い。


「暑い~、蒸し蒸しするなぁ。金田ぁ~。」

「暑いのはわかってるよ、よっちゃん・・・。まこと君も大丈夫?」

「大丈夫さ・・・でもすごく暑いな。」

「そのわりに汗が出てないな、マコト。さすがタフだな。」

「そうでもないさ、なんか今日は調子が出ないなぁ。」

一行は長くつづくアスファルトを抜けて川沿いの道に入った。

距離にして残り3分の1程度だがいつもより皆は疲れきっているようだ。

「もう少しで橋だ。がんばろうぜ、金田。」

「うん・・・。あれ?陽が出てきたよ。」

「本当だ。」

木々から漏れる陽射しが内側を走っている森山に直撃し始めた為、彼は陽射しを避けようと外側に移動してきた。

「なんだよ、よっちゃん、急に寄って来るなよ。狭いなぁ・・・」

「ごめん、マコト。陽が暑いんだよ。」

しょうがなく夏木は内側へ移動した。

それを見ていた藤田は何かを察知したかのように叫んだ。

「マコト、気を付けろよ。」

「なんだよ急に・・・。みんな変だぞ。」

そろそろ例の橋が見えて来る頃だ。

「よかった・・・もうすぐだ。」

金田は橋が見えた事で少し安心したが、その瞬間・・・。

「あ!まこと君!」

夏木は足を滑らせ、堤防を転げ落ちた。

「うわー!」

慌てた金田も同じように足を滑らせた。

「あわああ・・・痛っ!」

転げることはなかったが、背中で滑り落ちた。

森山も足元に気をつけながら堤防を降りようとした。

「おい!マコト、金田、大丈夫か?今行くからな!」

かなりの急斜面の上、雑草が一層滑りやすくしている。

「どわぁ~!」

やはり森山も滑り落ちた。

金田のペースに合わせ遅れていたため、他の集団はずっと先で呼ぶ事が出来ない。

残るは藤田だけだ。

「おーい、大丈夫か?」

心配そうに下を見るが、降りようとすれば森山の二の舞だ。

「痛えなぁ・・・。金田大丈夫か?」

「びっくりしたけど大丈夫。・・・でもまこと君が足を怪我したみたいだよ。」

足を抱えて痛そうにしている。

「マコト、足をひねったのか?」

「ああ、足首が痛い。捻挫かな・・・。」

「こりゃ大変だ。おーい藤田!だれか呼んで来てくれよ。マコトが怪我したんだよ。」

「え?そうか、わかった。急いで呼んでくる!」

「金田、おれも誰か呼んでくるからちょっと待ってろよ。」

森山はそう言って堤防を登り始めた。

ガサガサ・・・

「ん?なんの音?」

森山は足を止めた。

「おい・・・なんだよ。なんかいるのか?」

「あの橋の下あたりで聞こえたよ。まさか・・・。」

「蛇なんて言うなよな、金田。」

ガサガサ・・・

「ほら、また聞こえた!だんだん近づいてるよ。」

「そ、そうだな・・・何かいるみたいだぞ。」

「どうする?よっちゃん。」

「どうしよう・・・。」

「よっちゃん、昨日は捕まえてやるって言ってたじゃん。」

「そうだっけ・・・。」

「でも蛇の音にしてはちょっと大きくない?」

そのうち音は更に大きくなり、茂みの中から大きな影が近づいてくるのがわかったが、

夏木を置いて行けない2人は、あたふたするばかりだ。

その音は止まることなく近づいてきた。

「くそ!こうなったら本当に捕まえてやる!」

「大丈夫なの?」

「ああ、何とかなる・・・。」

「・・・」

金田は思った。蛇と格闘出来るのはよっちゃんぐらいだと・・・。

そのうち影は目の前まで迫ってきた・・・。

バサ、バサ、バサ・・・と音がした次の瞬間!

「あ!よっちゃん!危ない!」

「ぎょ!」

バサバサ!

藪からものすごい勢いで飛び出してきた。

「出た~!」


森山はひどく驚いたが、飛び出してきたのは蛇ではなかった。

助けを呼びに行ったはずの藤田だった。

「なんだよ!脅かすなよな、藤田ぁ~。蛇かと思った~。」

「ごめん、よっちゃん。向こうに階段があったから見に来たんだよ。ちょっと怖かったけど。」

「え~、それじゃ誰も呼びに行ってないじゃん。どうすんだよ。」

「3人で運べば大丈夫だよ。」

「ん~、それもそうだな。」

「それよりマコトは大丈夫か?」

「捻挫したみたいなんだ。」

「そうか・・・今日はなんか嫌な予感がしたんだよ。」

「藤田は感がいいからな。霊感があるんじゃないか?ひょっとして幽霊が見えるとか・・・。」

「まさか!見えるわけ無いっつうの!」

「そうだよな・・・。ははは。」

「かっちゃん、よっちゃん、それより早くまこと君を運ぼうよ。」

「そうだな。どうやって運ぼうか・・・。」

「担架を作ろうか?」

「担架?材料になるものは無さそうだぞ。」

「ん~、じゃどうする。なんとか3人で担いでみる?」

「よしそうしよう。金田は頭、藤田は足。おれは体を支えるよ。」

3人は夏木を担ぎ始めた。

人を運ぶのは思ったより大変な仕事である。

「結構重たいなぁ、マコト。ちゃんと持てよ、金田。」

「よっちゃんこそちゃんと持ってよぉ。」

ふらふらしながらも歩き始めたが、3人は重大な事に気がついた。

この滑りやすい坂は登れない・・・。

「そう言えばかっちゃん、橋の向こうに階段があったって言ったよね。」

「そうだよ・・・。」

「来るときは大丈夫だったんだよね。蛇とかいなかった?」

「来るときはね・・・。」

3人は仕方なく例の噂がある橋の下の藪を通ることにした。


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