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子ども心と町の空  作者: 伝道師
第三章 蛇騒動と赤ちゃん置き去り事件
13/14

四話

こういった話は何処にでもあるが、身近に存在するとちょっと怖い。

明日も走れるのか。

待ち合わせをした橋のたもとに戻ってきた3人は明朝の約束をして別れた。

金田は蛇の話が気になって仕方がない。

「ただいま~。」

「お帰りなさい、のど渇いたでしょう。冷蔵庫に麦茶が入ってるわよ。」

急いで冷蔵庫を開け、コップに注ぎ一気に飲み干した。

「ぷあ~、うまい!こんなうまい麦茶は初めてだ。」

「どうだったの?ちゃんと走れたの?」

「なんとかね・・・。でも始めてだから結構きつかったよ。」

「山田のおじいさんは来てたの?」

「来ていたよ。あのじっちゃんはすごいよ。何歳になるの?」

「お母さんはよく知らないのよ。お父さんが知っているかもしれないから、今度聞いてみたら?」

「うん。それより蛇の話って知ってる?」

「蛇の話って?」

「蛇河川の話だよ。」

「ああ、戦争の時あの橋の下で大勢が死んだ話ね。おじいちゃんがよく話していたわね。」

「へぇ、そうか、おじいちゃんは戦争を知ってるもんね。生きていたらいろいろ聞けたのにね。」

「そうね、でもあまり気にしない方がいいわよ。」

「そう言われても気になるよ。」

「そんな事より、もうすぐ学校へ行く時間よ。早くご飯にしなさい。」

森山が言った通りご飯がめちゃくちゃ美味しかった。


「よぉ、金田~。調子はどうだ?」

「あ、よっちゃん、おはよう。」

「足は大丈夫か?」

「ちょっとふらふらする。」

「今日も部活あるからな。きついかもね。」

「本当だよ。よっちゃんは大丈夫?」

「当たり前だのクラッカー!」

「さすが、怪物よっちゃんだ。」

「ところで朝飯うまかったろ。」

「めちゃ美味しかったよ。山盛り2杯だよ!」

「そうだろ、そうだろ。言った通りだろ。」

「明日も頑張ってみるよ。」

「おう!がんばろうぜ。明日はマコト(夏木誠)も誘ってみるよ。」


翌朝、4人はいつもの橋のたもとに集まった。

風が無く、妙に肌寒い曇り空。

「おはよう、よっちゃん。」

「おう、金田。今日は陸上部四天王の集合だな、マコト!」

「何が四天王だよ。朝っぱらから、なんでこんな元気なんだ。」

朝からハイテンションな森山に夏木は呆れ顔だ。

「よっちゃんはいつもそうだよ。マコト君。」

「森山らしいな。」

森山のいつもの調子に皆も目が覚めてきたようだ。

だが、藤田だけは今日の天気に何かを感じたのか、じっと空を眺めている。

「どうしたの、かっちゃん。空ばっかり見て。」

「う~ん、なんか気になるんだよ、この天気。雨が降るわけでもないし・・・。」

「そう言えば、かっちゃんは天気に敏感なんだよね。」

「なんか嫌な予感がするんだよ。」

「え~そうなの?変なこと言わないでよ。気になるなぁ。」

金田はまた不安になってきた。

「おい金田、大丈夫だよ。気にしすぎだぞ。気が小さいなぁ。」

「いいじゃんか、どうせよっちゃんと違うし。」

「何もないさ。」

「そうだといいけど・・・。」


暫くして金田は山田のじっちゃんが居ないのに気がついた。

「よっちゃん、まだ山田のじっちゃん来てないよ。」

「そうだな、いつも先に来てるはずなんだけど。あの人に聞いてみるか。」

森山は集まっているランナーの一人に尋ねた。

「すみません、今日は山田のじっちゃんは来ないんですか?」

「何も聞いてないけど・・・。そう言えば遅いな。いつもはとっくに来ているはずなのに。」

「何かあったのかな?。連絡取れませんか?」

「皆、電話番号も知らないんだよ。」

皆、じっちゃんの事が気になりながらも、取りあえず走る事になった。

昨日と同じ浜公園までのコースだ。

「よっちゃん、帰りはまた堤防を走るのかな?」

「多分・・・そうだな。」

「行きは良い良い帰りは怖い・・・なんてコトワザ無かったっけ?」

「なんだそりゃ。それは『とうりゃんせ』だろ。大丈夫か?金田。」

「いや、大丈夫じゃないかも。」

「よっぽど蛇が嫌いなんだな。」

「そうなんだ・・・。」

「大丈夫だよ。滅多に出ないよ。」

「でもこれから毎日走るんだから、出る可能性もあるよ。」

横で走っているマコトも金田の不安げな顔に思わずフォローをした。

「走って逃げりゃ追いつかないさ。みんな陸上部だろ。」

「そうだよね、まさか人間より速って事は無いよね。」

「当たり前だろ!」

「よっし、蛇に会ったら真っ先に逃げてやる。」

「金田の逃げ足だけは誰にも負けないからな。去年の肝試しなんか、一番先に逃げ出したけど誰も追いつかなかったからな。・・・あれはむちゃくちゃ速かったぞ。」

「そうだっけ?」


途切れ途切れの会話をしながらも、一行は浜公園までたどり着いた。

金田は公園の芝生に寝そべって空を見たが、今日は相変わらずどんよりした曇り空だ。

あれから藤田も黙ったままだ。

不安は一向に消えないまま、帰りのコースを走り始めた。


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