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別れから始まりへ、ふたりの愛の花

「たなばたさま、また七夕に――

 きらきら 光る 五色の愛の花が 咲きました。

 お見せできて、嬉しく思います。」


「また 見せることができたね」


「うん、きれいに咲いた」


「なんか僕のよりも、きらきらしてる?」


「当然でしょ?

 あなたへの愛は、増え続けるんだから」


「ぼくも同じだよ。

 愛が 消えることも、減ることもない」


「ねぇねぇ、地球見てたらさ……

 あのふたり、両思いなのに結ばれてないよ。

 女の子は、さらさら揺れてる短冊に、

 お願い事してるの……ねぇ、見て」


「たなばたさま、どうか、

 想いが届きますように、だって。

 まだ、お互いの想いに気づいてないね」


「女の子は、1週間会えてなくて、

 寂しくて、会いたくて、

 想いが通じ合えるか 不安になってるよ」


「まるで、僕たちの最初の頃みたいだ」


「男の子は、もう揺るがない愛を持ってるね。

 報われなくても、会えなくても、

 それでも 育つ愛を知ってるみたい」


「え、男の子は、愛の花 もうすぐ咲きそうだ。

 女の子のお花も、追いつこうと必死だね」


「次の七夕のときには、

 愛あふれる恋人になってたら嬉しいな」


「そうだね。一緒に祝福したいね」


「ふふ、愛の種を育てる毎日だったのに、

 楽しみ増えちゃったよ」


「あの星にも、

 愛が少しずつ増えてきたのかな」


「でもさ、地球だと、わたしたち、

 まだ泣いてると思われてるよね」


「もう、ずっとずっと前に乗り越えたのにね」


「だけど、あの悲しみがあったから

 強くなれて、今は笑っていられるよね」


「会えない日々も、愛の時間。

 愛は育てることができると分かったから」


「今では笑って会えて、

 愛の花の大きさ比べしてるよね」


「悲しいお話も真実…あの頃の僕たちは、

 まだ愛を理解していなかった」


「今のわたしたちの姿、

 地球のみんなに知ってほしいよね」


「大丈夫、気づいてくれる人がいるよ

 きっと伝えてくれるはず」


「見てよ……愛の花が散ってきた…。

 また、お別れだね」


「いつも、あっという間に過ぎちゃう」


「あ、愛の種がこぼれたよ。

 はい、わたしのあげるね。

 大切に育ててよね」


「もちろん。毎日、愛の水を与えるよ。

 僕の愛の種もあげる」


「ありがとう。あなたを想いながら

 毎日、大切に育てるね」


「手離すよ?」


「うん、いいよ」


「…ダメだね、また手が離れないよ。

 言うこと聞いてくれない」


「もう、いつも、そうだよね。

 はい、離した」


「あーあー」


「いつも心で繋がってるでしょ?

 それに、さ… また 会えるからね。

 その時に たくさん繋ごうね」


「そうしよっか、また会おうね」


「うん、ずっとずっと 忘れないから」


「毎日、想い続けるから」


「永遠に、愛し続けるから」


………


ふたりは天の川を渡り、

それぞれの星へ帰っていく

過去、幾度となく繰り返されてきた別れ

でも、ふたりの顔には――

いつもと違う、やわらかな笑顔が浮かんでいる


次の七夕で、地球のふたりの子が恋人になり

きらきら光る愛の花を、心に咲かせている

それを、天の川から一緒に見るんだ


それが、分かっているかのように

それが、楽しみでしかたないように

そんな、嬉しそうな笑顔が浮かんでいる


………


天の川の向こうで

たなばたさまは 静かに見守っている

星は違っても、時が過ぎても

この先の未来も、愛は変わらずある

愛はどこにでも 見つけることができる


たなばたさまは 信じている

ふたりの愛が、いつまでも続くことを

たなばたさまは 願っている

地球に愛が満ち、愛の星に還ることを


このお話は

これからも、何度でも繰り返される。

悲しみを越えて 愛の花を咲かせた、

ふたつの星の――ふたりの愛の物語。

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