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第3話 再び交錯する運命

父親が亡くなったあの日から7年が経った。

美咲はすでに大学を卒業し、母と父の後を追うように警察官になっていた。

親の先輩の女性刑事さんが警察学校まで通わせてくれた。

感謝してもしきれないくらいに両親が亡くなった後に面倒を見てくれた。

一時はおかしくなりそうなときもあった。おそらくPTSDだと思われるが、メンタルケアも含めいろいろな助力をいただいた。

その人からも警察官の道は反対されたが、自分が押し切る形で警察官への道を選んだ。

そしてついに、彼女の配属先はあの場所――警視庁捜査一課となる。


捜査一課のオフィスに足を踏み入れると、古びた机や資料が散らばった空間が目に入った。最近の刑事物のドラマでは小綺麗でデジタル化が進んだオフィスに描かれていることが多いが、実際はまだこのような感じである。懐かしい匂いが漂い、彼女の脳裏には、かつてここで働いていた父と母の姿が浮かぶ。

捜査一課の古参メンバーは、美咲の両親をよく知っていた。

彼らは美咲の存在を特別視し、彼女を娘のように可愛がっていた。

しかし、若手のメンバーたちはそんな様子に少し苛立ちを感じていた。


「なんであの子だけ…」と、若い刑事の一人が仲間に耳打ちする。「確かに綺麗で優秀だけど、俺たちだって頑張ってるじゃん。」


美咲は、そんな周囲の視線に全く無関心だった。肩までの黒髪に、明るく大きな瞳。そして筋の通った鼻。スリムな体に鍛え上げられた筋肉。格闘技で磨かれた俊敏さと力強さは、誰もが一目置くところだったが、美咲にとって外見や他人の評価はどうでもよかった。彼女の心はただ一つの目的――復讐に燃えていた。


そんな中、捜査一課の上司である課長が美咲の前に現れた。


「久しぶりだね、美咲。」課長は優しく微笑んだ。彼女は美咲の母親と親友であり、美咲が高校生だった頃から何度も会っていた。

美咲の父が亡くなってからも、娘のように気にかけてくれていたのだ。

美咲を警察学校まで通わせてくれた親の先輩刑事がこの人である。

だが、当時の彼女の胸の奥には、美咲の父親に抱いていた恋心も秘められていた。

それでも、今は美咲の成長を心から喜んでいる。


「ここに来るなんて、本当に立派になったね。お父さんもお母さんも誇りに思ってるわ。」


美咲は、何とも言えない感情がこみ上げてきたが、それを表に出すことなく冷静に返事をした。「ありがとうございます。でも…私がここに来たのは両親のことを忘れられないからです。犯人を見つけ出すために、全力を尽くします。」


課長は一瞬だけ、悲しげな表情を見せた後、軽く頷いた。「そうね…あなたの母も、父も、同じ人物に殺された可能性が高い。でもその人物は、非常に狡猾で、冷酷。長年追ってきたが、警察の網をことごとくすり抜けてきたのよ。」


美咲の拳が無意識に握り締められた。彼女は何度も復讐のことを考え、その犯人の顔を思い描いてきた。だが、犯人は顔すら知られていない。今はただ「殺人鬼」としか認識できていないのだ。


「それに…」課長は一瞬、言葉を詰まらせた。「この犯人には警察内部に協力者がいる可能性もあるの。」


美咲は目を見開いた。「内部の人間…ですか?」


「ええ。」課長は慎重に言葉を選んでいた。「だからこそ、これまでの捜査が何度も行き詰まっている。誰が味方で、誰が敵か…それを見極めるのは、これからのあなた次第かもしれない。」


美咲は、目の前の課長の言葉を深く胸に刻んだ。両親を殺した犯人への憎しみが、彼女の体中を駆け巡った。そして、彼女は心の中で誓った。絶対に犯人を見つけ出し、両親の無念を晴らす。


その日の捜査一課は、いつもと同じように業務が進んでいた。しかし、美咲の中では確実に何かが変わっていた。彼女の復讐への道は、今、確実に始まったのだ。



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