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第七八段 うち局は(中)
また、大勢の声がして、歌などを歌っていると、戸を叩きはしないが、こちらから戸を開けていると、ここに来ようと思っていなかった人も立ち止まる。人が多く、入ることもできず、立ったまま夜を明かすのもなお「おかし」。
御簾がたいそう青く面白い様子なところに、几帳に掛けた帷子がたいそう鮮やかで、
そこから女房たちの着物の裾が少し見えているところに、ほころびが透けて見える君達や六位の蔵人の青色の袍を着て得意げにしている者もいる。あまり人が多く、遣戸のあたりは身を狭くして立っていることさえできず、塀の前に背中を押し付けて袖を掻き合わせているのもおもしろい。
(夜、なんだか狭い廊下に、人が集まって、なんだなんだと、更に集まってしまった様子?)




