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第七七段 ありがたきもの
そんなことめったにあるわけないでしょうと思うもの。
舅に褒めらるる婿。また、姑にかわいがられる嫁。(ないですねえ。物語の中にしか。)
ものがよく抜ける銀色の毛抜き。主人の悪口を言わない従者。露ほどの欠点もなく、顔の形がよく、心映えもよく、立ち姿もよくて、宮中で人とで交わっていくのにまったく悪い点がない人。
同じ人に仕えて、互いに尊敬すべき者と思っている相手が、ついに見ることができないでいるのは、そんなことは難しいと思われる。(はい、清少納言が二人いたら、絶対、仲よくしないでケンカすると思う。)
物語や歌集を書き写すとき、借りた本に墨をつけないことも、めったにない。立派な草紙を借りたときは、たいそう気を付けて書くのだが、必ず墨をとばして汚くしてしまう。
男でも、女でも、法師でも、互いに契りを交わして親しくしている人が、一生仲が良いことは、めったにない。
仲の良い従者も、めったにいない。
練って柔らかくした掻練を砧で打たせて光沢を出させたとき、ああすばらしいという出来で戻ってくることも、めったにない。




