82/186
第六七段 草は(後半)
しのぶ草は、とても「あわれ」。屋敷の端や、差し出ている物の端などに、したたかに生えてきている様子がおもしろい。
蓬は、大変面白い。茅花も、大変面白い。浜茅の葉は、それにもまして面白い。まろ小管、浮草、こま。あられ、笹、たかせ、浅茅、あおつづらも「おかし」。
木賊というものは、ものを磨くのに使うが、風に吹かれるときどのような音がするのであろうかと思われて「おかし」。
なづな、ならしばもたいいへんおもしろい。
蓮の葉が、水面に浮くのがとても可憐で、のどかに澄んでいる池の水面に、大きい葉と小さい葉が広がって漂っているさまは、たいへんおもしろい。葉を取り上げて、いろいろなものを、葉の上でおしつけひろげてみるのも大変面白い。
やえむぐら、山菅、やまあい、日陰、浜木綿、葦。これらがおもしろい。葛が風に吹かれて裏返って、ずいぶん白く見えるのも「おかし」。
うーん。たまあに、知ってる草の名前がありますが、ほとんどわかりません。清少納言、すごい。




