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第四二段 小白川という所は(その一)

 小白川という所は、小一条の大将殿のお屋敷である。

(小一条の殿は、定子様のおじいさまの藤原兼家様の父君左大臣帥尹(もろただ)様の次男済時(なりとき)様である。まだ、清少納言が定子様の女房になっていない頃の話。)


 そこで、上達部が結縁の八講をされるということで、この上なくめでたいことだということで、世間の人が皆集まって説法を聞くという。


「遅くいった牛車は、近寄ることもできないだろう。」ということなので、朝露が置くと同時に急いで行ってみると、本当に車を立てる隙間もない。前の車の(ながえ)の上にまた車を重ねて三台目まではなんとか説法の声も聞こえるであろう。


 六月の中旬で、暑いことといったらありはしない。池の蓮を見ると、少し涼しい気持ちになれる。


 左大臣源雅信様(道長の妻の父、彰子の祖父)と右大臣藤原兼家(道隆、道長の父、定子、彰子の祖父)がいらっしゃるので、上達部が皆来ている。それぞれに、二藍の直衣と指貫を着て、浅葱色の帷子(かたびら)を透かしていらっしゃる。少し御年配の方々は、青鈍(あおにび)の指貫に白の帷子をお召しで、涼しげでよい。藤原保親様なども、六十を過ぎていらっしゃるのに若々しい姿でいらっしゃる。説法の尊い場とはいえ、なかなか「おかし」と思える物見であることよ。


 若い公達や成人前の少年なども、出たり入ったりするので、「おかし」。

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