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第百八二段 宮にはじめてまいりたるころ(その9)
私たち女房も、
「誰それが、とあることをー。誰それが、かかることをー。」などと殿上人の身の上に起こったうわさ話などを申し上げるのを聞いていると、やはり、大変現実の事とは思えないで、変化の者か、天人などが地上に降りてきたのかなどと感じていたのだが、宮仕えに慣れ、幾日もたっていくと、変化でも天人でもないことであった。
目の前の女房達も、家から宮仕えに出始めたころは、私と同じように感じていたことだろう。このようにして宮仕えを続けているうちに、自然と慣れていくのであろう。




