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第百八二段 宮にはじめてまいりたるころ(その5)

 定子様は、白い御衣を幾重にも着られた上に、紅色の唐綾の上着を着ていらっしゃる。髪がその衣にかかっている様子は、絵に描かれているのはこのような様子を見たことがあるのだが、現実に見たことはまだなかったので、夢見ているような心持がする。


 伊周様が、女房達と話をし、冗談をおっしゃっていらっしゃるのを、受け答えしているのを、女房達は恥ずかしいとも思っていないようである。言い返し、事実ではない、いい加減なことをおっしゃっているのを、認めず、打ち消しなどして答えているのは、目を疑うばかりである。驚きあきれて顔が赤らんでしまう。


 伊周様は、果物を召し上がり、定子様にも、差し上げていらっしゃる。

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