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第九五段 細太刀の平緒つけて、清げなるおのこ
儀礼の際に身に着ける細太刀に装飾用の平たく組んだ緒をつけて、きれいな感じの男が、主のところに持って運んでいく様子は、たいそう優雅である。
紫の紙を包んで封をして、房の長い藤の咲く枝に結び付けてあるのも、たいそう「おかし」。
この段は、以上です。どこかの段から、はぐれてしまったのかもしれません。たくさんの紙に書かれた随筆を、だれがいつ、どのように『枕草子』にまとめたのでしょうね。千年以上の昔、清少納言と呼ばれた女房の書き記した文が、こうして残っているのは、とても不思議な気持ちがします。




