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第九一段 職の御曹司におわしますころ、西の廂に(その11)

 そうして、二十日に参内すると、まずこのことを定子様に直接申し上げる。

「全部消えてしまいました。」と言って仕える者が蓋だけを持っている法師のように帰って参ったことが嘆かわしかったこと、ものの蓋に小さな雪山をかわいらしく作って、白い紙に歌を素晴らしく作って書いて差し上げようとしていたことなどを申し上げる。すると、大変お笑いになる。前にいる女房達も、笑う。


「こんなに真剣に考えていたことを違えさせたので、私は神罰を受けるでありましょう。本当に、十四日の夕方、侍たちを遣わして雪山を取り捨てさせたのですよ。十五日の返事で清少納言がそれを言い当てていたのが、とても面白いことでした。その、木守という翁が出てきて一生懸命手をすり合わせて壊さないようにと言ったのですが、『女御様のおっしゃったことだ。例の里からやってくる仕える者に、このことを言ってはならない。言えば、この小屋を壊してしまうからな。』と言って、左近(さこん)の遣いは、南の築地の外に雪を全部取り捨てて『雪は、ずいぶん高くてたくさんあったのです。』と言ったということなので、本当に二十日までもそのままあって、今年の初雪もその上に積もったかもしれません。 一条天皇様も、これを聞かれて、『ずいぶん思いがけないことで言い争ったことだね。』と、殿上人にも話されたのですよ。それにしても、その歌を披露しなさい。今は、こうやって本当のことを言ってしまったのだから、勝ったも同じことです。さあ、歌を披露しなさい。」とおっしゃる。


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