2,死体発見
九頭竜川の河口付近で赤いスーツを着た若い女性の死体が上がることで事件が展開していく。捜査にあたるのは福井県警の林田刑事。川を流れてきた遺体は魚につつかれて判別が難しい。この女性は誰なのか。
死体が発見されたのは7月13日早朝の福井県坂井市三国町宿の九頭竜川河口防波堤であった。発見したのは朝早くに釣りに来ていた福井市内の釣りマニアで50代の男性だった。この釣り客からの通報を受けた福井県警坂井警察署の警察官が手漕ぎボートを出して遺体を収容していた。九頭竜川の河口堤防の内側に上下赤のスカートスーツのジャケットの下には白いブラウスを着た20代から30代の女性の死体が浮かんでいた。川の上流から流されてきてこの河口付近で防波堤に引っかかったようだ。遺体は防波堤の上まで引き上げられ、ビニールシートを掛けて上向きに寝かせられていた。警察の現場検証や身元確認などが行われていたが、身元を示す遺留品は何もなく、事件なのか事故なのかもわからないまま、遺体は坂井警察署に運ばれていった。
このニュースが報じられたのは翌日の全国紙と福井の地方新聞で、若い女性の死体という事で、読者の関心は高かったようだ。死後、川を流れてきたためか、魚などにつつかれたらしく遺体の素肌が露出した足と首から上の損傷は激しく、顔などから身元を判定することは難しくなっていた。坂井警察署と福井県警は事件と事故の両面から捜査をする方針を固めたが、確実な情報がなく身元の確定に全力を挙げることになった。
福井県警から坂井警察署に派遣されたのは福井県警捜査一課の林田雄二(40)だった。林田は坂井警察署で遺体を見て、第1印象は福井の人ではなく都会の人かなと感じた。上下赤のスカートとジャケット、川の汚れで色は褪せているが、都会的なセンスを感じさせる色合いが福井のような田舎ではやや違和感を感じる気がした。単純な落下事故とは考えにくい。解剖の結果を待たなくてはいけないが、事件性が感じられる気がしていた。