表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/32

祝☆採用

 しんと静まり返った小部屋の中で、ダイナは一人ベッドに寝転がっていた。時折思い出したように寝返りを打っては、また元の体勢に戻る。そんな動作を、先程から何度か繰り返している。


 ここは『カフェひとやすみ』から徒歩で100mほどの場所にある下宿所だ。ダイナの就職が決まったすぐ後に、老婦―ヤヤがこの下宿所へと案内してくれた。「この下宿所の管理人さんは私の馴染みでねぇ。当面の生活に不自由がないよう口利きをしてあげるわね」ヤヤの言葉は、今夜の宿がないと語るダイナへの配慮だ。

 下宿所を紹介してくれただけでなく、ヤヤはダイナの雇用にあたり色々と融通を利かせてくれた。今日は疲れているだろうから、出勤は明後日からで良い。下宿所の調理スペースは手狭だろうから、3食の食事はカフェでまかないを提供する。カフェ店員としての基本給の他、神具の売り上げはダイナの小遣いにしてよい、などなど。さらに下宿所の管理人は、ダイナに一通りの家具が揃った部屋を貸し出してくれたし、初回の下宿費の支払いは給与が入った後で良いと言ってくれた。たくさんの気遣いに支えられて、ダイナはようやく神都の生活を手に入れたのだ。


 仕事と住まい。それだけあれば、最低限この土地で暮らしていくことはできる。あとは少しずつ、日々の暮らしを豊かにしていけばいい。ダイナは柔らかな布団の上で、小さな手のひらを握り締める。


「お父さん。私、何とか神都で暮らしていけそうです」


 愛した人はもう、傍らにいないけれど。

☆くださった方、ありがとうございます!踊りまわるくらい嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ