表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

2-4


 ☆☆☆


「遅れてしまい申し訳ありませんでした、ルナ様」


 小屋に戻るや、ソレイユは私に向かって頭を下げてきた。

 幻覚でも見ていたのか? と思うくらい、彼女はケロッとしている。

 もっといえば、私の手に付着した血も消え、破れていた筈の服まで元通り。

 こんな現象、回復術師にだって行えない芸当だ。


「ソレイユ、本当に大丈夫なの……?」

「はい! この通り!」

「……なら、いいのだけど……一体何が?」

「狩の途中、空から石が降ってくるわ、放置された罠に引っ掛かるわ、持ってきた弓は真ん中からへし折れるわ、靴に穴は空くわ、ちょっとしたトラブルがあっただけですよ〜」


 石が降ってくるって……どうやったらそんな事が起こるのか、全く検討が付かない。

 でも、やっぱり彼女にも私の不幸が確実に蝕み始めているのは明らかだ。


「やはり、貴女も私から離れた方がいいわ……これ以上は身が持たないわよ」

「愛に障害は付き物、それに怪我をしたお陰でルナ様に抱き締められたので、むしろ幸福です!」

「……死ぬかもしれなかったのよ?」

「でも、死んでないですよ? 不幸か幸福かなど、事象が完結した際の自己評価にしか過ぎません。たらればを話しても、キリがないですって」

「だからと言って、わざわざ不幸な目に遭う必要はないと思うけど」

「だ〜か〜ら〜今日、ソルに不幸な出来事は何一つなかったんですって!」


 致命傷を負いながら、不幸な事がなかったと?

 私に気を遣って言葉を選んでいるのだろうか。


「不幸と言えば……そうですね、葉巻を忘れた事くらいですか。失敗でした〜」

「その葉巻、マジックアイテムか何かですの?」

「まぁ、そんなところです」

「だったら、わざわざ薬など飲まず、葉巻を吸えば一発で私の怪我も──」

「や、やや! ダメでーす! ダメダメ、ルナ様が葉巻を吸ってる姿など、美しくありませんから!」


 あからさまに慌てた様子を見せるソレイユ。

 よくよく考えれば、彼女は謎だらけだ。

 薬の調合もでき、単独で狩もこなす。

 罠も、武器も木材から自分で作り、料理だって美味しい、完璧超人。

 田舎出身だからとは言うが、ここまで出来るものか?

 挙句、この葉巻だ……もしかしたら、これが彼女の謎を解く手掛かりになるかもしれない。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ