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ガチャで破滅した男は異世界でもガチャをやめられないようです  作者: 一色孝太郎
第二章

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第二章第38話 幼馴染の申し出

「あ、えっと。その……」

「「「……」」」


 エレナの、セリアさんの、そしてトーニャちゃんの視線が痛い。支部長はこころなしか嬉しそうに見えるが、もしかするとフラウがいなければトーニャちゃんんことをお姉ちゃんと呼ばずに済むと思っているのかもしれない。


『ほらっ。ディーノ。こんなことだってあるよ! きっと次は神引きだよっ!』

「あ、ああ。そう、だよな。ありがとう。フラウ」


 こんな時でもフラウは優しい。


『うんっ。一緒に頑張ろうねっ!』

「ああ。ありがとう。頑張ってお金を貯めてまたガチャを引いて、今度こそ精霊花の蜜を引いてみせるよ」

『うんっ。きっとだよっ!』


 そう言って笑ってくれたフラウのおかげで少しだけ元気が出てきた。


 そうだ。大爆死などガチャの常だ。運が悪ければこのくらいのことはざらにある。だが、この爆死を乗り越えてこその神引きでもあるのだ。


 フラウがついていてくれる俺の心はこの程度の試練で折れるほどやわではない。


「よし。フラウ。帰ろうか」

『うんっ!』


 そう言って部屋を出ようとしたが俺はエレナに呼び止められる。


「待ちなさい」

「どうした? エレナ?」

「まだフラウが出てきてないんだけど?」

「いや、今回は上手くいかなかったから無理だ。明日になって MP が回復したらまた呼んでやるからそれまで待ってくれ」

「それじゃ……のよ」


 エレナが何かをボソッと呟いたがよく聞き取れなかった。


「え? 何か言ったか?」

「うるさい! いいから早くフラウを呼べるようになりなさいよ!」


 なぜか顔を真っ赤にして怒鳴り始めた。一体何なんだ?


「だから、今日は無理なんだって」

「ああ! もう! 一回たった二万七千なんでしょ? そのくらいあげるわよ!」

「は?」

「いいからさっさとフラウを呼びなさいよ!」


 そう言ってエレナは先ほど換金した大お金の入った袋を俺の前に差し出した。


「え? え? ちょ、ちょっと待て。これはエレナのお金じゃないか。さすがに受け取れないよ」

「だから! あたしがフラウに会いたいの! それにこんなお金、使いようがないじゃない。あたし、まだ学生なのよ?」

「いやいや。だからこそ貯金しとけって」

「ああ! もう! うるさいうるさい! いいから使いなさいよ! それで早くフラウを呼びなさい!」


 またもや顔を真っ赤にして怒鳴り散らすと急に俯いて静かになった。


「それに……(あんたが死んじゃったら意味ないじゃない)……」


 エレナがまた何かをぼそりと呟いた。


「何か言ったか?」

「知らないわよ! 早くしなさいよ!」


 そう言ってエレナは袋を俺に無理矢理押し付けてきた。


「お、おい。エレナ?」


 しかしエレナはプイと横を向いてしまった。セリアさんもトーニャちゃんも支部長も、止めてくれる気は一切なさそうだ。


「な、なあ。フラウ」

『ディーノ。百連くらいならいいんじゃないかな? それに、それくらいならエレナが王都に帰っちゃう前に稼いで返せるでしょ?』

「フラウまで……」

『それにね。エレナの気持ちを無駄にしちゃ可哀想だよ?』

「いや、でも……」

『もうっ! ディーノのヘタレっ!』

「え?」


 俺は別にタラシではないが、よりにもよってフラウにヘタレと言われるとは!


 フラウの言葉が心にグサリと突き刺さる。


『女の子がここまで言ってくれてるんだよっ! 恥をかかせるなんてダメだよっ!』


 女の……子?


 ああ、そうか。そういえばそうだった。エレナが女の子だなんて感じたのはトーニャちゃんにやられて弱っていたときくらいな気もするが、言われてみればそうだ。


 いや、だがな。いくら返す当てがあるからって、いくら相手がエレナだからって借金は借金じゃないのか?


 借金でガチャを引くなんて、破滅へ向かって一直線じゃないのか?


 俺はまずトーニャちゃんをちらりと見るが、トーニャちゃんをパチンとウィンクをすると笑顔で頷いた。


 くっ。ダメか。


 支部長は……興味が一切ないようだ。


 こうなったら最後はセリアさんだ。ガチャを引きすぎないようにといつも忠告をしてくれるセリアさんであればきっと止めてくれるはず。


 そんな一縷(いちる)の望みを託してセリアさんを見ると、セリアさんはにっこりと微笑んでくれた。


「ディーノさん。幼馴染の女の子に恥をかかせるのはいけませんよ」

「え?」

「あまりそんなことをしていると、二つ名が『ヘタレ』になっても知りませんよ?」

「ええっ?」


 いやいやいや。それは困る。


 それにセリアさんまでそう言うってことは、もしかしてこれは俺のほうがおかしいのか?


「ディーノさん。男の子は、ちゃんと決めるべきときにビシッと決めないとダメですよ?」

「は、はい」


 そうか。やっぱり俺のほうがおかしいのか。


 何だか釈然としない気もするが、そうなのかもしれない。


「わかりました」


 そう返事をした俺はエレナに向き直る。


「エレナ。ありがとう。せっかくだから百連だけ引かせてもらうよ。でも、ちゃんとお金は返すからな?」

「……そ。ちゃんとやりなさいよ?」


 エレナはぶっきらぼうな口調でそう言ったが、その表情は何故か少しニヤケていたのだった。

というわけで、おかわり百連を引くことになりました。その引きや如何に? 次回にどうぞご期待ください。


次回更新は通常通り、2021/04/20 (火) 21:00 を予定しております。

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― 新着の感想 ―
[一言] いやん(/ω\*) お股がキュンとしたwww
[良い点] 猛獣の調教も佳境に やがて獣は乙女になるんですね 物欲センサー先生が空気を読んでくれるのか否か
[一言]  エレナのバカ……  溜めておけば結婚資金とかマイホーム資金とか、幾ら でも使い道はあるでしょうが。  まあその前に意中の人が死んじゃったら、意味がなく なるのも確かだけど。
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