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ガチャで破滅した男は異世界でもガチャをやめられないようです  作者: 一色孝太郎
第二章

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第二章第34話 進む攻略

「先に進みますか? 私はまだまだ余裕です」

「いや。進まないよ。君の力はすごいけれど、その前にまずはこの魔石をまずは運び出さないといけないんだ」

「え? でも迷宮核を壊さないと止まらないんですよね? それなら早く行ったほうが!」

「迷宮核がこの階にあるなら君の言うとおり進んでも良いかもしれないね。でも、僕たちはこの迷宮が少なくとも十二階層はあることを知っているんだ。だから、こんな浅い階層からどこにあるかもわからない迷宮核を探してむやみに進むようなことはできないんだ」

「……はぁ。そうですか」


 エレナはあまり納得のいっていない様子だ。


「それに、このペースで魔物が倒せれば今までよりは格段に早く進めるようになるからね」

「無理はしない、ということですね」

「そう。その通りだよ」


 エレナのその言葉を聞いたカリストさんは爽やかに微笑んだ。


「それと、この魔石の大部分は君のものだからね。ここでたくさん稼げば王都に戻ったときにも役に立つと思うよ」

「え? あたしのものなんですか?」


 エレナはさも意外そうな表情で聞き返した。


「そうだよ。基本的には倒した人のものだからね」

「喧嘩になったりしないんですか?」

「大丈夫だよ。こんなところで喧嘩をするようなやつはDランクになんか上がれないからね。冒険者は信用が第一なんだ」

「はい……」

「ただ、魔石は全てギルドが一括して買い上げることになっているよ。その時にギルドは少しだけ手数料を取らせてもらっているんだ。治癒師を派遣してくれている教会や裏方の仕事をしてくれている仲間に払うお金なんかは引かせてもらっているし、ここで頑張っているみんなの日当にもなっているよ」

「なるほど。わかりました」


 エレナは納得したようなしていないような微妙な表情を浮かべているが、結局はそう言って頷いたのだった。


◆◇◆


 エレナが加わってからというもの、迷宮攻略の形は一変した。


 エレナをメインアタッカーとして据え、全員がそれをサポートするという形を取ることで二日に一階層のペースで制圧が進んでいるのだ。


 それもこれも全てはエレナのアーツである『剣の舞』があまりにも強すぎるからだ。


 エレナが言うにはあの剣はエレナが思ったとおりに動くそうで、集中すれば百本くらいまでなら大丈夫らしい。


 それだけでも化け物じみているのだが、もっとヤバいのは空間を完全に把握しているところだ。


 どこに誰がいて何をしようとしているかを把握できているからこそ大量に浮かんでいる剣のうちどの剣をどこに動かせば良いのかを確実に判断でき、その結果としてエレナと相対した敵は攻撃すらできず一方的に倒されていくのだ。


 小さいころからエレナが喧嘩をした相手はいつも自分よりも大柄な相手だけだったが、そんな相手を一方的に殴り倒していのはそのあたりの能力がずば抜けていたからなのかもしれない。


 その当時は「すごい」くらいにしか思わなかったが、トーニャちゃんに稽古をつけてもらったおかげでエレナのやっていることがいかにとんでもないことなのかが理解できるようになった。


 まあ、多少は俺も進歩しているということなのだろう。ま、それでも俺がエレナに勝つようなビジョンは全く見えないがな。


 そんなわけで第四階層から始まったエレナを中心とする攻略は第十一階層まで完了した。


 いよいよ次の階層は地下闘技場のあるあのフロアなのだが……。


「さて。今日と明日はお休みにするよ」

「え?」

「無理はするべきじゃない。特に、エレナちゃんはずっと前線で戦っているんだ。目に見えない疲労が溜まっている頃だからね。一度リフレッシュしておいで」

「あたしは大丈夫です。まだまだ戦えます!」

「まあまあ。そうは言わずに。久しぶりに幼馴染のディーノ君とゆっくり故郷の町を歩いてきたらどうだい?」

「!」


 エレナから息を呑んだような音が聞こえてきた。


「そ、そうですね。それもそうですよね! 休憩も大事ですよね! わかりました! さあ、ディーノ! 行くわよ! 早く来なさい」

「うわっ! 待て! 引っ張るな!」


 そう言ってその細い体からは信じられないような力で俺を引っ張る。


「さあ! さっさとその出張所とやらに行って換金するわよ。案内しなさい!」

「わかった! わかったから!」

「ほらほら、早く!」


 俺はまるで昔のようにエレナに引きずられて迷宮の出口へと連行されていく。


 そんな俺を見守っているカリストさんとメラニアさんの会話が聞こえてきた。


「ふふ。二人は仲良しですわね」

「ああ、そうだね。幼馴染というのは良いものだね」

「あら。でも、大人になってから知り合うのも良いと思いますわ」

「そうだね。僕も君とこうして知り合えて、深く知っていけるのが嬉しいよ」

「わたくしもですわ」

「メラニア……」

「……」


 くそう。リア充め……。


◆◇◆


 エレナの狩った魔石の代金を受け取るため、俺たちは迷宮前にあるギルド支部の出張所へとやってきた。


「はい。王立高等学園のエレナさんですね。ご報告いただいている魔石の換金分は 170 万 8 千マレとなります。ただ、大変申し訳ないのですがここでは全額をお渡しすることはできません。お手数ですがこちらの証文をサバンテの支部へとお持ちください」

「あら? そんなに? 冒険者って思ってたより儲かるのね」

「いえ、普通はここまでになることはないのですが今回は迷宮が相手ですので……」


 受付のおじさんはそう言って困ったような表情を浮かべる。


「そうなの? まあいいわ。それじゃ町に戻ればいいのね」


 そう言ってエレナは証文を受け取ると、俺の予想に反してそのまま自分の鞄にしまった。


 以前のエレナであれば確実に俺にマウントを取ってきていただろう。証文を見せびらかしては「召使いとして雇ってやる」などと言ってきそうなものなのだが……。


 同じものを食べていたんだからおかしなものを食べたと言うことはないだろうし、やはりトーニャちゃんにボロ負けしたせいだろうか?


 今までエレナが誰かに負ける姿なんて見たことがなかったし、相当ショックは大きかったのかもしれない。


 いや、でも迷宮の中にいたときも「冒険者は弱いやつばかり」みたいな発言を他の冒険者たちがいる中で平気でしていたしな。


 ああ、あとはもしかするとフラウのおかげかもしれない。


 迷宮の中でエレナは毎日フラウと話し込んでいたしな。


 召喚するとすぐに「あっち行け」と追い払われれるので何を話していたのかは知らないが、フラウが少しずつ良い影響を与えてくれているのかもしれない。


「さ、ディーノ。行くわよ」


 そう言ってエレナは思い切り俺を引っ張った。


「わかった! わかったから引っ張らないでくれ」


 だがいくら変わったといっても俺に対する扱いは変わらないようだ。


「遅いのよ。早くしなさいよ!」


 悪態をつくエレナに物理的に引きずられ、俺は出張所を出たのだった。

次回更新は通常通り、2021/04/12 (月) を予定しております。なお、次は本編疑惑のあるガチャ回となります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 170万www改めてチートすげぇ
[一言]  尻に敷かれっぱなしのディーノ。  でも案外こういう夫婦が上手く行ったりするのかな。  まだくっつくと決まったわけではないけど。
[気になる点] 基本倒した人のモノ ならヒーラーやバッファーの取り分ほぼないんじゃ? 
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