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ガチャで破滅した男は異世界でもガチャをやめられないようです  作者: 一色孝太郎
第二章

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第二章第4話 ご褒美断魔装備ガチャ(4)

 その後、俺は九十連続けて爆死した。いや、もう。清々しいまでの爆死だ。


 ☆5が出ないどころの話ではない。☆4すら一つも出ないのだ。俺の 27,000 マレがみるみるうちに溶けていく。


「は、ははは……」


 これは、キツイ。いくらフラウの応援があってもこの状況で引き続けるのは相当精神的にくるものがある。


「ディーノ……」


 気が付けばフラウが心配そうに俺を見つめていた。


 その視線に気付いた時、俺はハッとした。


 そうだ。何をこんなところで諦めているんだ。こんなところで諦めちゃダメだ。


 そう、諦めたらそこで試合終了なのだ。


「大丈夫だ。フラウ。応援してくれ! 俺はこの十連で神引きしてやる!」

「ディーノ……うん。うんっ! がんばれっ! ディーノっ! ディーノなら神引きできるよっ!」

「ああ! 任せろ!」


 俺は気合を入れ直し、そしてガチャを引くボタンをタップする。いつもと変わらない様子で妖精たちが宝箱を運んでくる。


 銀箱が三つだが残念ながら金箱はないようだ。


 だが俺は諦めない。まだ試合終了にするわけにはいかないのだ。


「変われっ!」


 俺は冷静に、だがしっかり気合を入れて画面の中の妖精と共にパワーを送る。


 すると次の瞬間、銀箱が金箱に変化する。


「さあ来い! ここで盾! 綺麗に終わるんだっ! 行けっ!」


 そして金箱がゆっくりと開き、中からは『断魔の宝冠』が飛び出してきた。


「断魔! あーっ! 頭かっ! あーっ! くそっ!」

「惜しいっ。でも近づいてるよっ!」


 そう。フラウの言う通り惜しかった。あとちょっとだったのだが……。


「ああ。くそっ! だがまだだ。銀箱がまだ二つあるからな。これを二つとも金箱に変えれば良いんだ。そう。できる。引ける。引ける! 俺はっ! 引く!」


 そして次の銀箱は……変化せずに『毒消しポーション(低)』が出てきた。


「ま、まあいいか。貴重品だからな。まだ次がある」


 俺は他の箱を開けていき、そしてついに最後の銀箱の順番になった。


「来い! 来い! 変われ! 変わって! 良いんだぞ!」


 しかし俺の気合も届かずに銀箱のまま箱は開き、中からは『HP強化』が出てきた。


「ああぁぁ。ダメか。いや、でもHP強化なら当たりじゃないか。よし!」

「うんっ! よかったねっ。ディーノっ!」

「ああ。そうだな。それにまだあと二百連する分の弾はあるんだ。そこで盾を引けばいいんだからな」

「そうだねっ。ディーノっ! がんばれっ!」

「おうっ!」


 俺は再び百連分のチケットを購入するとすぐにガチャを引いていく。


 最初の二十連は爆死だ。


「まぁまぁまぁまぁ。このくらいは織り込み済みだからな」

「平常心だよっ! ディーノっ!」

「わかってるって。フラウの応援があればこの程度の事はへっちゃらだからな」


 そう。ここまでの辛い経験が確実に糧となって、そしてフラウの応援のおかげで俺のメンタルは確実に成長している。


 ()まない雨はない。明けない夜はない。覚めない悪夢はない。


 それと同じように、抜け出せない沼などないのだ。


「さあ、次だ。この百連で、俺は決めきってやるからな」


 そのためにもこのつなぎの三十連目も重要だ。そのためにもここで一発、銀箱でステータスアップを引いておきたい。その引いた良い流れを活かして一点狙いの盾を残る六十連で引き当ててやるのだ。


「来いっ!」


 ガチャを引くボタンをタップすると、またもやいつも通りの光景から妖精が宝箱を運んでくる。


 木箱、銅箱、木箱、木箱、木箱、銀箱、銅箱、銅箱、木箱、木箱だ。


 よし!


 予定通りに銀箱を引き当ててやったぞ。ここでステータスアップを引いて良い流れを作りたいところだ。


 俺は順々に宝箱を開けていき、『薪』『鉄の小鍋』『皮の紐』『腐った肉』『ただの石ころ』の順に出てきた。そして銀箱の順番となる。


「よし、来い。ステータスアップ!」


 そう叫んだ瞬間、銀箱は金箱へと変化する。そして……。


 『☆5 断魔の盾』


「え!?」


 全く予想していなかった展開に俺は思わず間の抜けた声を出してしまい、そして画面をしばらくの間呆然と見つめる。


「――ノ? ディーノ? やったよ? ねぇ! やったんだよ?」

「え? あ、あ、え? 嘘? 夢……じゃない?」

「夢じゃないよっ! ディーノ、ついに引いたんだよ! おめでとう! ディーノっ! がんばったよっ!」

「あ、ああ。そうか。ああ、やったのか」


 何だろう。叫ぶ気も起きない。ただただやったという達成感が押し寄せてくる。


 そして何故か目の前の視界が(にじ)んでいる。


「そうだよ! ディーノはやったんだよ! おめでとう!」

「ああ……。あ! そうだ。フラウ。ありがとう。応援してくれて」

「ううん。ディーノが頑張ったからだよ。あたしは応援しただけだもん」

「それでも、ありがとう。フラウが応援してくれなかったら俺はここまで引けなかったからな。フラウのおかげだ。ありがとう」

「もう。ディーノったら……」


 そう言うとフラウは俺の顔の近くにふわりとやってくるとまた頬にちゅーをしてくれた。


「えへへ。お祝い」

「ああ、ありがとう」


 何とも暖かい空気が流れる。


 だが、まだガチャは終わっていない。


 感動の余韻に浸りつつも俺は次の箱を開けていく。


 『☆4 MND強化』


「おおっと!?」


 予想外に銅箱が銀箱へと変わり、中からついに今まで一度も出なかった『MND強化』が出てきた。どうやらちゃんと実装されていたらしい。


「やったねっ!」

「ああ。ありがとう! あとは残りのチケット分だけ引いたら撤退だ」

「うんっ! 大満足の結果だね」

「ああ」


 俺は勝利の余韻に浸りつつ、残りの箱を開けた。大したものは出なかったので次の十連を引いていく。


 それからの六十連は☆5は出ず、☆4も鉄の剣が出ただけで爆死だったがもはや気にならない。


 なぜなら今俺は、いや俺たちはビクトリーロードを歩いているのだ。花吹雪が舞う中スポットライトを浴び、俺たちは勝利の栄光を噛みしめている、そんな状況だ。


 出ようが出まいが関係ない。いわばオマケが貰えたかどうかの違いでしかないのだ。


 さあ、残るはあと十連だけだ。


 俺はここまでの苦しかった道のりを振り返り、フラウの応援を思い出し、そして万感の思いを込めて最後のガチャを引く。


 何百連目だろうとも妖精たちはいつも通りに宝箱を運んでくる。


 木箱、木箱、銅箱、銀箱、木箱、木箱、木箱、木箱、木箱、銀箱だ。


「最後に銀箱二つは嬉しいな。良いのが出てくれると嬉しいんだがな」

「そうだねっ。やっぱりステータスアップ狙い?」

「うーん。まあ、できればステータスアップが出ればいいかな。金箱に変わって剣術や体術、それに魔法が出ても嬉しいかな」

「出るといいねっ」

「ああ」


 せっかくだからゆっくりと開けていこう。


 『☆2 馬の糞』

 『☆2 馬の糞』


 おい、やめろ。それは後始末が大変なんだ。


 そうは思うものの、これが勝者の余裕といったところか。馬の糞が出ても笑って許せてしまう。


 『☆3 鉄の小鍋』


 まあ、この小鍋は割と使えるしな。今までの分と合わせてそろそろ十個くらいは引いたような気もするが、まあいいだろう。


 さあ、次の銀箱だ。何が出るかな?


『☆5 断魔の鎧(上半身)』


「うおぉっ!?」


 思いがけずに金箱へと変わり、そして断魔の鎧の上半身が出てきた。確か迷宮の中でも出ていたから、これで2凸ということになる。


「やったねっ!」

「ああ。ありがとう」


 しかし、出そうと思わなくなってから途端にいいものが出るようになってきた気がするな。


 これはもしかすると、このガチャには物欲センサーがついている可能性があるのかもしれない。もしそうとなると、今後のガチャではより平常心でつなぎと流れを意識することが重要かもしれない。


 これは中々いい経験ができた気がするぞ。


 だが、これもやはり勝利したからこそ分かったことなのだろう。


 勝利のすばらしさを再認識したところで、俺は再び残りの箱を開いていく。


 『☆2 動物の骨』

 『☆2 馬の糞』


 いやいや。だから馬の糞は片付けがだな。


 『☆2 腐った肉』


 おい! それも臭くて片付けが大変な事には変わりないからな!?


 『☆2 馬の糞』


 だからって馬の糞に戻すな!


 『☆2 ただの石ころ』


 そうそう。こういうのでいいんだよ。


 さて、最後の銀箱からは何が出てくるかな?


 俺は穏やかな気持ちで最後の銀箱を開いた。


 『☆4 VIT強化』


「え!?」

「ディーノっ! やったねっ! おめでとうっ!」


────

今回のガチャの結果:

☆5:

 杖術

 水属性魔法

 断魔の宝冠

 断魔の鎧(上半身)

 断魔の鎧(下半身)

 断魔の盾

☆4:

 AGI強化×2

 DEX強化

 HP強化×2

 MND強化

 VIT強化×2

 ショートボウ×2

 治癒のポーション(低)×2

 鉄の鎧(下半身)×3

 鉄の鎧(上半身)

 鉄の兜×2

 鉄の剣×3

 毒消しポーション(低)

 魔術師のローブ

 魔術師の帽子

☆3:

 テント(小)×11

 火打石×5

 干し肉×4

 堅パン×10

 石の矢十本×8

 虫よけ草×4

 鉄のスコップ×6

 鉄の小鍋×10

 銅の剣×11

 皮のブーツ×8

 皮の鎧(下半身)×6

 皮の鎧(上半身)×6

 皮の盾×6

 皮の水筒×9

 皮の袋×7

 皮の帽子×7

 片刃のナイフ×6

 木の食器セット×5

 薬草×7

 旅人のマント×6

☆2:

 ただの石ころ×43

 枯れ葉×41

 糸×44

 小さな布切れ×32

 薪×40

 動物の骨×33

 馬の糞×52

 皮の紐×63

 腐った肉×41

 藁しべ×39


レアリティ毎の出現比率:

☆5:1.00% (6/600)

☆4:4.00% (24/600)

☆3:23.67% (142/600)

☆2:71.33% (428/600)

終わってみれば☆5と☆4は確率通りに出ていました。


ちなみに、このまま撤退せずに有り金を全部突っ込んでもう百連引いていた場合は『☆5 体術』と『☆4 AGI強化』が出ていました(先に七百連分の結果をまとめて引いてありました)。


撤退の判断が正解かどうかは微妙なところですが、せっかくもらった報酬を使い果たさずに済みました。爆死すればよかったのに、ちっ。


なお、鉄の小鍋は通算は十七個引いています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ホント運良いなww [一言] 主人公確率知らなかったのか…… ガチャに慣れているせいか、 > 注)提供割合と提供元は非常に小さな文字で書かれている の文章を見て「別ページやブラウザ強制立ち…
[一言] いや破産寸前やし…
[一言] ガチャ引いて破産してるのに1%ガチャで180連すれば星5出るとか言ってる時点で、頭が沸いてるんじゃないのか?と思ってしまいます 1%のガチャで普通に500くらいハマるし破産するほどガチャして…
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