表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガチャで破滅した男は異世界でもガチャをやめられないようです  作者: 一色孝太郎
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/124

第23話 再びの百十連

2021/01/12 ご指摘いただいた誤字を修正しました。ありがとうございました

 フリオの視線に危険な気配を感じた俺はこっそりとガチャのスクリーンを開いて素材の売却代金の取り分として受け取った 30,000 マレのうち 27,000 マレを課金してガチャチケットへと交換しておいた。


 俺がフリオに絡まれたとして勝てるかどうかはわからないからな。


 それから護衛依頼の達成報酬もフリオに睨まれている事を理由にギルド預かりとしてもらい、魔石の売却完了時にまとめて支払ってもらうようにお願いして冒険者ギルドを出た。


 そしてしばらく歩いて行くと後ろから走って追いかけてきたフリオが俺に因縁をつけてきた。


「おい! ハズレ野郎!」


 俺はまたもや無視して人通りの多い場所へと足を向ける。


「おい! 待てよ! この卑怯者!」


 やはり俺は無視して歩き続けると、フリオはようやく俺を名前で呼んだ。


「おい! ディーノ! 無視するんじゃねぇよ!」

「俺はお前に用はない」


 そう言って再び歩き出す。


『ディーノ! 危ない!』


 俺はフラウに言われて慌てて横に飛び退いた。すると俺のいた場所をフリオの拳が通過した。


「何のつもりだ?」

「うるさい! この野郎! ハズレ野郎のくせにセリアさんにもカリストさんたちにも取り入りやがって。しかも何でお前だけEランクに合格してるんだ!」

「言いがかりはやめてくれ。俺は普通にしているだけだし、お前が不合格になったのが気に入らないならトー……じゃなかったアントニオさんに言ってくれ。俺がどうにかできるとでも?」

「うるせぇ! ハズレ野郎が一人前の口をきいてるんじゃねぇ!」

「いや、お前よりも俺の方がランクが上なんだからお前に言われる筋合いはないと思うんだが」


 周囲には野次馬がおり、くすくすと笑い声を聞こえてくる。


 ちなみに今の俺はこの程度の事を言われても何とも思わない。俺はカリストさんたちという手本にすべき先輩冒険者に出会えたのだ。


 そう、前とは状況が違うのだ。むしろ、下らない事で自分のギフトを活かす方法を見つけられない哀れな奴だとさえ思う。


 だがもしかすると俺のそんな思いがつい表情に出てしまっていたのかもしれない。


「な、なんだその面は! 生意気だぞ!」


 フリオは顔を真っ赤にして力任せに殴りかかってきた。だが俺は【体術】スキルに身を任せてその拳をいなすとその突っ込んできた勢いを利用して投げ技で転ばせて地面に抑え込んだ。


「正当防衛だ。これだけの衆人環視の中殴りかかってくる方が悪い。これ以上やるなら衛兵を呼ぶぞ?」

「なっ!? く、こ、こんなはずは! ええい、くそっ! 放せ!」


 俺はフリオを解放すると距離を取った。周囲の野次馬たちからはフリオを指さしてひそひそと何かを話しているような声が聞こえてくる。


 それを認識したのか、フリオは顔を再び真っ赤にして立ち上がると悪態をつきながら立ち去って行ったのだった。


 やれやれ、何がしたかったんだか。


****


「ディーノの~! 冒険者ガチャ、おかわり百十連! いえーい!」


 家に戻るとフラウが突然ハイテンションでそんなことを言い出しては、パチパチパチと拍手をして盛り上げ始めた。


「ディーノ選手! 再び冒険者ガチャの百十連に挑むということですが、意気込みを教えてください」


 なるほど。今日のフラウはそういうノリとテンションで行くらしい。だがしかしどうしてこんな選手へのインタビューなんてネタを知っているのだろうか?


 いや、そんなことは大した話じゃないな。ここはフラウに合わせて盛り上げるべきだろう。


「そうですね。前回は神引きとまでは言えない微妙な結果でしたので、今回こそは神引きしたいと思います」

「なるほどー。今回のディーノ選手の狙いはズバリ、どれでしょうか?」

「そうですね。狙いはたくさんありますが一番は☆4のステータス強化、特に『MP強化』は是が非でも欲しいところですね。それと☆5はどれでも欲しいですね」

「では、『MP強化』の一点狙いなんですね」

「そうなりますね」

「自信のほどは?」

「もちろん、きっちりと引いて見せますよ」

「おおっと。これは頼もしいですねー。それでは頑張ってください」

「ありがとうございます」


 ネタだとわかっていてもこうしてインタビューをされると何だかついついその気になってしまう。


 よし、引く。引けるぞ! 俺は、絶対に! 引く!


 そう気合を入れるとガチャのスクリーンを開いた。そして大きく深呼吸をして精神統一をし、そしてガチャを! 俺は! 引くッ!


 俺の気合に応えるかのように妖精たちが箱を一生懸命運んでくる。その内容は……。


「えっ!? 全部木箱?」


 いや、まだだ。まだ慌てるような時間帯じゃない。そう、ここから変化するはずだ。銅箱銀箱金箱どれに変わっても良いんだ!


 来い! 来い! 来い!


 しかしどの箱も変化することなく全てが木箱のままで終わってしまった。オマケのひと箱も『堅パン』が出ただけだった。


「ああっ。くそっ!」

「ディーノ、大丈夫だよ。まだ一回目だもん。これから神引きできるって」


 悔しさに顔を歪めた俺をフラウが励ましてくれた。すると不思議と引けそうな気分になってくる。


「ああ、そうだな。ありがとう、フラウ。よし。行くぞ! 来い!」


 俺は次のガチャを引いた。銅箱が二つと木箱が八つだ。やはり確定でないと中々銀箱や金箱は厳しいようだ。だがここから変化することだってあり得るんだ。


 俺は希望を捨てずに気合を送り続ける。


「行けっ! 変われっ!」


 俺の気合に応えてくれたのか、木箱が一つ銅箱に変わった。そして銅箱からは『皮の鎧(下半身)』が出てきた。


「おおっ? これは当たりか? よし! これで鎧の上下が揃ったぞ」

「おめでとー! 上半身だけ装備している変態から脱却だねっ!」

「お、おう」


 ちょっと気にしていたのでズバリと言われるとそれはそれでグサリと来るものがある。


 そしてあと二つの銅箱からは『皮の袋』と『皮の水筒』が出てきた。皮の袋は消耗品だし水筒も必要なので買ってしまったのだが、どちらも予備があって困るものでもないので当たりといえるだろう。


 ちなみオマケの箱は『☆2 腐った肉』だった。


「よしよし。悪くない結果だ。じゃあこの流れで次っ!」


 俺は間髪入れずに次のガチャを引いていく。こういう良い流れを次に引き継いでいくことが大事だからな。


 スクリーンの中では再び妖精たちが箱を一生懸命運んでくる。銅箱が三つに木箱が七つだ。そして残念ながら木箱はどれも変化しなかった。


 銅箱からは『テント(小)』が二つと『鉄の小鍋』が出てきた。


 おい! お前ら何個目だよ!


 そしてオマケも『☆2 糸』だったので今回は完全なる爆死だ。


「ええい、次っ!」


 次は銅箱二つと木箱が八つだ。そして一つが銅箱に変化して、そこからは『火打石』が出てきた。


「おお、これはこれでありだな。自宅用と野営用で使い分けができる」


 ハモラ村に行くときは自宅で使っている火打石を持ち出していたので冒険に出る時に持ち運ぶ専用の火打石が手に入るのは便利になってありがたい。


 そして次の銅箱が開きアイテムが飛び出してくる。


『☆3 火打石』


「なんでだよっ! どうしていきなりかぶってるんだよ! おかしいだろ!」


 思わず大声でツッコミを入れてしまった。前世の頃もガチャでこういう経験は何度もしているが、それでもこの狙ったかのような事態には我慢できなかった。


「えー? でもおうちの火打石が使えなくなった時の予備に使えるよー?」

「う、それもそうか」


 フラウに冷静に言われて俺も落ち着きを取り戻すことができた。よし、次に行ってみよう。


 ちなみにもう一つの銅箱が『旅人のマント』、オマケは『☆2 ただの石ころ』だった。


 俺は次のガチャを引く。冷静な気持ちになって引くガチャなら出る気がする。

 そしてスクリーンの中で妖精たちが運んできた箱の中に銀色の箱が見える。


「よし!いいぞ! よし! 来い! MP強化!」


 そして銀箱が開かれて中から飛び出してきたのは『毒消しポーション(低)』だった。


「は、ははは。この前はお世話になったよな。毒消しポーション。はぁ」

「えへへ。これで毒を受けても安心だねっ」

「いや、そもそも毒を受けるような事態にはなりたくないわけだが、まあいいや。ちゃんと保管しておこう。貴重品だしな」


 ちなみに残りは銅箱が一つで『☆3 虫よけ草』が、オマケからは『☆3 干し肉』が出てきた。


 虫よけ草というのは野営をする時になどに(いぶ)すと虫が寄って来にくくなる草だ。一束 10 マレくらいで買うことができる。


 よし、次に行ってみよう。


 俺は次のガチャを引いたが残念ながら爆死だった。ただ、オマケで『☆3 木の食器セット』というものが出て来た。木でできたお皿とフォーク、スプーンのセットなのでこれも野営をする時には役立つだろう。


 そしてこのまま爆死を繰り返し、最後の十一連になってしまった。


「ええっ!? もう終わりなのか!?」


 思わずそんな情けない声が飛び出してしまう。


「大丈夫だよ。ディーノなら神引きできるって! ディーノはラストで決める男だよ!」

「そうだな。よし! 残り物には福がある。神引きだ。行くぞ! 来い! MP強化!」


 俺は全ての集中力を使い、タイミングを見計らってガチャを引く。


 今日最後の妖精たちの頑張りだ。銅箱が三つに木箱が七つ、さあ、その中のいくつがかわるかが問題だ。


 銀箱になっても! 金箱になっても良いんだぞ!


「来いっ!」


 そんな俺に願いも空しく変わったのは一つで、木箱が銅箱になっただけだった。銅箱の中身は『皮の帽子』が二つ、『木の食器セット』が一つ、『干し肉』が一つだった。


 どうやら今日のガチャの神様は『木の食器セット』がおすすめらしい。


「さあ、頼む! ラス1! ここで来い! MP強化! 来い! 来い!」


 俺の願いに応えるかのように眩い光を放つ箱がパカリと開き、中身が飛び出してきた。


『☆5 剣術』


「え? 被った? うそっ!?」

「すっごーい! ディーノおめでとー! これで【剣術】のスキルはレベルが上がったよ!」

「え? あ、あっ! よーし! よし! 見たかこの神引き! よーし!」


 MP を強化することはできなかったが【剣術】のスキルのレベルが一つ上がるというのは嬉しい。【剣術】のスキルを得ただけであれだけの動きができるようになったのだから、レベル2に上がればきっともっとすごくなるだろう。


 明日の冒険が楽しみだ。


 そんな高揚感と共に俺は眠りについたのだった。


────

今回のガチャの結果:

☆5:

 剣術

☆4:

 毒消しポーション(低)

☆3:

 テント(小)×4

 火打石×2

 干し肉×2

 堅パン

 石の矢十本×3

 虫よけ草×2

 鉄のスコップ

 鉄の小鍋

 皮の鎧(下半身)×2

 皮の盾×2

 皮の水筒

 皮の袋

 皮の帽子×2

 片刃のナイフ

 木の食器セット×2

 旅人のマント

☆2:

 ただの石ころ×7

 枯れ葉×8

 糸×5

 小さな布切れ×9

 薪×12

 動物の骨×12

 馬の糞×5

 皮の紐×7

 腐った肉×7

 藁しべ×8

【剣術】が出てくれましたが、☆4が一つしか出ていないので全体で見れば爆死ですね。


 そしてディーノは結局MPをゲットできませんでした。もっと稼いでガチャを引かないといけませんね(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] そろそろ余ったヤツ売ろ? 骨とか料理する人に売れそうやし テントも予備以外売りゃ良いぢゃんって思う…。
[良い点] ガチャの雰囲気が出ていていい感じだと思います。 [一言] 最終的な目標があるとわかりやすくなると思いますが、今は見返すのが一番なのでしょうか? 続きを楽しみにしております。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ