第18話 共同受注
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2021/01/06 ご指摘いただいた誤字を修正しました。ありがとうございました
「共同受注ですか?」
俺が冒険者ギルドへと向かうと、受付でセリアさんにそんな提案をされた。
「はい。ディーノさんのお人柄であれば、という事で『蒼銀の牙』の皆さんからお声がけいただいたんですよ」
「カリストさんたちが?」
「はい。ここサバンテの町に属する村の一つであるハモラへと向かう商隊の護衛依頼となります。Cランクの依頼なのですが定員が五名ですから、この間の一件もあって気を利かせて頂いたのだと思います」
「なるほど」
「達成時の報酬はお一人当たり 1,000 マレで、明後日から契約期間はサバンテへ戻ってくるまでとなります」
「通常はどのくらい時間がかかるんですか?」
「ハモラですと商品を積んだ馬車な駄獣の足ですと片道二日の道のりとなります。現地での滞在は三日と伺っておりますので、合わせて一週間となります。また、ハモラでの滞在費用はハモラ村が出す慣例となっておりますので不要となります」
これは、渡りに船かもしれない。
フラウの早とちりをどうにかするために受注していた常設依頼だとミッションの達成率は一件分しか進まなかったし、北の森のゴブリンもあまり見かけなくなってしまったので少し困っていたのだ。
食肉となる野生動物を狩っても良いのだが、それでは単純に売れた肉の金額になってしまうためあまり実入りはよろしくない。
それに対してこちらは俺では普通は回してもらえないであろう高ランクの依頼だ。しかもカリストさんたちとであれば信頼もできるし、商人との知り合いができるというのもありがたい。
というのも、冒険者は自分のランクに応じた依頼しか受けることができないのだ。Eランクの俺は本来、町の周囲で魔物を討伐したり野生動物を狩って肉や毛皮を売るのが主な仕事だ。
ついでに言うと、Dランクに上がれば日帰りではない依頼を受けられるようになる。つまり、Dランクからは薬草や鉱物などの珍しい動植物の採取依頼や強い魔物の討伐依頼を受けられるようになり、お金にも多少の余裕ができるらしい。
そしてCランクではじめて護衛依頼を受けられるようになる。護衛依頼はギルドの信用問題にもなるため、高い人格と確実に依頼者を魔物から守る腕のある冒険者を厳選しているという事なのだろう。
「あの、単純な疑問なんですけど、一人に 1,000 マレも払って商隊は赤字にならないんですか?」
セリアさんはその質問が予想外だったのか、いつもの笑顔が崩れてポカンとした表情になった。そしてすぐに我に返るとまたいつもの笑顔に戻った。
その様子を俺は、美人はそんな表情をしていても美人なのだな、などとすごくどうでもいい事を考えながら見つめる。
俺の視線に気付いたのかセリアさんは恥ずかしそうに小さく咳払いをすると理由を説明してくれた。
「失礼しました。実はですね。こういった村人の生活を支えるための商隊には領主様から補助金が出ておりまして、冒険者ギルドに支払った護衛依頼の金額の八割が商隊に還付されるのです」
「ああ、なるほど。商隊が行かないと村人たちの生活が成り立たないってことですか。魔物も出ますしね」
「はい。仰る通りです」
「わかりました。では、お言葉に甘えて依頼をお受けいたします」
「かしこまりました。それでは、明後日の朝七時にホアキン商会の正面玄関前にご集合ください」
「了解です。それでは、行ってきます」
「はい。行ってらっしゃい。どうぞご武運を」
そう言ってセリアさんは華やかな笑顔を浮かべた。
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「やあ、ディーノ君。おはよう。今日からよろしく頼むよ」
「おはようございます。こちらこそ良い依頼にお誘い頂きありがとうございます。よろしくお願いします」
「オウ。よろしくな!」
「ディーノくん、頼りにしていますよ」
「その節はありがとうございました。わたくしも、頼りにしていますわ」
リカルドさん、ルイシーナさんにメラニアさんもいる。メラニアさんは毒の後遺症もないようですっかり元気な様子だ。
「よろしくお願いします。メラニアさんもすっかりお元気なようで、何よりです」
「うふふ。ディーノ様のおかげですわ」
そう言ってにっこりメラニアさんが微笑んだが、俺の視線はその爆乳にどうしても向かってしまう。
『こらー! ディーノ! やらしい目で他の女をみるなー。見るならあたしを見なさいー』
いや、だって、しょうがないじゃないか。フラウはミニチュアサイズな上に完全にお子様だし。
そんなことを思っていると建物中から声をかけられた。
「皆さん。お集まりですな」
そして商会の扉が開かれ、中から一人の中年男性が姿を現した。
「ホアキンさん。今回もよろしくお願いします」
カリストさんが中年男性にそう挨拶し、俺たちもそれに倣う。
「おや。あなたが新人のディーノ様ですな。お噂は伺っております。ホアキン商会の会頭をしておりますホアキンと申します。この度はどうぞよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします」
こうして顔合わせを済ませた俺たちは朝のサバンテの町中を歩き出した。
商隊は大型の馬車が五台というかなりの規模で、それぞれの馬車には大量の物資が積み込まれている。俺たちはゆっくりと進む馬車に遅れないように歩いて後ろをついていく。
俺たちが冒険者ギルドの前を通ると、ちょうどギルドから出てきたフリオを見かけた。フリオはものすごい目で俺の事を睨んできたが、それを無視して歩を進めたのだった。




