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25/25

25話

↓コンテ

https://www.pixiv.net/artworks/86867705



(擬音・吹き出し外文字)

「セリフ」

{人物モノローグ}

<ナレーション・モノローグ・解説・歌>



●1

 体育祭翌日。

 通学路。

 登校中のマキミキ。

 タイトル。

■大

 心配顔。

マキミキ{昨日は「大丈夫」って言ってたけど……}

 教室に入ってくるマキミキ。

 ワイワイと騒がしいが、教室でまれちゃんの席の周りだけ避けているように人がいない。

●2

 座っているまれ、うつむいて髪の毛ばさりと垂れて顔が見えない。

 見るからにおどろおどろしい落ち込みかた。

マキミキ{全然大丈夫じゃないじゃん!}

 と驚く。

伊田「やめなよ、そういうこと言うの!」

伊田「いきなり殴られっかもよー!?」

 と伊田と加山が笑いながらじゃれている。

 チラっと周りをみまわすマキミキ。

 不機嫌そうな加藤、ヘラヘラしている榎本、吉川。

 まれの方を見てヒソヒソ話しているサイトっちとチカ。

●3

マキミキ{空気悪いなあ……}

 うんざりしてため息。

インチョー「おはよう」

 後ろから現れるインチョー。

 軽くビクっとなるマキミキ。

マキミキ「あ、おはよ」

 とまどいつつ。

 インチョー、マキミキを追い抜いて前に出て、

インチョー「まれちゃんおはよう!」

 とあえて元気に声を出す。

 加藤、榎本、吉川、インチョーたちのほうを見る。少し驚いて。

 少し顔を上げて垂れた髪の隙間から目を見せるまれ。元気ない。

まれ「…おはよう」

 クスクス笑っている伊田と加山。やな感じ。


●4

 昼休み。第二音楽室。

 昼ご飯食べながら。

まれ「……前田くん、来なかったね」

インチョー「まだ歩けないのかも」

マキミキ「ねえ、まれちゃん顔色悪いよ」

まれ「なんか、寝れなくて」

 まれを見る無表情のインチョー、サンドイッチを口に運びつつ。

まれ「夜中ずっとギター弾いてた」

■大

マキミキ「……」

 まれの落ち込みの深さとギターをもってしても癒せない状況に少し衝撃を受ける。

 

●5

 翌朝。

 団地の外観。

マキミキ{ブルーズが}

 マキミキの家(団地)、自室。

 制服に着替えているマキミキ。

マキミキ{深すぎるんだろか?}

マキミキ{……そういや、あたしも次のライブでギター弾くんだった}

 と壁掛けカレンダーを見る。

マキミキ{学校でも練習すっかな}

マキミキ{これにしよ…}

 とZO-3の入ったソフトケースをつかみあげて。

●6

マキミキ「お兄ぃ」

マキミキ「ぞーさん貸りるよー?」

 直登の部屋をのぞきこむ。

マキミキ「いーい?」

 寝てる直登に。

 台所。

マキミキ「……」

 メモに伝言を書く。

マキミキ「パンあるから食べてね!」

 メモに「ぞーさん拝借 ミキ」と書かれている。

 バタバタと出て行く音。

マキミキ「いってきまーす!」


●7

 学生の群れとともに電車を降りるマキミキ。ギターソフトケース背負って。

 どこかぼんやり。

マキミキ{天気いーなー}

 学生の群れの中階段を下りる。

マキミキ{ああ}

 足元前方をみつめながら改札を出る。

マキミキ{なんか学校行きたくない}

 と立ち止まる。


●8

 前を見る。

 立ち止まっているインチョーの後姿。

 前を見ているインチョーと、インチョーの見ているほうを見るマキミキ。

 少女漫画的に、何か始まる雰囲気漂う。

 インチョーなめ、前からまれちゃんがうつむき気味に歩いてくる。


●9

 まれちゃん、インチョーと目が合う。

■大

 インチョーを前後で挟むように3人が偶然集まる。

3人「……おはよう」

 ちょっと嬉しい偶然を感じている。

 背後で3人と関係なく登校していく学生たち。


●10

インチョー「まれちゃん…」

インチョー「なんで学校のほうから来たの?」

 なんか可笑しいというように少し微笑みながら。

まれ「……うんと」

 サボるのを見つかったのでテレるように考えて、

 見守るように優しく微笑しているインチョー。

まれ「いやあ…、今日はどっか遠くに行こうかなあって」

 と頭にてをやりながら。

マキミキ「ああ」

マキミキ「どっか遠くかあ」

インチョー「そりゃいいね」

 破顔するふたり。


●11

 ターミナル駅構内を歩く3人。

インチョー「で? どっかって?」

 売店で駅弁を買う3人。

マキミキ「海だよ、やっぱ」

まれ「うーみー」


 他に乗客がいない、貸切状態の列車。


●12

まれ「わたしたちだけだねー」

 三人の席。

インチョー「なんか旅行みたい」

マキミキ「海行くならギターなんかもってくんじゃなかったな」

インチョー「どうしたの?」

 とギターを見て。

マキミキ「ほら、もうすぐライブだから練習しようと思ってさ」

 ケースを引き寄せるマキミキに、

まれ「みして」


●13

 ギター全体が見えるアップ。

インチョー「アンプ内蔵なんだ?」

マキミキ「おもちゃみたいでしょ」

マキミキ「ZO-3ていうんだ」

まれ「ぞーさん?」

マキミキ「そ! 象さんみたいだから」

まれ「かわいー!」

 とギターを受けとる。

 まれ、童謡の「ぞうさん」をブルーズ調に弾く。

(ピンピテレテ キュルリンパ ビッビビュピュン↓♪)

インチョー「旅にブルーズか」

●14

(ぎゃっくぎゃっく ぎゃっくぎゃっく ぎゃっくぎゃっく ぎゃっくぎゃっく)

(ぎゅーんぎゅぎゅん ぎゅーんぎゅぎゅん)

まれ<ぞ~~さん ぞ~~さん>

(ぺんべべーーぺん ぴゅんりゅーりゅーりゅんりゅりゅりゅりゅりゅーん)

まれ<お~~はなが ながいのね~>

 思わず顔を見合わせて笑うインチョーとマキミキ。

(てゅ~~たん たらりらら~ん)

まれ<そ~~~よ かーさんもぅお>

(ちゃりこちゃらりららら~ん~~)

まれ<……!(タメ)>

 まれの苦悩するような顔。

(ちゃ~・ら・り・こ・りゃ~ん↓♪)

まれ<な~・が・い・の・よ~~>

(でっで ででこ ででこ でっででん)

(ぼーん ぼろーん じゃっ)

ZO-3ブルース

http://www.youtube.com/watch?v=yE81olp22vE


●15

インチョー「ぞうさんのブルーズ!」

マキミキ「あっはっは!」

 手を叩いて笑う二人。

まれ「エレキ、面白いね」

マキミキ「じゃあ、ブルーズで列車の旅といえば!」

 とハーモニカを取り出す。

http://www.youtube.com/watch?v=SWwa216fOyQ

(ぽーぅぽーーう!)

 と汽車の形態模写のハーモニカ演奏。

(しゅーーっ)

インチョー「汽車だ」


●16

(ぽぅぽぅしゅっ ぽぅぽぅしゅっ ぽぅぽぅしゅしゅっ)

(ぽぽしゅしゅっぽぽしゅっしゅっぽぽしゅしゅっぽぽしゅっしゅっ)

 走る列車。

(しゅしゅぽぽっしゅしゅぽぽしゅしゅぽぽっしゅしゅぽぽしゅしゅぽぽっしゅしゅぽぽ)

 車窓を流れる景色。

(ぽーぅぽーーう!)

 疾走するSLのイメージを背負って吹きまくるマキミキ。

(ぶがじゃがぶがじゃがぶがじゃがぶがじゃがぶがじゃがぶがじゃが)

(ぽーぅぽーーう!)

 楽しそうに吹き上げるマキミキ。

 笑顔のまれ。


●17

 窓を開けて進行方向を見ながら、ギターを弾き、ハーモニカを吹き、大きく口を開けて歌う3人。

 駅弁。

 車内で駅弁を開けて食べる3人。

 マキミキ「トリップだねえ」

 窓の外を見るマキミキ。海が見える。


●18

 目的駅のホーム、列車をおりて階段を降りようとする3人。

 ここからギターケースはまれが持つ。

 駅員と話しているインチョー。

インチョー「海あっちだって」

マキミキ「海だ海だ!」

 突堤のある漁港近くの浜まで来た3人。


●19

まれ「きたないね」

 嫌悪するでもなくあっけらかんと。

インチョー「港湾だし」

インチョー「大きな砂浜はむこうまで歩かないとだね」

マキミキ「あの岩場に行ってみようよ」

 と指差す。

インチョー「ん?」

 と足もとに何かを見る。

 カサカサと走るフナムシ。

インチョー「ぎゃー!」

マキミキ「ど、どうしたどうした」

インチョー「ゴ、ゴキ、ゴキ…」

 と指差す。

●20

まれ「あれ、フナムシだよ」

マキミキ「なんだー、じゃあ安心だ」

インチョー「どっちでも同じだよ! 気持ち悪い!」

インチョー「そこらへんの岩陰とかにビッシリいるんじゃないでしょうね~?」

 岩場の陰を這うフナムシ。

まれ「そんなに嫌わなくても…」

 フナムシに同情するように。

インチョー「……おっぱらってよー」

 泣きつくインチョー。

まれ「音で逃げて行くかもよ」

 とギターを取り出して。

(ぎゃんぎゃかぎゃんぎゃん ぎゃんぎゃがぎゃんぎゃん)

まれ<フッ フッ フナフナー>

 とギターを弾きながら岩場を海に向かっていくまれ。続くマキミキ、インチョー。


●21

(ぎゃんぎゃかぎゃんぎゃん ぎゃんぎゃがぎゃんぎゃん)

(ぱっぱわぱわっぱ~↓♪)

 とハーモニカで合わせだすマキミキ。まれの後に続く。

マキミキ<フッ フッ フナフナ フッフナー>

 あわせてコーラス入るマキミキ。

(だんだかだんだっ きゃりんきゃりんばっ)

まれ<フナムシフナムシ 俺はフナムシ>

まれ<そんなに嫌わなくてもいいじゃない>

(ぱっぱわぱわっぱ~♪)

マキミキ<フッ フッ フナフナー>

インチョー「………」

 苦い顔。


●22

 岩場の波打ちぎわに立って海に向かってギターを弾くまれ。すぐ後ろでハーモニカを吹くマキミキ。なんともいえない困惑顔で後方にいるインチョー。

まれ<フナムシフナムシ 一日一善

   恋も仕事も楽はナシ


   フナムシフナムシ 臥薪嘗胆

   理由がなくても嫌われる


   フナムシフナムシ そんなに嫌うな

   好きでやってるわけじゃない


   ああ 俺はフナムシ 磯暮らし

   インチョーを抱きたい それだけさ


   (『フナムシブルーズ』 作詞:奈良本希)>


●23

インチョー「ぜったい抱かれないから!」


 海岸道路のバス停でバスを待つ3人。

 バスの車内の三人。窓の外を見ている。

バスアナウンス「次は海水浴場前」


●24

 大きな砂浜。

(どっぱーん!)

マキミキ「おおー」

インチョー「けっこう波の音ってすごいね!?」

マキミキ「爆発したみたい!」


●25

マキミキ「はだしになっちゃおうぜ」

 靴と靴下を脱ぎだすマキミキとインチョー。

まれ「……」

 魅入られたように海を見ているまれ。

まれ「うわああああああー!」

 と海に絶叫しながらギターをかき鳴らす。

(どおおおおっ!)

 と押し寄せる波。

インチョー・マキミキ「!?」


●26

まれ「ぞーさんの音、掻き消えちゃう!」

 とギターをかき鳴らしながら。

(ぴゅるりーん! ちゅるるんるー!)

マキミキ「うん!」

まれ「波の音が全身にぶつかってくる!」

インチョー「うん」

 まれちゃんがはじけてる姿を眩しそうに見る。


●27

 時間経過。

まれ「泳ぎたいなあ」

 波打ちぎわで裸足を濡らして遊んでいる3人。

インチョー「まだ海開きしてないよね?」

マキミキ「水着買ってまた来ようよ」

まれ「……うん」


●28

 駅のホームから見える沈む夕陽。

 電車来るまでホームのベンチに座ってる3人。

 ギター弾いてるマキミキ。

(でれ~~ん ちょろりろ~ん♪)

(ちょんちょちょ~~ん)

 インチョーにひざまくらしてもらっているまれ。ガン寝。

 いびきかいてる。

(すぴー)

インチョー「まれちゃん、エレキ開眼って感じだったね?」

マキミキ「あたしももうちょっと練習しないと」

(びーん・ぴ! ぴろりろりろろーん)



●29

 翌朝。学校。

 前田、教室を見まわす。

 誰も前田を見てない。

 みんな勝手にワイワイしている。

 自分の席に鞄をおく前田。

まれの声「おはよう!」

 ハッとする前田。

 振り返るとまれ、ギターケースしょったマキミキ、インチョー。

インチョー「脚だいじょうぶ?」

前田「おはよう」

 ホッとして笑う。


●30

前田「ホントは昨日から歩けたんだけど、サボって映画館ハシゴしてたんだ」

 と声を潜めて。悪事を告白するように。

 顔を見合わせるまれちゃんたち3人。

まれ「わたしたちもサボって旅に出たよ」

 笑う3人。

<――ぞうさんと一緒に汽車に乗って>

<海にフナムシを訪ねて>

 象に乗るまれとマキミキを乗せた貨車を引くインチョーの運転するSL。

まれ<波の歌をきいた旅――>

 波打ちぎわの岩場。




未公開エピソード


最後に書いたちゃりこちんぷいが、この話になりました。


コンテを渡してからすぐ作画担当氏から「ロケに行きませんか」と誘われて「それはいいですね」と即答しました。

海行くとなるとどこがいいんですか? と聞いたら心当たりがあると作画担当氏が三浦半島を提案。

まだ桜が残る頃で横浜駅で待ち合わせて二人でお弁当(シウマイ弁当だった気がする)を買って列車に乗りました。

キャッキャ言いながらお互いにモデルになって写真を撮りまくったり、いきあたりばったりでいくつかの海岸をぶらついて。

なんかデートみたいだったな。


ちゃりこちんぷいに期待していただいた読者のみなさんにはもうしわけありませんが、作画担当氏の病気という事情をご理解ください。

この作品で書きたかった企画意図および趣旨はロードマップが出来ていたにもかかわらず未消化なままですが、機会をいただけたらいつか別の話で書きたいと思います。

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