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24話

↓コンテ

https://www.pixiv.net/artworks/86866904



●1

 突然のことに呆然とするマキミキとインチョー。

 苦しみながらも驚いている前田。

まれ「どうしてっ?」

チカ「……」

 気圧されて絶句するチカ。

まれ「何がしょうがないの!?」

 と睨みつけて詰め寄る。

 凍りつくクラスメイトたちの空気。



●2

サイトっち「え、え? な、なんであんたいきなりキレて…」

 とうろたえながら。

加藤「ま、まあまあ!」

 と急にまれとチカ、サイトっちの間に入ってくる。

加藤「もうよせよ、な? いいじゃんかよ」

 とおどけた調子で。まれちゃんを押し返す。

加藤「前田だってがんばったんだしさ」「結果は残念だけど」

 と前田を気遣うフリで前田のほうに声をかける。


●3

まれ「あんがーっ!」

 と加藤をグーで殴る。

 えーっ!? とビックリするマキミキとインチョー。

まれ「なにも言うな!」

 さらに殴りかかるまれ、顔をかばって首をすくめる加藤。



●4

インチョー「ま、まれちゃんっ!」

マキミキ「おちついてっ」

 と羽交い絞めにする。なおも闘志をむき出しにして怒り狂うまれ。

まれ「よくもっ…!」

まれ「そんな…」

 マキミキ、必死にまれちゃんを押しとめようとする。

マキミキ<身勝手で>

マキミキ<残酷な言葉がゆるせなかったのは>

マキミキ<あたしもだけど>

マキミキ<ただちょっとだけ>

 殴り返そうとする加藤を押しとめようとする吉川、榎本ら男子たち。


●5

 インチョーマキミキに羽交い絞めされながら加藤を蹴るまれ、なにか絶叫している。

マキミキ<まれちゃんが手を出すのが早かった>

 ゲート前。

誰かの声「女子のケンカだってよ」

チョコ「ん?」

 と何かの競技に出るために集合してたチョコが、騒ぎの方を振り返る。

 タイトル。


●6

 ざわついている人ごみ。

(ざわざわ)

 ぴょんぴょん頭を出している南。

誰かの声「ケンカ、ケンカ」

南「どこだどこだ?」

 野次馬をかきわけて南登場。モブより頭一つ大きい。

誰かの声「なんだよつまんねえなー」

南「あん?」

 南とスレ違いにタンカで運ばれてくる前田。インチョーがつきそっている。

南「お、ケガ人かよ」

 椅子が蹴散らかされて倒されたA組の応援席。

 泣いてるヨナ、慰めているチカ。

ヨナ「ひっく…ひぐっ…」

チカ「もう大丈夫だよ」

 まだ騒然としている。

南「おお? やったのはどんな凶暴な奴だ」



●7

吉川「いってー、あいつメチャクチャだな」

榎本「アタマおかしいんじゃねえの?」

 と肘やあばらをさすっている。ほこりまみれ。

南「おい、ケンカどうした?」

 と吉川と榎本に後ろから。

吉川「あっ?」

榎本「カンケーねえだろ」

 と振り返って不機嫌そうに。止めようとしてまれちゃんに蹴られたか殴られたかした頬をおさえてる。

(カッチーン)

 とくる南。

南「え? なに?」

 と両手で襟首をつかんだ吉川と榎本に頭突きをかました後。吉川と榎本の額にコブから煙が出てぐったりしている。

吉川「……もう先生が当事者を連れて行きました」

南「最初からそう言えばいいんだよ」

 とパっと手を離す。



●8

 校門。

 体育祭の立て看板を片付けている生徒と先生。体育祭終了。

 職員室のプレート。

 職員室の廊下でしゃがんで待っているインチョーとマキミキ。

インチョー「まれちゃんが言ったさ」

 おもむろに口を開くインチョー。

インチョー「「よくもそんな辱めを」って──」

 まれちゃんが絶叫しているところ回想。

インチョー「──その通りだよ」

 インチョーを見るマキミキ。


●9

インチョー「無責任に、勝手に押しつけてさ」

インチョー「当日になったらお祭りの熱気にあてられて」

インチョー「急に団結して、応援してみたり」

 盛り上がる応援席のクラスメート。

インチョー「「クラスの勝利に貢献できなかった人」を安っぽく慰めてみたり」

 必死に走る前田。


●10

インチョー「あの人たちが主役の世界で」

インチョー「それを盛り上げるための」

インチョー「憐れむための」

インチョー「都合のいい脇役にされたら」「たまんない」

インチョー「あんなの」

インチョー「前田君への侮辱だよ」

 クールに怒りを押し殺して、うつむき気味に。

マキミキ「……そうだね」

 と下を見ている。


●11

マキミキ「あたし、あんとき」

 二人。

 マキミキを見るインチョー。

マキミキ「自分が何に怒っていたのか」「全然わかってなかった」

 見上げるマキミキ。

(がらっ)

 と職員室のドアが開く。

 顔を上げるマキミキとインチョー。

加藤「ちっ…」

 と舌打ちして出てくる加藤。

加藤「わっけわかんねえよ!」

 と吐き捨てて去っていく。


●12

 続いてまれが出てくる。しょんぼりして。

まれ「失礼しました…」

マキミキ「まれちゃん…」

 と立ち上がる二人。

まれ「うん」

マキミキ「どうなったの?」

 とまれを囲むマキミキとインチョー。

まれ「「絶対あやまらない」って言ったら、加藤くんが「もういい」って……」

 とうつむいて。

マキミキ「まあ、加藤くん、怪我もしてないしね」

 笑って。


●13

インチョー「前田君、念のため病院行ったよ」

まれ「脚」「痛そうだった」

 と顔を上げてインチョーを見る。

インチョー「まれちゃんに「代わりに怒ってくれてありがとう」ってさ」

マキミキ「あんなに怒るとは思わなかったけど」

まれ「……先生に、なんでケンカになったのか、上手く言えなくて」

 と困ったように。

インチョー「そうだね」

 と苦笑い。

インチョー「代わりに先生に説明してこようか」

 と職員室のドアを指す。


●14

まれ「やめて」

 悲しい目を逸らして。泣きそうな顔。泣かないけど。

 その顔にハッとするインチョーとマキミキ。


●15

まれ「言葉で説明してもきっとわかってもらえないし」

 悲しそうにうつむいて。

まれ「誰でもわかるような説明なんて」「したくない」

 うろたえるマキミキ、インチョーを見る。インチョー、無表情にまれを見てうなずく

 ポンとまれの肩を優しく抱くインチョーの手。ハッと手を見るまれ。

インチョー「行こ」

 とまれに微笑。

 廊下を歩く3人。


●16

 屋上。陽が傾きかけている。

 柵にもたれてハーモニカを吹くマキミキ。

(ぱ~ぱぱっぱぱっぱ ぱんぱっぱー)

 見下しで、ジャージで得点掲示板をバラしている生徒たち。

(ぱ~ぱぱっぱぱっぱ ぱんぱっぱー)

マキミキ「ハァ~~~♪」「ホッ」「ホッ」「ヨッ」「ハッ♪」

 と手を叩いてツイストみたいにおどけて踊る。

 まれのギターを鳴らす右手が振り下ろされる。

(ぴんぴぴん ぴんぴぴん) 

 座ってギターを弾くまれ。

 となりにインチョーが座って肩を揺らしている。



●17

まれ<どんなにゆっくりでもいいよ>

   走って 走っておくれよ>

(ぴんぴぴん ぴんぴぴん)

まれ<きみの行きたいところへ 行こうよ>

(ぴりぴりぴんぴんぴるるるん)

 まれの周りで飛び跳ねながらハーモニカを吹くマキミキ。

(ぱららら ぱららら ぱらりら~~↓)

まれ<転んで転んで また転んでも>

   走れよ 走っておくれよ>

 リズムを刻む足踏み。

(ぴんぴぴん ぴんぴぴん)

(たん たん たん たん)

まれ、インチョー<走らない奴らはここに 置いて行こう>

 インチョーと二人叫ぶように歌う。

(ぴりぴりぴんぴん ぴるるるん)



●18

 屋上。

 ハモニカを吹くマキミキ。ギターを弾き歌うまれとインチョー。二人、叫ぶように歌っている。


インチョー<どんなにゆっくりでもいいよ 

      走って 走ってきたんだから

      ちっとも遅刻じゃ ありません>


まれ<まだまだ走って いい気分

   世界のてっぺんまで 行けるよ

   もう戻らない 上機嫌 最高の気分


   (『前田君をたたえるBlues』作詞:奈良本希)>


●19

 フィニッシュするまれちゃんごしに屋上から見える夕陽。

(ちゃりこ ちんぷい~~ん♪)

マキミキ「……前田君にきかせたいねえ」

 と笑う。

インチョー「まれちゃんが」

インチョー「みんなの前で演奏できるようになればいいのに」

 といつのまにか立って振り向いてまれに微笑む。

まれ「……う、うーん」

 と困ったように座ったままギターを抱え直して夕陽の方を向く。

インチョー「そうだ、まれちゃん」「もうパンチはナシだよ」

インチョー「ギター弾くんだから指は大事にしなくちゃ」

 と冗談っぽく。


●20

マキミキ「殴りたくなったら言って」「あたしが代わりに殴るからさ」

 同じく笑わせようと掌に拳を打ちつける。

まれ「大丈夫だよ」

 と夕陽を見ているまれちゃんの背。

まれ「わたし」「大丈夫なの」

 と夕陽を見て微笑んでいる。

まれ「絶対に」「死ぬまで」「大丈夫なんだ」

 何か不穏な気配を感じとり、どこか不安げにそれを見ているインチョーとマキミキ。




作画担当が病気のため、雑誌掲載はここで終わりです。原作は次回までです。

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