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20/25

20話「モンテスキューも憂鬱」

↓コンテ

https://www.pixiv.net/artworks/86864358


(擬音・吹き出し外文字)

「セリフ」

{人物モノローグ}

<ナレーション・モノローグ・解説・歌>



●2

前田「文化祭の実行委委員が決まってないのはウチのクラスだけなんです……」

 1年A組ホームルーム。騒然とした中、級長の前田くんが焦りつつみんなに呼びかけているが声が小さくまわりが騒がしい。

(ワイワイ)

(ガヤガヤ)

(おー、マジだー)

(うるせえよオメー)

 ネイルを見せてる加山と乗り出して話している伊田。

(いいじゃん)

(えー、でもー)

前田「ちょっとみんなまじめに考えてくれよ!」

(ばんっ)

 と机叩く。


●3

男子A「だから、多数決でお前になったんだから兼任すりゃいいじゃねえかよ!」

 イライラする男子たち。

男子B「なに逆ギレしてんだよおめえわ!」

 とすごむ。

前田「な、何度も言ってるけど、級長と兼任はダメなんだよ~……」

 と泣きそう。

女子A「ちょっと、一回決まったのに無責任じゃね?」

女子B「もう早くホームルーム終わらせてよ~」

 と聞こえよがしに話している。

女子C「帰りたーい」

 窓の外みているまれ。

 突っ伏しているマキミキ。

 文庫本読んでいるインチョー。


●4

 うどん屋リニューアル改装工事で休み。

(改装工事中につき休業いたします。12日からリニューアルオープン)

 その前にたたずむ、まれインチョーマキミキの三人。

インチョー「私たちのぐるまるうどんが……」

まれ「復活したらパワーアップしてるかな」

マキミキ「どうパワーアップすんの?」

 とまれちゃんの発言に苦笑してツッコむ


●5

まれ「「ますます美味しくなりました」とか…?」

インチョー「値段があがるんじゃない?」

マキミキ「そっちはアップしないでほしいね」

マキミキ「しかたない、食べるものを求めて旅立つか……」

 と、街を歩き始める3人。


●6

マキミキ「こんなときなのにドーナツも百円キャンペーンやってない」

 トーナツチェーン店の前に立つ3人。

まれ「ドーナツとかおにぎりってふだん百円で、たまーに値上げキャンペーンやったほうがいいと思わない?」

インチョー「……」

 コメント不能のインチョー。

マキミキ「あたし、焼きドーナツが許せないんだ」

 と急に思い出したように。

マキミキ「つまりアレって、ただのケーキじゃない?」

 怒り出す。

マキミキ「揚げとけよ!」

 吠えるマキミキ。

まれ「じゃあ揚げケーキってドーナツのことかな」

 と首をかしげるまれ。


●7

マキミキ「じゃあ」

マキミキ「牛丼とか」

 3人牛丼屋の前に立ち。

インチョー「……こないだね」

 と問わず語り。

インチョー「ラーメン屋さんに入ったら、悲しい顔でチャーハン食べている女の一人客がいてさ」

まれ「うんうん」

 なぜか興味津々。

マキミキ「え、なんの話よ? 怖い話?」

 とちょっと身構える。


●8

インチョー「ちょっと想像してみて」

 悲しい顔でチャーハンを食べる女のイメージ。

インチョー「食べているのがチャーハンってところが、また妙に物悲しくってね」

 落ち込んだような表情。

まれ「かなしいー」

 と同情するように泣きそうな顔。

 なんとも言えないとまどい顔のマキミキ。

インチョー「私、チャーハンとか丼物は女一人で食べるまいって思ったよ」

 決意するように。

まれ「インチョーは何食べたの?」

 と素朴な疑問。

インチョー「レバニラ定」

マキミキ「さ、三人ならいいじゃん! チャーハンじゃなくて牛丼だよ?」

 と気を取り直して牛丼をプッシュする。


●9

インチョー「牛丼屋さんは牛丼屋さんでさ」

 とフッと影が差す顔。

インチョー「もし私らみたいな女子高生がキャアキャア笑いながら牛丼食べてたら」

 イメージ。

インチョー「なんかみじめな気分になっちゃう男の人もいるらしいよ」

 俺を嗤ってんのかな、って自意識に苛まれる男の客。

マキミキ「え、そ、そういうもんなの?」

インチョー「男の人って結構ナイーヴなんだね」

 訳知り顔。

マキミキ{う、なんか大人っぽいこと言ってる!}

 気圧される。

まれ「あ、果物屋さん」

 と向こうを指す。


●10

 果物屋の店先。

 メロンと特価3000円の値札。

まれ「おいしそー」

 とヨダレをじゅるりとすする。

マキミキ「メロンの季節かー」

まれ「一本の木から一玉しか収穫しないんだって。すごくない?」

 とインチョーに。

 インチョー、思案顔。


●11

インチョー「これを買ってみんなで食べるとか?」

 と提案。

まれ「一玉を三人で!?」

マキミキ「一人千円かー」

 とサイフを覗きこむ。

インチョー「今日はリッチだから私が全部持つよ」

マキミキ・まれ「おおっ」


●12

 公園。3人以外誰もいない。滑り台、ジャングルジム、シーソー、ブランコ、ビヨヨンってなるバネの乗り物。

 ベンチの上にメロンの箱を広げて囲んでいる3人。

 メロンとマキミキのスイスナイフ。百均で買ったスプーン。

マキミキ「三等分ってどうやって公平に分ければいいんだ……?」

 悩み顔のマキミキ。


●13

インチョー「120度で切ればいいんでしょ」

 と無表情に。

まれ「計算早い!」

マキミキ「すげえ…!」

 と感心してインチョーを見る二人。

インチョー{……えっ?}

 二人のバカっぽさにとまどうインチョー。

まれ「でもでも、三権分立って習ったよね」

まれ「公平に分けるために役割分担をするんだよね、メロンの分け方を決める人、メロンを切る人、ちゃんと公平に切れたか確かめる人」

マキミキ「最後の人って必要か?」


●14

まれ「うん、最初に好きな切れ端を取れるんだよ。切った人は最後に取る」

インチョー「モンテスキュー、そんなこと言ってたかなあ……」

 と首をかしげる。

まれ「120度って決めたのはインチョーだし、わたしは最初に好きな切れ端を選びたい」

まれ「だからマキミキが切って」

マキミキ「な、なんか責任重い」

 とナイフをメロンにあてがいながら。

マキミキ「ぶ、分度器も無いのに120度とか無理じゃない?」

 と振り返る。

インチョー「時計で12時と4時と8時よ」

 腕組みしてキリっとアドバイス。


●15

 空。

マキミキ「えいやっ」

 3等分に切られて開いた箱の上に転がってるメロン。

3人「いただきまーす!」


●16

マキミキ「冷えてないけど甘い!」

 とメロンを匙で掬いながら汁がついた左手指を舐める。

インチョー「食べごろね」

 と口の中に入れたメロンを噛みながら、匙をメロンに挿す。

まれ「あーーん」

 大きく口を開けて匙を口元にもってくる。


●17

 食べ終わって片付けられたメロンの残骸と3人の鞄が置かれたベンチ。

 はりきってジャングルジムにのぼってるまれ。

 シーソーにまたがってギッタバッタンしているインチョーとマキミキ。

(ぎっこん ばっこん)


●18

マキミキ「文化祭のさー」

マキミキ「実行委員とか」

 マキミキ満腹で幸せそうな気だるい雰囲気。下がってる

(ぎっこん)

(トン)

マミキミ「またおんなじことやってるじゃん」

インチョー「うーん」

 インチョー同じく、幸せそうなためいき。下がってる

(ぎっこん)

(トン)

マキミキ「あいつら懲りないね」

 と鼻で笑う。下がってる

(ぎっこん)

(トン)

インチョー「ひどいよ」

 小さく笑う。下がってる

(ぎっこん)

(トン)


●19

 黙ってインチョーを見ているマキミキ。上がったまま。

インチョー「責任取らないくせに誰かのせいにするのだけはいっちょまえっていうか」

インチョー「生け贄ばっかりさがしてる野蛮人たち」

 下がってる。


●20

マキミキ「おおう」

 と、アゴひいてのけぞる。

マキミキ「言うねえー!」

 と笑う。前のめりに指差す。下がる。

(ぎっこん)

(トン)

インチョー「ま、傍観してるのも気分よくないけどね……」

 上がったまま。


●21

マキミキ「けど、あたしもマジメにあいつらと話すのは無駄だと思うね」

 下がったまま。

マキミキ「世界の中心自分らだと思ってるバカだよ?」

インチョー「言うねえー」

 とマキミキをマネして前のめりに指差して笑う。下がってる。

(ぎっこん)

(トン)

 マキミキが下がってくる。インチョーを見てる。

(ぎっこん)

(トン)

インチョー「学校だけが世界っていうか」

インチョー「狭い世界だから」

インチョー「中心に陣取ろうとするんだよ」


●22

インチョー「だからあんなに息苦しいし」

 シーソー上がったまま、高いところから遠くを見るように。

インチョー「学校の外ってこんなに広いのにさ」


●23

マキミキ「そうだよ!」

マキミキ「うどん屋以外にも色々選択肢があるわけさ!」

 と笑いながら上がる。

(ぎっこん)

(トン)

マキミキ「メロンごちそうさま!」

インチョー「どういたしまして!」

 笑ってる二人。

(ぎっこん、ばったん)

インチョーとマキミキの声「あはは」

 まれちゃん、ビヨヨンってなる乗り物にまたがって倒れ込んで落ちないようにがんばってる。

 まれちゃん、反動でビヨヨンってなってる。


●24

マキミキ「そうだ! ライブ来てよね」

インチョー「いつだっけ」

 二人、今度は並んでブランコに乗ってる。

マキミキ「16日」

マキミキ「まれちゃんもねー」

まれ「う、うん~…」

 まれちゃん、まだビヨヨンってなってる。

 すたっと地面におり立つまれ。

まれ「今度はしょっぱいものが食べたい」

まれ「買ってくる」

 と走っていく。


●25

マキミキ「しょっぱいものーしょっぱいものー」

 グングンとブランコをこぐ。パンツ見えそう。

 ベンチの上にまれちゃんが買ってきたお菓子(?)。

 おせんべい、おかき、さきイカ、チータラ、歌舞伎揚げ

インチョー「ほんとにしょっぱいものばっかだね……」

マキミキ「こう、JK的にどうなの? このラインナップ」

まれ「食べよう」

(ガサガサ バリバリ)


●26

(ボリボリボリ)

 と歌舞伎揚げを両手に持ちつつ頬張るまれ。

インチョー「ファーストチョイスは歌舞伎揚げか」

(ボリボリボリボリ)

まれ「え? なに?」

インチョー「ファーストチョイスは歌舞伎揚げか、って言ったの」

(ボリボリボリボリボリボリ)

まれ「え?」

(ボリボリボリボリボリボリ)

まれ「よく聞こえない」

インチョー「もういい」

 呆れながらチータラをつまむ。

 さきイカを頬張るマキミキ。






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