弓月さんとコスプレ
「え⁉︎ なにこれ⁉︎」
「私もちょっとこういうのは恥ずかしいな、って」
いやいやいやいや、これはない、これはない⁉︎
「だだだだだだ誰がこんなものを?」
「林先輩が……」
くそう、あのオタクめっっ。僕の弓月さんにこんなもので、接客しろと言うのかっっ。これじゃあまるでコスプレじゃねえかっっ‼︎
「いやいやいや弓月さん、こんなの着なくていいから。ヤメテヤメテ。絶対にヤメテ。これクレームくるレベルだからね。目安箱に投書されちゃうレベルだからね」
僕が全力で否定論をぶちかましたものだから、弓月さんの機嫌を少し損ねてしまったようだ。弓月さんは、頬を膨らませて、ぷんすかと怒ってしまった。
「長谷部くん、そこまで言わなくてもいいのに。どうせ、私にコスプレは似合わないですよーだ」
はう、怒っても可愛うぃけど、今はそれどころじゃない。
「ち、違うって。似合うとか似合わないとかじゃなくて。こんな服を弓月さんに着せるだなんて、それこそマンホールの穴に落ちやがれってことだよ。これはどう考えたって、すみっこパイセンが悪い。趣味に走りすぎていて、前が見えていないんだよ。だめだめこんな……」
モンペ。
モンペ? モンペ⁉︎ モンペに三つ編み‼︎
白飯を売るっていうことで、秋田小町のイメージにするだとっっ‼︎
「安直だよ、安直すぎるよ。弓月さんのイメージじゃない。弓月さんは花柄ワンピ&サラサラ黒髪ロングが似合うんだ」
さっきとうって変わって弓月さんが、若干引きつった顔をしている。ヤヴァいと思った僕はすぐさま、「新聞紙も似合う」と追加フォローした。
「え、え、え、そ、そうかな……」
これで、弓月さんの機嫌が一瞬にして元どおり。
面白い。実に面白い。この文化祭が終わった頃、僕はとんでもない人心掌握術を手に入れているのではないかな。
しかし、すみっこパイセン、なんでこんな服持ってるんだよ。