開幕! 『新聞紙の使い手による「万能、新聞紙の魅力と便利な使い方講座」』
「神田川先輩、速読しないんだったら、こっち手伝ってくださいよ!」
ご覧になっていただきたい。
我が読サーのテントは、今や大盛況だ。サーターアンダギーは完売。すみっこパイセンは、子金庫の中に入っている売り上げを、必死になって計算、紙幣をペロペロしながら数えている。
そんな状況下で。
弓月さんの、
『新聞紙の使い手による「万能、新聞紙の魅力と便利な使い方講座」』
が始まったのだ。
これはもう、弓月さんの魅力、もとい力によって、このように多くの民衆を引きつけたのではないだろうか。
なぜなら、数十人の講座受講者が、肩を引っ付けあってブルーシートに座している。(密です)
「それでは今から、新聞紙の便利な活用法を紹介していきたいと思います」
そして、ここでだ‼︎
ここで、僕の出番だ‼︎
茶碗一杯の白米、箸を一膳。僕はすかさず、それらを持って、売り歩く。
「あー、はくまーい、白米はいかがっすかー」
もちろん最初は、白米に興味すら持たれなかった。けれど。
ここで、弓月さん。
「白米は新聞紙と並んでとても便利なグッズ(?)なんです。新聞紙は無料で差し上げますが、白米は良かったら、ご購入ください♡」
ってなもんで。それから、注文の入ること入ること。
「白米ひとつください」
「こっちも白米っ‼︎ 」
「俺はおかわりっ」
時々、海苔か漬物ありますか? なんて、真の白米道を理解していない未熟な輩もいるにはいたが、敢えて僕らはそれを否定も肯定もしなかった。
白米の美味しさ。
これをわかってもらえるだけで、それだけでこの『学祭』に初参加した意義があるというものだからだ。(大層)
弓月さんが、話し始める。
「さて、この新聞紙ですが。こうして小さく折ってポケットに忍ばせておけば、例えば、急にお腹をくだしてしまった時( ※ 1)、寒さに震える時( ※ 2)、布団がない時( ※ 3)、シルクスイートを買う時( ※ 4)、鉄砲で人を脅したいと思う時( ※ 5)など、TPOに合わせていつでも使えるというわけです」
注釈
( ※ 1)『ひ弱な読サーの僕が富士山に登ってご来光を拝もうってことになったんだけど、大好きな弓月さんと接近できたしご来光も拝めたのに、同時になんか虚しい気持ちにもなったって話、聞いて?』参照
( ※ 2)『ひ弱な読サーの僕が富士山に登ってご来光を拝もうってことになったんだけど、大好きな弓月さんと接近できたしご来光も拝めたのに、同時になんか虚しい気持ちにもなったって話、聞いて?』参照
( ※ 3)『僕の所属する読サーが今度はヨルドラニウスヤミナベニウスを開催することとなり、弓月さんとも良い感じに距離も近づいたってのに、結局また虚しくなったっていう虚しい話、聞いて?』参照
( ※ 4)読サーほにゃらりにおけるヨモヤマ話『今宵、明かされる‼︎ や、まだ明かされない‼︎ 弓月さんと新聞紙との出会い編』の回より抜粋
( ※ 5)読サーほにゃらりにおけるヨモヤマ話『ようやく明かされる‼︎ 弓月さんと新聞紙の出会いとその蜜月編 』の回より抜粋
注釈がうるさい? うんざり? 許してくれ。すべては弓月さんのために。
「このように新聞とは、私たちの生活には欠かせない、切っても切れない間柄なのです。ご静聴ありがとうございました」
うおおおおと歓声が湧き上がった。受講生はみんな、空になった茶碗を箸で叩きながら、感動した‼︎ と叫んでいる。
「新聞紙スゲエッ」
「えげつないほど優秀だぜ」
「僕、新聞紙って便利かもって前から思っていました」←コイツは地味に弓月さん狙いだなスナイパーの腕がなるぜしゃもじアタック!
「俺、購読する」
「契約じゃっ、皆の者、新聞を契約をするのじゃっっ」( by ちょっと元気になった神田川)
「白米も美味かったっ」
やっっったあああああぁぁぁぁあああ‼︎
どう見ても大成功じゃね? 空気清浄機、ゲットじゃね?
「白米のお代わりをくれ」
次々と空になっていく炊飯器。
空気清浄機どころの騒ぎじゃない。これは米農家さん、ひいては農林水産省から表彰されるレベルなのではないだろうか。