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報復の弾丸  作者: 松風一
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プロローグ

道のない道を私は走る。

周りには暗い森のような景色が広がっている。よく住宅街の裏にある雑木林のような雰囲気だ。

走っているせいであまり気にはしていないが、少し肌寒く感じる。街中を歩くのならば薄手のコートが欲しくなるような気温だろうか。

初冬ということもあって暗くなるのが早いらしい。6時過ぎである現在、もうほとんど空は暗闇に包まれていて、昼間の半分ほどしか景色を視認できない。たぶん、木が生い茂っているせいもあるだろう。

「これが、最後の賭けになるのか?」

私は人3人分ほど前を走る相棒に問いかける。声はすぐに闇に消えたが、答えはすぐに返ってきた。

「あぁ、俺の考え通りにサツが動いてくれれば、これで俺たちのシゴトは終了だ」

彼は私達の象徴である黒いリボルバーを持つ片手をあげ、わざわざ後ろを向いて無邪気に笑って見せてくる。

「それならいいんだ。」

それを見て軽く相槌を打って見せるが、もう息が上がりかけて息絶え絶えという感じだ。

前の相棒も同じようで、少しばかりの休憩を提案してきた。腕時計を確認し、予定よりもだいぶ早めに行動をできていることを確認してから、立ち止まることで彼に賛成の意を示す。少し周りを警戒しながら息を整えた。

私は2人のちょうど間の位置に生えていた木の根元に腰を下ろして、彼にもそれを促す。私とちょうど背を合わせるような形で座った彼は、肩にかけていた斜め掛けのバックから水筒を取り出し、ほぼ強引に手渡してきた。私も水筒を持っていたので、大丈夫だと断ったが

「最後なんだ、あの時みたいに交換しようぜ」

そう言われたので、素直にそれを受け取る。それから好物のブラックコーヒーが入った水筒を手渡す。もちろんホットだ。

ふたを開け、彼の方向に向かって水筒を掲げる

「なあユウト、私たちの復讐に」

そういってにやりと笑って見せる。初めはキョトンとしていた彼も、すぐに私と同じように水筒を掲げ、にやりと笑った。

「報復だろ?」

そう笑って帰されたので、一度水筒を下ろしてから言い直す。

「そうだった...じゃあ、私たちの報復に」

今度は、水筒をさっきよりも高く掲げて

「「乾杯」」

そう声をそろえた。

彼の水筒には、揺れたせいだろう、炭酸の抜けたコーラが入っていた。彼の好きな飲み物だ。だが、これを水筒に入れるのはどうなのだろうか、何度も言うが炭酸が抜けかけている。それに不快な温度で、生暖かい。

そのせいか、口に含んだ瞬間にいつもよりも強く甘みが広がる。思わず顔がゆがんでしまう。不味い。

彼もコーヒーが予想以上に苦かったらしく、同じように顔をしかめていた。お互いにその顔を見合わせ、静かに笑う。

他人と多少たりともずれてはいるだろうが、普通の日常。相棒と一つの目標のために奮闘する輝かしい日々。青春。

そんな、私の変わった生活が始まったきっかけを思い出してみる。...あれ

刹那、私は違和感に気が付く。

なんだろうか、頭が...回らない...?!

慌てて、助けを求めるように相棒である彼に視線を送る。すると、彼はいつの間にか立ち上がっていて、手のひらよりも一回り大きい何かを私の手元に置いた。彼の顔は笑っているのか?よく見えない。

置かれたものが何であるかも、今の私には判別できていない。問いたくても口が動かない。

彼はなにかを告げて相棒であるはずの私に背を向けた。なぜか何も聞こえない。

彼が歩き去っていくのを何もできずに見つめながら、この恐怖の正体が強烈な眠気であることに気が付く。

必死に立ち上がろうとするが体に力が入らない。半ばあきらめて、さっきの彼の口をまねて言葉を発してみようと試みた。

「ご、えん、ね、、ごめんえ、、ごめんね。」

ごめんね、か。彼はごめんねと言ったのか。でも、なぜ彼はその言葉を発したのか。彼は、何か謝らなければいけないことを私にしたか?なぜ私を置いていくのか。

わからない。

わからないことが多すぎる。考えなければ。

頭ではわかっているのに、それでも考える気力がそがれていく。

意に反して瞼が閉じていく。抵抗むなしく目を閉じる。

まもなく意識が遠くなっていき、それからすぐに脳が闇に包まれた。


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