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7話「ヤンキーに相談してみた」

すいません、色々肉付けしてたら死ぬほど遅れました。

お詫びにやま〇んさんのファンやめます。モッチャン


『キーンコーンカーンコーン…』


昼休みの合図を告げる鐘があたりに響いた。

4時限目の授業を担当していた教師が教室から出ていくと、辺りは喧騒に包まれて、ほかの人と固まって教室で弁当を広げる人、購買に向かうために財布をもって教室を出ていく人など、様々な人の様子を確認することができた。


さて、今日もまりんと共にお昼を食べるかと思い鞄の中から弁当箱を取り出すが、自身の机の前にある人物が向かってきた。


「おい優太郎ォ、ちょっと話があるからよぉ、今から二人きりで話さねェかぁ?」

「話?分かった。ちょっとまりんに言ってくるね。」


話しかけてきたのはみちざねで、どうやら僕に話があるようだった。ならばいつもお昼を共にしているまりんには断りを入れる必要がある。

そうして僕はそのまままりんの机まで歩みを進めて、そして僕はまりんの机の前に立った。まりんは弁当箱を手に持ち、さぁ一緒に食べよう、と期待した表情で僕のことを見ていた。

…なんか断りづらいなぁ。


「ごめんまりん、少し用事ができたから、今日はまりんの友達とご飯食べてもらえるかな?」

「え?用事って何?まさか浮気?浮気なの?ねぇ、そいつの名前は?男?女?」

「み、みちざねに呼ばれて二人で食べることになっただけだから!」

「あ、菅原君か!ならいいよ!そのかわり、お昼の埋め合わせとして今日はめいっぱい甘えさせること!いいね!」

「わ、分かった。ありがとね。」


そういうとまりんは「まったく」とぼやきながらも大人しくまりんの友達である3人組のほうへ弁当箱を抱えて向かっていった。

まりんはほかの人を優先したりふとした都合でほかの女子と話しているとなぜかすごく嫉妬されてしまう。しかしなぜか何事もみちざねだけは特別に許してくれる。まぁまりんもみちざねにはいろいろお世話になっているからね。


こうして僕は見事まりんからのお許しを頂けたため、僕はみちざねの後を弁当箱を持ちながらついていった。ちなみにみちざねは購買でいつも昼食を買っているため、途中で購買でみちざねはパンを2つ買って、僕たちはそのまま学校の中庭の方へと向かっていった。




「んでよぉ、ちゃんと金堂のネェチャンと話し合ったんけぇな?」

「うっ」


ケホケホ。

彼の思わぬ発言に口に含んでいた食べ物をのどに詰まらせてしまった。なぜかすでに彼は先ほど持っていたパンを2つとも平らげてしまっている。まだ中庭来て2分くらいしか経ってないんだけどなぁ...。

彼の言っている話し合いというのは、もちろんまりんにあの時の…あの梅雨の出来事についてだろう。

そう、みちざねは僕とまりんの親族以外で唯一僕たちに子供がいるという事実を知る人間だ。このことについてはすでに中学の時点で話しており、今でもなにかと手助けをしてくれている。

本当にみちざねには今まで助けられてきたし、僕自身もみちざねのことはすごく信用している。僕自身過去が原因であまり人には心を開かないようになってしまったが、なぜかみちざねだけは心の底から許してしまうのだ。

ちなみに僕たちは今中庭の人気のないところにある日当たりの良い芝生の上で座りながら話し合っている。中庭と言ってもイメージされるような日当たりが良くてベンチもあり、いろんな生徒がわざわざ中庭にきて昼食を食べにくるようなきれいな場所ではなく、木々がうっそうと茂ってそこらかしこに枯れ葉がおちているあまりきれいな場所ではない。僕たちがいるところは偶々芝生が生えていて日当たりの良い穴場スポットだ。昔からみちざねと秘密の会話をするときはここを利用している。


「なんでぇ、まだかいなァ!お前ンの心の童貞も泣いてんぞ!」

「だ、だってあんまり聞くタイミングがなくてさ。」

「はは!おめえらしいのぉ!こりゃあ心の童貞が剥がれるんは当分先になりそうやんなぁ!」


そう言ってケラケラと笑うみちざね。昔からこの手の相談はよくしていたが、いまだに進展はなかったりする。


「まァそン時の出来事は確かにヤバいとは思うけどなァ、俺的にゃァ金堂のネェチャンは別にそんな変な奴には思えんけどなァ。多分素直に聞けばええと思うぞォ?どうしても優太郎とヤりたい理由があったんか、何かしらネェチャン自体に思うところがあったンか。何にしても聞かんことには分からんけどなァ。」

「だ、だよねぇ…。」

「聞くのが怖いンは分かるぞォ?でも、お前さんは結局どうしたいんじゃァ?」

「そ、それは…。」


僕がどうしたい、か…。

僕自身は、その…まりんのことが好きなんだと思う。だからこそ、まりんに好意を伝えて、この至極曖昧な関係のままではなく、きちんと気持ちを伝えて、そして恋人の関係になれたらなぁ思っている。まりんも普段の態度を見るに、僕のことを好いてくれているんだと思う。じゃあさっさと付き合えばいいのでは、と思うかもしれない。でも、まりんのことが好きな反面、まりんのことを恐ろしく感じている自分もいるのだ。まりんの得体のしれない正体。もし「あの時まりんに襲われたけど、なんで襲ったの?」と聞いた時に、まりんの恐れている本性が姿を現すかもしれない。どうしてもそれが怖くてずっとしり込みしているのだが、それを聞かないことには素直にまりんと付き合うことができないとうジレンマに襲われていた。


「でもすげぇもんだなァ。あんなにイチャイチャしまくっているのに付き合っていないなんてなァ。もし、こんなに仲睦まじい様子を見せて、しかも子供もいるのに恋人ですらないって誰かに言ったとしても、だァれも信じねぇゾ?」


確かになぁ…。まりんには付き合ってこそ言われていないものの、まりんがよく僕にしてくるようなことは完全に恋人たちがやるようなことだ。もしかしたら付き合っていないと思っているのは僕だけでまりんはすでに付き合っていると思っているのかもしれない。でも、僕自身まだ気持ちの整理がついていないから素直にそれを受け入れることができないのだ。だからこそこうして時々みちざねには相談に乗ってもらっていたりする。


「本当は自分からもイチャイチャしたいし心の底から受け入れたいけどォ、あのときのことが心に残っていてどうしてもすることができないと。そんなとこじゃろォ?」

「お、おっしゃる通りでございます。」

「確かに怖いンは分かっとる。でもなぁ、結局聞けないままズルズルいって、んでそのまま高校卒業して結婚まで行ったら、ますます聞きづらくなるじゃろ?そしたら結婚した後も素直に愛すことができずに、そのままギクシャクしてまう可能性だってあるわけだしなァ。早いとこモヤモヤ消して、そんで残りの高校生活イチャイチャしまくったれィ!今まで学校生活楽しめんかった分楽しんだらええやろがい。」


本当にみちざねの言うとおりだなぁ。

僕自身まりんとはさっさとモヤモヤを解消して心の底から仲良くなりたいし、その…結婚する前までにははっきりと恋人の関係にはなりたいと思っている。

でも、やっぱりいざ聞こうとすると怖くなって結局いつもやめちゃうんだよなぁ…。それは今までの幸せな生活がそれを聞いたことにより崩れたりするのが怖いからなのだろうか。でもさすがに聞けずじまいで終わるのだけは嫌だな。よし、今週中にでも聞こうかな。いや、やっぱ来週中に…。


「まぁ、そうはいっても怖いンは分かるし、自分のペースで行けばいいぞォ。ただし、絶対後悔だけはせんようになぁ!」

「うん、そうだね。ありがとう。頑張ってみるよ。」


やはりみちざねはいいやつだ。いつもこんな煮え切らない僕に怒ることなくずっと僕の相談に根気強く付き合ってくれている。本当になんで見た目だけそんな怖いんだろうか…。クラスではみちざねがいい奴ってのは知られているが、みちざねをしらない他クラスの人とかは思いっきしおびえているからなぁ・・・。とりあえずリーゼントやめて眼鏡掛ければ絶対に変わると思うんだけど…。


「ていうかよォ、金堂のネェチャンがお前に惚れた理由は聞いたんか?」

「そ、それも分からないんだよな…そういえば、まりんってみちざねと同じ小学校だった?」

「いんや、ネェチャンは中学の入学式と同時に引っ越してきたから、小学校はもっと遠方だったって聞いたぞォ。」

「じゃあなおさら昔にあった出来事で惚れられた可能性はなくなったな。」

「いんや、もしかしたら昔に会っててそれを覚えててって可能性もあるだろォ。なんか昔どこかで絡んだ覚えとかないんかァ?」

「あんまり昔のこと、特にまりんと会う以前の記憶はほとんどないんだよなぁ…。」

「あー、お前中学に入学した当初は目が死んでたもんなぁ…。昔の出来事は俺もお察しするがなぁ…。」


そういえばそうだったなぁ…。昔ある出来事が原因でそれまで何にも信用することができなくて、周囲の人々に関心を持つことなく学校生活を過ごしていたものだ。しかも僕がこうして人に興味をまた持つようになったのは、あの日まりんに襲われてからなんだよなぁ…皮肉にも。あの日まりんに求められたおかげで、僕は少しだけ明るくなったと思う。ちなみにまりんに襲われた日以前の記憶があまりないのも、無気力に過ごしていたための弊害だ。


「とりあえず、聞くのは無理にしても、おまえさんはもっと金堂のネェチャンについて知る必要があるんは確実だろォ。そこで俺はお前に指令を出すぜェ。もっとネェチャンと関わって、彼女の人となりをもっと知れ。どうせお前さんは金堂のネェチャンとどっかに遊びに行ったりとかしてこなかっただろォ?」

「うっ。まぁ、なんか色々忙しすぎて遊びに行く暇がなかったから…。」

「まぁそんなことだろうと思ったぜ。ちなみにチビを連れた3人でどこかに出かけたりとかは?」

「・・・」

「ハァ…。お前さんはもっと人生を楽しんだ方がええぞ。」


そ、そういえば3人でどっか行ったりもなかったなぁ…。育児もかなり安定してきているし、時間の合間を縫えば確かにどこかに出かけることもできるなぁ。普通にいままで考えたこともなかったや…。


「お前さんが不信感を感じてる原因の一つに、育児に目を向けすぎて、あんまりじっくりと金堂のネェチャンと関わろうとしんかったんも原因じゃろォなァ。これからは積極的に遊びに行くなり二人で過ごす時間を増やすなりしてネェチャンの人となりを見出すことだなァ。そうすれば自然とあン時のことも聞けるようになるくらいにはネェチャンのこと信用できるようになるだろォなァ。だったらはよ今週末辺りにでも遊びに行っとけやァ。」

「そ、そうしようかな。土曜日はまりんを僕の家に連れていくつもりだし、午後はシフトが入っているから、日曜日にでもどこか行こうかな。」

「そうしとけそうしとけェ!チビもわがまま言わないだけでどっか行きたいやろォし、学生のうちに楽しいこと目いっぱいすればええんやぞォ!」


まぁそうだよなぁ。かもめはわがままとかめったに言わないし、かもめが考えていることは分からないけど、たしかにどこかに遊びに行きたいとはおもっているだろうし、連れて行ってやらないとな。それにみちざねの言う通り、こういったところでしっかりとまりんと関わりをもってまりんのことを知っていくべきなのだろう。その過程で僕を好きになった理由とかも聞けるかもしれないし。


「そうだね。今度からは気を付けるようにするよ。」

「おう!そうやァ、今日は帰りにお前ンついて行ってもええかァ?チビに会いとうなってきたわ。お土産も用意しとるし、行かせてやァ!」

「うん、もちろんいいよ。かもめもみちざねに会いたがってたし。」

「おォう!なら行かせてもらうなァ!」


そんなことを話しているうちに『キーンコーンカーンコーン…』と昼休みの終わりが近づいていることを知らせる鐘か鳴り響いた。ここからだと教室まで距離があるため、走らないと間に合わなそうだ。みちざねは『やっべェ』と言いながら素早く腰を上げて全速力で教室に向かっていった。僕は急いで弁当をかきこみ、駆け足でみちざねの後を追った。












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