葵姉と凛姉
時間ギリギリに栞姉を引き連れて教室に入る。
栞姉を真理さんに預けて俺は自分の席に座る。
自分の席についてひと息吐くと隣の席にいる水橋という男子生徒が話しかけてきた。
「おはよう、毎日大変だな」
「まぁ、もう慣れたよ」
俺が栞姉を連れて学校に来るのはもう全校生徒に知れ渡っているのではないかと言うくらいに見慣れている光景だ。
何も知らない人達が見るとカップルと勘違いされることが多々ある。俺は否定するが隣で聞いてる栞姉はとても笑顔になる。
「俺もお前達の光景には慣れたな、毎日毎日よくやるよ」
「仕方ないよ、俺が連れてこないと辿り着けないし遅刻するしだから」
「ほんとに良かったな、西城さんに友達が出来てよ」
友達が出来なければ栞姉を引き連れて歩かなければいけないところだった。まぁ最初はそうなりそうだったんだけどそれを真理さんが見兼ねて栞姉の面倒を見るようになり、今では仲のいい友達になっている。
午前中の授業を全部終え昼休みになった。弁当を出して食べようとしたら教室の扉のところから声をかけられる。
「俊!一緒に食べよう」
葵姉が教室まで尋ねてきた。
葵姉は人気者でうちのクラスにも何人か憧れを抱いてる人がいる。
「元悪い、葵姉と食べる」
一緒に学食まで行こうとしていた元に一言言って葵姉のところに行く。
「お待たせ」
「じゃあ行こうか!」
葵姉が先頭に立ちそれについて行く。
葵姉について行き中庭へ。そこはカップルや女子がいる空間。そこのひとつのベンチに1人の女子生徒が座っている。葵姉はその人の隣に言って座る。俺もそれに続いていき座る。
「葵に連れてこられたのね」
「凛姉⋯⋯」
そこに居たのは凛姉。葵姉と食べる予定だったみたいだけど葵姉はついでに俺も拉致って来たのだろう。
「まぁいいわ、食べましょう」
凛姉は家以外だとキャラが変わる。甘えん坊ではなくクールなキャラに様変わりする。それでも俺が一緒にいると気が緩むのか口調や表情、仕草などが乱れる。そこら辺をほかの人たちが見るとドジっ子かっ!となるわけで人気が上がる。
俺と葵姉も凛姉と一緒に弁当を開ける。
当然作成者は同じなので弁当の中身も同じ。
今日のお弁当は厚焼き玉子、タコさんウインナー、シュウマイ、ブロッコリーだ。
「んん~っ!今日のお弁当も美味しいね!」
「陽葵姉は本当に料理上手、ほら俊あ~ん」
「ちょっ!葵姉それはやめて!」
葵姉が卵を掴んであーんをしてくる。
「葵、ずるいわよ」
「凛もやれば?」
「こんな所で無理!」
「まったく、恥ずかしがっちゃった」
凛姉は葵姉にからかわれている。家では恥ずかしがることすらないのに公共の場では恥ずかしがる。いや、別にそれは当たり前だからいいんだけどさ、俺は逆に家でのあ〜んをやめてほしい。
それからからかいながらもご飯を食べてそれぞれの教室に戻る。