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結菜お姉ちゃん

 私が俊ちゃんを好きになったのはいつの頃だろう。

 お母さんが再婚するって私達に言ってきた時は喜んだ。それで向こうには妹と弟がいると言われた。


 お母さんが「結菜が1番上だけど下に妹と弟が1人ずつ増えるのよ」と聞かされてまた増えるのかと嫌な気持ちになった。


 この時私は姉妹の1番上でしっかりしないといけないと思っていた。

 子供同士の顔合わせをすると聞いた時、妹とは多分仲良くなれるだろうと思っていたが弟はどうだろうと不安な気持ちがあった。


 男の子の気持ちはよくわからなかったし、男子から告白されたことはあったけど惹かれたこともなかった。


 私の初恋相手は小学生の時の教育実習生で来ていた。男の人だった。優しく接してくれた。1ヶ月くらいで帰ってしまったので私の初恋はそこで終わった。


 それから同学年の男子を見ても恋愛感情を持つことは無かった。

 だから俊ちゃんを見た時は驚いた。

 まだ中学一年生だった。俊ちゃんは童顔でまだ何も知らないような可愛い子だった。


 そんな俊ちゃんに惚れたのは再婚して一緒に住み始めてすぐだった。

 当時妹や弟が増えてさらにしっかりしないとと思うようになり、頑張った。受験の年でもあったから勉強も頑張ってやっていた。


 だからだろう無理がたたった。根を詰め過ぎた。そのせいで体調を崩して寝込んでしまった。両親や妹達はゆっくり寝てなさいと言って終わりだった。でも俊ちゃんは私の部屋に来て「大丈夫?」「辛くない?」「何か欲しいものある?」って必死で看病してくれた。その優しさに私はノックアウトした。


 私が元気になった時には俊ちゃんが今度は風邪を引いてしまったから私が看病してあげた。


 その件があってから自分の行動を見返して、1番上だからとかそんなことを考えるのは辞めていた。私は私。受験を頑張って大学に行き、いい仕事に就く。そして俊ちゃんと付き合いたい。


 それを目標にして来た。大学行って沢山の人達と交流を持った。私の持ち味のコミュニケーション能力を活かして友達も沢山できた。もちろん沢山の男性から告白はされたけど、私は俊ちゃんのことが好きだから断った。


 姉弟で恋愛なんて変な目で見られるのはわかってる。でも血は繋がってないから、法律上問題ないのなら私はこの気持ちを諦めたりはしない。


 ◇◇◇


『起きて、起きて、お姉ちゃん』


 スマホの目覚ましがなる。俊ちゃんの目覚まし時計で目が覚める。

 朝から俊ちゃんに起こされるというシチュエーションを味わうことが出来て幸せだ。


 昔、寝たフリをして俊ちゃんに起こしてもらった時に録った物を目覚ましにしている。これがあるおかげで私は寝坊がない。


 紺のミモレ丈スカートにベージュのトップスに着替える。

 今日は大学で講義があるから身だしなみもしっかり整える。と言ってもない日でも家に俊ちゃんがいるからそれなりの身だしなみはしているけどね。


 毎朝私が起きる頃には陽葵ちゃんがご飯の準備をしてくれてる。本当にいつも感謝しかないわ。

 陽葵ちゃんが来てから料理は全て任せちゃったから、もう私は料理ができるか不安だわ。

 陽葵ちゃんが料理している光景を見ながら朝のコーヒータイムをいつもしている。


「お姉ちゃんは今日は家?それとも大学?」


 後ろ姿を眺めていると陽葵ちゃんから聞かれた。


「今日は大学だよ、お昼には帰ってくるけど陽葵ちゃんは?」


「私は1日〜」


 陽葵ちゃんは1日か、じゃあ午後は1人ね。何してようかしら。



 大学で授業を受け、今日取るべき授業は終わった。もうほぼ終わりに近いので後は論文を書いて、就職活動に専念するだけだ。

 少なくともあと2ヶ月後には就職活動をし始めるだろう。


「結菜ちゃん」


 授業の片付けをしながら考え事をしていると声をかけられた。


「なに?」


 話しかけてきたのは、赤い髪のツインテールの女の子。赤羽美穂。私が大学生になってから初めてできた親友だ。私の好きな人も知ってる。よく見た目で口が軽いとか変な奴らとつるんでると噂されてるが、そんなことは無く、秘密は守ってくれるし、何かあれば相談に乗ってくれる優しい子だ。


「ちょっとお茶しない?」


「いいわよ」


 せっかくだしなにかアドバイスでも貰いましょうかね。


 美穂を連れて、大学出てすぐのカフェに入る。

 ここは大学近くなので講義前や終わりの暇つぶしによく使われてる。今日もそこそこの人がいる。


 窓際の席に座りカプチーノとカフェラテを頼む。


「それでどうかしたの?」


 わざわざお茶しようって言ってきてるくらいだからなにか用があると思ったけど⋯⋯。


「いやー実は私彼女が出来ました!」


 突拍子もないことだった。


「はい?⋯⋯彼女?彼氏じゃなく?」


「はい。彼女だよ?」


 まさかの親友そっち系だったのか。いやおかしい。少し前まで普通に彼氏欲しいって喚いていたはず⋯⋯。


「いきなりどうしたの?この前まで彼氏欲しいって言ってなかった?」


「そうなんだよ、言ってたけど、この前友達と飲みに行った時に酔っててさ、1晩開けたら女同士いい!ってなってね。その子もそっちの扉開けちゃってさ2人で付き合うことになったのだ!」


 えぇー、なに頬赤らめて言ってんのよ、ここカフェだよ。そんな赤裸々告白しないでもらえないかしら?聞く方が恥ずかしい。

 というか親友がいつの間にか遠い存在になった気がする。


「そ、そうなんだ、おめでとう」


「ありがとう!あ、彼女来たからもう行くね!またね!」


 そう言ってカフェラテを飲み干してそのまま帰ってった。って彼女待ってる間に私に報告しに来たのね。はぁ⋯⋯なんか凄く疲れたわ。もう帰って休みたい。


 カプチーノを飲みながら、今日家帰って俊ちゃんにどうアピールしようか考える事にした。

ここまで読んでいただきありがとうございます

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