海3
俺は今パラソルの下荷物番をしている。傍には葵姉もいるけどこちらは寝ている。食後のお昼寝タイムかな?
少し離れたところでビーチボールで遊んでる4人の姿が目に入る。
バレーボールみたいにみんなで円形になって遊んでいるみたいだ。
みんな楽しそうに遊んでいる。
そんな4人の所に4人組の男達が話しかけに行った。
結菜お姉ちゃんと陽葵お姉ちゃんが先頭に立ち話をしているが迷惑そうな顔で首を振っている。
これは流石に助けないとと思い葵姉をひと叩きしてから姉達に近づく。
「おいおい、いいじゃんかよ、俺らと遊ぼーぜ」
「そうだ、ご飯奢ってあげるからさ!」
「みんなで楽しもうよー」
男達がそんなセリフで姉達を誘っている。
「行きません!」
「しつこいですよ、他の人を当ってください」
「カッチーン。そんなに拒否るなら無理やり連れてってやるよ!」
男の1人が軽くキレて陽葵お姉ちゃんの腕を掴んで連れていこうとしている。
「ちょっ!やめて!」
俺は急いでそこに行き陽葵お姉ちゃんを掴んでるやつの手を掴み離させる。
「やめろよ」
「あぁ?なんだガキ」
「嫌がってるのに無理やりなんてダメだ」
「こいつらの連れか?お兄さん達はこの人達と遊びたいだけなんだ、君はさっさと消えな」
「断る!」
「はぁ〜痛い目見ないとわからないのかぁ?」
そしてナンパ男1人の拳が俺の腹にささる。うっ。
「俊君!」「俊」「俊ちゃん」「俊くん」
後ろの4人がそれぞれ声を掛けてくる。
「ほら、お兄さん達に渡さないから痛い目に遭うんだよ?」
「そっちの4人もこれ以上こいつを虐められたくないでしょ?大人しく着いてきなよ」
──────そこまでだ!
ナンパ男達の後ろには4人の男の姿が見える。黄色のユニフォームを着た。ライフセーバー達だ。
「「「なっ!」」」
「君達の行動は行き過ぎだ、こっちに来てもらおう」
屈強な4人の男達の前に流石に無理だと悟ったのかナンパ男たちは逃げることも諦めて大人しくついて行った。
3人の男達に連れていかれ1人はこちらに近づいてくる。
「大丈夫かい?」
「えぇ、多分」
「助けるのが遅くなってしまいすまなかった」
ライフセーバーの人がそう言ってくれる。
「いえ、大丈夫です」
「君たちも大丈夫だったかい?」
姉達に次は声を掛けている。
そうすると近くから葵姉がやってくる。
「大丈夫?ごめん遅くなって」
あの後起こされた葵姉は俺達とナンパ男達を見つけて急ぎライフセーバーの人達を呼んできてくれたみたいだ。
よかった。一応起こしとこうと思ってやったけどちゃんと成功したみたいだ。
「ありがとう、呼んできてくれて」
「流石にびっくりしたよ」
あはは。
後ろから結菜お姉ちゃん達が話し終えたのかみんな駆け寄ってくる。
「俊」「俊ちゃん」「俊君」
「ありがとう!」
みんなから感謝された。
俺はあんなことでせっかくの楽しい一日が無くなるなんて嫌だった。
だからみんなを守れてよかった。
流石にその後も遊ぼうという気にはならず俺の体を心配してか早めに帰ることになった。
服を着替えて電車に乗って帰宅する。
夏休みはまだまだあるから今日よりも楽しい思い出を作れたらと思う。
ここまで読んでいただきありがとうございます