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学校でのお姉ちゃん

「俊、栞さんおはよう」


「おはよう元」


「おはよー、天野君」


 栞姉と一緒に登校した俺達に挨拶してきたのは天野(げん)、中学の頃から友達で、うちの姉達とも面識はある。


「相変わらず仲良いね〜」


 俺が栞姉と手を繋いで教室に入ってきたからな。


「そうだよぉ〜俊君は私の〜」


 栞姉は相変わらずのほほんと抱きついて、そんなことを言ってくる。


「まったく⋯⋯真理さ~ん」


「はーい、行きますよー」


 女子が集まって話してるところに向かって声をかける。

 その中から声がかえってきて一人の女子生徒が歩いてくる。


 今井真理。このクラスの学級委員長をしている。茶髪のショートカットで眼鏡が特徴的だ。仕事に真面目でサボりを見つけるとすぐに注意をしてくる。栞姉の世話役でもある。


「栞姉をよろしく」


 栞姉を委員長に預ける。預けないといつも俺のところに来るので委員長が抑えてくれる。栞姉も委員長といると大人しく他の女子と話しているので安心だ。


 というかなんで俺が保護者みたいなことをしないといけないのか。


 午前中の授業が終わりお昼になった。元と一緒に食べるために食堂に行く。俺はお弁当だが元は学食だ。


 廊下を歩いていると目の前から見慣れた顔が歩いてくる。彼女が俺に気づいて近付いてくる。


「俊!」


「葵姉!?来てたの?」


「当然でしょ。遅刻なんてしてないからね!」


「そうなんだ、よく間に合ったね」


「ふふん、当たり前でしょ」


 ドスッ


「葵、見つけた、早く職員室に行くよ」


 後ろ来てた凛姉が葵姉の脇腹に突きを放つ。いきなり刺されて、脇腹抑えて蹲ってる。

 それを掴まえて職員室に連行されてった。

 まぁ遅刻してて今来たところでそれを凛姉が捕まえて連れてったんだろう。


 たまに見かけるこの風景。元もいつもの事だと傍観するだけで終わりだ。


 食堂に着くと、元は食券を買って並んでいる。

 さて俺の今日の弁当は何かなー?弁当の蓋を開けると、ご飯の上にそぼろでハート型に彩られていた。これもいつもの事なので特に気にしない。

 おかずはミニハンバーグ、プチトマト、厚焼き玉子、シャケの塩焼き。


 流石に6人分ともなると作る量も増えて大変だと思う。ミニハンバーグは冷凍のやつだろう。それも6人分ともなれば沢山だけど、1番大変なのは厚焼き玉子だろう。ただでさえ時間がかかるのにそれを6人分作るのだから、陽葵姉ちゃんには頭が上がらないよ。


 元も戻ってきた。今日は親子丼にしたらしい。俺も学食を食べてみたいけどお弁当が作られない日はないので諦めてる。

 陽葵姉ちゃんが風邪を引けば作らないと思うけど、陽葵姉ちゃん高校になってから風邪を引いてないんだよね。どんだけ健康なんだろう。


 午後の授業も特に問題なく終わり、家に帰る時間となる。俺は部活をやってない。やりたい部活がなかったってのはあるけど、姉ちゃん達から早く帰ってきなさいって言われるので部活は無理だと思った。


 栞姉を真理さんから回収する。


「栞姉帰るよ」


「わかったぁ、行こう〜」


 俺は真理さん達に挨拶をする。


「それじゃあ、また」


「じゃねー」


「気をつけてねー」


 栞姉を連れて家まで帰る。

 帰りは栞姉のペースに合わせて帰る。ゆったりと桜の花が散り落ちていく様子を眺めながら、歩いていく。


「ただいまぁ」


「ただいま」


 栞姉と一緒に家に入る。リビングから「おかえりー!」と陽葵姉ちゃんの声が聞こえてくる。2階からは凛姉と葵姉が一緒に降りてくる。


「おかえり、俊」


 凛姉が抱きついてくる。学校ではクールビューティなキャラだけど家だと俺によく甘えてくる。柔らかい感触が胸のあたりにあって気持ちいい。


「おかえり、俊」


 そう言いながら抱きついた俺のところに来て今度は凛姉の脇に1突き、凛姉は蹲る。葵姉に引きづられながらリビングに消える。


 そんな一部始終を見終わり、部屋に戻ってスウェットに着替えてからリビングに行く。


 リビングには全員いた。結菜お姉ちゃんは勉強かな?参考書を片手にスマホを弄ってる。陽葵姉ちゃんはご飯の支度をしてくれてる。 凛姉と葵姉はテレビでムリオシスターズをして遊んでる。栞姉はビーズクッションの中で胎児のように丸まって寝てる。


 みんな自由だなー。俺はそんなこと思いながら陽葵姉ちゃんの所に行く。


「陽葵姉ちゃん手伝うよ」


 唐揚げを揚げてる陽葵姉ちゃんに向けて声をかける。ずっと揚げてるからか額から汗が浮き出てる。


「俊君、ありがとう、じゃあサラダお願いしていいかな?」


 サラダを任されたので作っていく。レタスをちぎり、トマト、海藻、きゅうり、玉ねぎをいれ、青じそドレッシングを入れて混ぜていく。陽葵姉ちゃんはその間唐揚げに野菜炒めを同時進行でこなしていく。


 出来た料理を机に出していく。結菜お姉ちゃんが料理を運ぶのを手伝ってくれる。他の姉ちゃん達は座って待ってた。栞姉も起こされて、目を擦りながら座る。


 食卓に唐揚げ、野菜炒め、海藻サラダが並ぶ。


「いただきます」

「「「「「いただきます」」」」」


 みんなそれぞれご飯を食べる。たまに栞姉が「あーん」をしてくる。それを食べると今度は凛姉がとびっきりの笑顔で葵姉がぶっきらぼうに「あーん」をしてくる。陽葵姉ちゃんと結菜お姉ちゃんも混ざってくる。

 そんなに唐揚げは食べられないからやめて欲しい。太ってしまう。


 ご飯を食べ終わり、今日は凛姉が片付けをしている。片付けは日替わり当番制にしている。陽葵姉ちゃんにずっとお願いするのはダメだということで決めた。


 その間に陽葵姉ちゃんが風呂に入る。結菜お姉ちゃんはもう先に入ってる。陽葵姉ちゃんの次は栞姉、葵姉、凛姉、俺と言う順番で入る。


 俺は最後に風呂掃除も兼ねてやる。それと前までは途中で入ってたけど、後の人が俺と一緒に入ろうとして突入してくるので最後にした。


 姉ちゃん達の好意は嬉しい。俺もモテる訳では無いので姉だけどモテるのは嫌な気分じゃない。でもそれに応えていいのかはまだ答えが出ない。世間の目があるというのもあるけど、1人を選ぶなんて事が俺に出来るのか。その心配の方が大きい。いずれ答えは出るだろう。それまでは仲のいい姉弟でいようと思う。

ここまで読んでいただきありがとうございます

よろしければ感想、評価、ブックマークなどよろしくお願いします。

やる気が出ます。

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