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幽霊との出会い

  太陽の陽射しがジリジリと照りつける。

「暑い〜」

  テレビで観た天気予報では気温は三十六度だといっていた。幾ら何でもこの暑さは酷い四十度近くあるんじゃないかと思うほどだ。

  学校まではまだまだ遠い。汗を掻きながら俺は自転車を漕ぐ。

  時折風が吹くが生温い温風が肌を撫でるだけで汗で濡れた体を乾かしてはくれない。

  駅に着くと見覚えのある顔があった。「おっす、修哉」

  携帯を見ていた友人が顔を上げる。

「おう、真田」彼は小学校からの腐れ縁だ。

  そのこともあって心の底から本音で話し合える友達の一人。



  数年前に突然俺の身に起きた奇妙な力のことも話してある。

  奇妙な力というのは亡くなった人と直に会話ができるというもので、もちろん霊を見ることもできる。

  一種の霊感のようなものみたいで最初は居るはずのない人が目の前立っているのだから怖くて仕方がなかった。今では慣れてしまったが常に見られているような気がして落ち着かない。

「なぁ、今もそこに幽霊いるのか?」

  修哉に聞かれたので、いるよと答えた。そうすると怪しく笑って話しかけてくればと言ってきた。できればそんなことはしたくない。好きでこうなったわけじゃないしな。

  脅かしてやろうと修哉に言った。

「お前にも見せてやろうか?」

「いや、俺はいいわ」

  即答しやがった。自分は幽霊とか苦手なのに見える俺には弄ってくるのだから。でも、それが楽しくもある。



  言い忘れていたので、付け足して説明すると。

 俺が故意に対象の人物に向けて触れるとその人に対て数分間だけ俺と同じ能力を反映させることができる。

  意図的にこういうことができるようになったのは最近のことだが、慣れるまでは周りの人を驚かせてばかりだった。

  学校の最寄り駅までは三十分ほどかかる。それまで寝てしまおう。

「…だよ!」

  俺の座っている席から声が聞こえる。おかしいこの席には俺と修哉しか座っていないのに

  一気に眠気が来て夢の世界へ飛び立とうとした時後ろから怒鳴り声が聞こえた。

「邪魔だっつてんのが聞こえねぇのか!」

  俺は驚いて立ち上がった。座席をよく見るとそこには幽霊の男性がいた。修哉のほうを見ると状況を理解したようで顔がニヤついていた。うぜぇ…

  俺は修哉にも見せるため肩に触れて能力を反映させた。

「うわぁ!」声を出して驚いた。ざまぁみろ

「喧しい車内で大声をあげるな」

 幽霊に叱られてしまった。反対の席に座りなおして幽霊に話しかけてみる。

「どこに出掛けるんですか?」

「女房のところへ行こうと思ってな」

「幽霊なのに電車乗るんですね」

 修哉が会話に割ってそう言った。おい、それは失礼だろ

「ダメなのか?」

 怒り気味に聞いてきたことに修哉は下がり気味になり「いえ…すいませんでした」と謝った。

「何故奥さんのところへ?」

 そう質問したとき男性の顔が暗くなった。言い出しにくいのかもしれない。余計な質問だ。だけど彼は答えてくれた。

「結婚記念日に俺が事故で死んだんだよ一番大切な日に会わなきゃならない人を待たせたままね。だから女房の顔だけでも見てから成仏しようと思ってね」

「すいません失礼なことを聞いて」

「いや、いいんだ死んでしまってるんだし気にしないでくれ」

「ありがとうね、こんなおじさんの話を聞いてくれて」

 優しい声音で宥めてくれたが俺から質問をした以上このままで済ます訳にはいかない。

 俺のこの力で奥さんにこの幽霊(ひと)の顔を見せてあげなきゃ。

「あの、名前を教えてもらえませんか?」

「変わってるねどこぞの幽霊に名前聞くなんて、山崎と言います」

「山崎さん、今から貴方の家まで案内してくれませんか?奥さんに山崎さんの顔を見せてあげたいんです」

 そう言ったときの顔はとても驚いていた。急にこんなことを言い出すとは思わなかったんだろう。

「でも、格好を見る限り学校に向かうところだろ。良いのかい?」

「はい!あとのことはこいつに任せるので」

 隣でビクついている修哉を指した。山崎さんもそれならと承諾し次の駅で降りた。







 




 






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