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 そこからの進撃に、ユウヤは言葉を失うしか無かった。

 蹴られたことで、洞窟の壁にぶつかったために出た鼻血はジュリから渡されたティッシュを丸めて詰めることで対処したが、どうにも間抜けな顔になってしまう。

 隠し通路から出ると、魔王城のどこかの部屋だった。


 「はい、ユウヤさん!

 スキルをいくつか融合させて地図を作る!」


 寛いでいただろう、魔物や魔族達を悲鳴を上げさせる間もなくぶっ殺したあとジュリの指示が飛ぶ。

 

 「え、えっと、融合?」


 「ほら、常にスキルを発動させてたから全体的にスキルレベルが上がってるでしょ?

 条件が揃って新しく使えるスキルも増えてるだろうし。

 あ、【マップ全索敵】がレベル3になってる。

 ほら、この紙に写して写して! 【共有】スキル使えば出来るから」


 「あ、は、はい!」


 渡されたのは、今や元の世界でも珍しくなった裏が白紙の広告数枚だった。

 言われた通りに、ユウヤにしか見えない状態で表示されていた平面図が計五枚にプリントされる。

 どうでもいいが、これインクとかどうなってるんだろう、とちょっと気になってしまう。


 「おおー」


 「お前それ見えてんのか?」


 感心するオオグに、エステルも今更すぎることを聞く。

 オオグは馬面ビンビン仮面のままだった。

 馬の頭がエステルを見た。


 「見えてる見えてる」


 ジュリは地図を確認すると、


 「なるほど、階層ごとにボスを倒さないといけないのか。

 ほんと、ゲームみたい。でもまぁこういうのも、あり、か。

 とりあえず、ショートカットで行くよ。

 エステル、よろしく」


 「?」


 ジュリの言葉の意図が理解出来ずにエステルは首を傾げた。

 ジュリは地図を見せながら、ここが1階であることラスボスの魔王は五階にいることを説明する。

 そして、五階にたどり着くには各階層の幹部を倒さなければならないことも。


 「ゲームだったら絶対できないことをやる。

 それで各階層のボスの部屋までショートカット出来る」


 要は、障害物をぶっ壊して一直線に向かおう作戦である。


 そして、この作戦は大成功をおさめる。

 予想外の所から現れた仇に、一階担当の魔族達は全滅したのだった。


 「うわぁ」


 ユウヤはドン引きである。

 しかも、ドロップアイテム以外も死体から回収するという慈悲も何も無い行為が平然と行われている。

 

 「うーん、武器の性能なんかはそんなに変わらない、か。

 魔石なんかも、そんなに性質は変わらないみたいだし」


 「こっちの金貨とかはどうする?」


 「うちの方の天界とかのルールには明記されてないし、持って帰っても平気でしょ。

 溶かして固めて売ればいいけど、混ぜものかどうかで価値が変わってくるしなぁ。

 ま、二束三文でもお金になるだろうし。

 換金したら焼肉行こう焼肉」


 この惨状でよく焼肉行く気になれるな、とユウヤは思ったが口にしなかった。


 まぁ、こんな感じで本当にサクサク進み。

 あっという間に、魔王の部屋直前までたどり着く。


 「はい、各自HPとMP確認する。

 回復アイテムは全員に配っとくから、万が一の時はそれでサポート!」


 そして、体調を万全にしてラストバトルに挑むため、一応勇者役であるジュリがその扉を蹴り開けた。


 待ち受けていたのは、魔王と、その部下達。

 玉座の間なのだろう。

 それなりの荘厳さがあり、威圧感も半端ない。

 魔族達は何かに怒っているようだ。


 「よくぞ来た、勇ーー」


 メキョッ!!


 魔王の言葉が終わらないうちに、ジュリが跳んで蹴りだけで魔王の首をひき肉にしてしまう。

 空気が凍るのもお構い無しに、ジュリは指を振って王様が羽織るようなマントを出現させ、それを思いっきり天井へと投げる。

 同時に、パチンっと指を鳴らした。

 すると、マントからおびただしい数の黒い手が伸びてきて、その場にいた敵の魔族達を捕え、マントの中に次々と引きずり込んでいく。

 時間にして、数十秒。

 敵の戸惑いや叫び声が消えて、静寂が支配する。

 と、遅れて魔王の体が倒れた。

 そして、フワフワとマントが持ち主のジュリの元へ降りてくる。

 それを回収して、ジュリはつまらなそうに言った。


 「よし、焼肉行くよ!!

 奢るから! ユウヤさんも来なさい!」


 「え、あ、はい」


 それしか答えられなかったのは、仕方ないことだろう。


 「と、そのまえに」


 ジュリは、魔王の頭部のひき肉にマントを掛けて、


 「いーち、にー、さーん」


 きっかり三つ数えて、マントを取った。

 そこには、驚愕の顔のまま死んでいる魔王の首級があった。

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