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ぽっかり

こころにあながあいた、ぽっかりあいた。



少し前から、そんな気はしていた。

倦怠期とはちょっとちがう、かみあわなさ。

「うん」って一言のメール。笑って、くれない。


ちょっとした冗談をいうのも本当は、こわくて。

ね、わたしのことどれくらいすき?

なんて冗談でも聞けなくて


いっそのこと聞いてしまえばよかったかな。

そうしたら何か変わっていた?


こわくて、身動きがとれなくて、それでも離れるなんていやだから

何よりも失うことをおそれてわたしは息をひそめた。

変わっていないかのように、気付いていないかのように。

ずっと知らんぷりをしていて、そのくせ心をしめるのは彼のことばかりで。



そして、その日はやってきた。




ちらちらと携帯を見ながら。

そう、あれは数学の宿題をしていたとき

幾何の教科書 56ページから

ちょうどページをめくったときにメール受信をしめすピンクのライトが点滅した。



あいつ、健吾と付き合い始めてから2年間ほとんど毎日見たひかり


「明日、話がある。放課後あお」


「あお」のことばにやっぱりうれしくなっちゃうのはもうそれが癖になっているから。


次の日、放課後。

誰にも邪魔をされないわたしと健吾の秘密の裏階段。



わたしが二階のドアをあけると、健吾はいつものように一番上に腰かけていて、頬杖をついている。


すき、


「ここにくるの久しぶりだね」


笑うわたしに健吾も小さく笑いかえしてくれた。



いつもそんな風に笑ったりしないでしょ

下からのぼってくるわたしを見たら

まゆを片方だけくいっとあげて

ぎゅって抱きしめてくれたでしょ



わたしはその表情の意味に気付いたりはしない。


その笑みが消えないうちに

大事なことをいわなきゃ


自分でも何を考えているのか

わからないまま


「あ、あのね」

「ん?」



あ、すき



思わず肩がこわばった。

鼻にぬける健吾のあいづち、何回だってききたい



「もう暑いね、」



中三、七月

猛暑だとさわがれた夏



でもわたしはたとえさむい夏でもそうつぶやいただろう


だって、なにもいえない


「まゆ、」


「す、すっごく暑いね」


「まゆ、聞いて」


「昨日まで寒かったのに。ってそれは言いすぎかー」


へへへと笑ってみせる。

彼のつらそうな表情の意味に気付いたりは、しない。


「まゆ、」


「そういえばきのう・・・」


ちがうちがう

なにもわからない









「別れて、ほしい」







やっぱり、ね?

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