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秋風の月
風そよぐ日
夜明け前に目が覚めた。
しだいに明け行く空は、新月であることを告げるかのようで。
午後二時頃の新月を前に、すくんでいた左足を一歩前に出す。
そういえば、利き足はどちらなのだろう。
昔の利き手は左、今は右だから、利き手すら迷ってしまう。
鞄は右手に持ってしまうから、いまも基本は左なのかもしれないなぁ。
暗中模索を繰り返すような日々に、灯りとなるのは僕自身の心の奥、静寂の聖域。
緑の木々と泉と、風のみがそよぐ静かなそこでは、自我すらも凪いで、柔らかな想いだけがたゆたっている。
その泉には約束を幾つか隠してあって、訪れたなら再び取りだし眺めることができたりする。
その約束の鍵は、歩みはじめた原点を−−そして、さらに遠い、ささやかで大きく果てしない何かを教えてくれる。
そこから現実に戻ってきて、一歩、また一歩、歩んでみた。
今日、この足は、どんな地図を描くだろうか?
今の僕には、まだ見えない。
かつて描いた地図の先に今日の僕があって、今日の僕も明日には地図になるだろう。
始まって、かえる場所は、いつもこの胸の中にある。
今、僕はあの静寂に生きているんだ。




