12
5年の時を経て
ただいまの挨拶とともに
──ただいま。
帰ってきたよ、この場所に。
長い長い留守を、ごめんなさい。
エバーグリーンからも、3年の月日が流れていたね。
何があって、何故離れていたか、なんて、野暮なことは書かないよ。
ただ、そう──長く、長く、離れてしまったね。
僕は、書くことも、僕自身さえ忘れて、凍っていた。
日々は灰色にしか見えず、鮮やかさを失っていた。
かつての故郷は新しく住む者たちに無事渡り、僕らかつての住人は、それぞれの住まいを新たな「故郷」と呼ぶようになった。
同時にかつての故郷は──帰れぬ場所へと、姿を変えたんだ。
懐かしく愛おしいあの場所、そこにはもう、他者が暮らす日常がある。
そう──それで、良かった。
書くことが出来なくなったのは、3年前になる。
エバーグリーンの最終更新をラストに、筆が動かなくなった。
再びここに戻って来られたのは、とある小説原作の漫画のワンシーンに、『心』そのものを呼び起こされたからだ。
ああ──と思った。
何故、何故忘れていたんだろう。
この、書きたい気持ちを。
何故、何故忘れていたんだろう。
この、溢れて止まらない情熱を。
僕は、書くために生きているのに。
書くこと、そのものが僕だというのに。
ああ──と思った。
突き動かされた。
僕はもう、止まれない。
怖くとも、ここに書きにくるしかなかった。
この世界は残酷で、無慈悲で、だけど、美しい。
きっと僕は、また綴ってゆくのだろう。
僕が僕を、忘れない限り。




