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年が明けて間もなく
穏やかな陽射しの日に
どうもご無沙汰しております。
なんだか長いこと留守にしていたような…まあ、気のせいですよね。
なんだか年が明けたような…
…ええ。解っていて言っていますすみませんごめんなさい。
年末年始、実家に帰ってというか動員されたというかでバタバタ帰省して、戻ってきて思ったこと。
…色々あった場所だけど、僕はあそこが好きだった。泣きたいほどにいとおしかった、愛郷。
二年ほど経てば、新しい一族が住み、柱としてその存在を維持し、歴史を保ってくれるであろう……もう、故郷ではなくなる場所。
同時に…故郷を思うたびに、ずきりと痛むのは、無数の記憶。
住人側の裏玄関をくぐるとき感じるのは、いまだに足のすくむほどの重圧と、全身が強張る恐怖と、果てしない孤独と、螺旋階段のような葛藤と……
……ただただ、透明な愛情。
風のように、優しい気持ち。
僕は、実家の柱の一つの支柱にさえなれなかった。
身体も心も、まるで磁石の同じ極をくっつけられないように、環境と拒絶し合った。
どんなに大切な場所でも、自分の心を消して人形のように、あるいは道化のように振る舞えど、馴染めない場所はあるのだと……生まれた家で、育ちながら知った。
近づこうともがくほどにすれ違った想いは、数十年後の今、ようやっと歩み寄る程度。
人というもののいとおしさと難しさを、痛感し続けている。
高齢の家族たちを、生まれた場所で眠らせてあげられない、罪悪感と。
脱け殻のような安堵と。
これで良かったのだろうか、という疑問と。
この足の向く先への問い掛けと、今この瞬間にも過去となる、今と。
色々考えても、答えは出ない。
けれど、ああ、今は。
あの門が、空が、鳥の羽ばたくさまが美しかった。
それだけを、留めて。
あとはただ、できることを、奏でゆくのみ。
僕の選んだ道は、間違いだらけだろう。
それでも時が流れ続けているならば、歩いていかなきゃならない。
今を選んだ、過去の僕への誠意と。
これからをつくる、今の瞬間の僕への戒めとともに。
…全てをひとりで背負う必要はないと教えてもらった今だから。
昔とは違う道を、選べるはずさ。




