94 95 96 秀吉 安土城の裏話 ✖ 忠興 家督を継がされる
安土城にて、
黒田「殿、何事に御座いまするか?」
秀吉「信孝が見つかりそうじゃと、知らせが参った」
黒田「作用で御座いますか。して、何方に?」
秀吉「東山(京都)に隠れておるそうじゃ」
黒田「坂本城から近いですな(また下らぬ事を考えたか)」
秀吉「お主の身に、万が一の事が遭っては成らぬからのう。
(お主等に、信孝を担がれたら困るからのう)」
黒田「これは痛み入りまする。
(わしと明智と信孝が組まれると不味いと考えたか)」
秀吉「それよりも、次に誰を担ぐか決めねば成らぬ。
お主の知恵が必要になるやも知れぬ
(お主は手綱を引いておらぬと危ういからのう)」
黒田「誰を味方に付けるか、考えねば成りませぬな。
(さて、猿回しを始めるかのう)」
次の日、
黒田「三介様(信意、後の信雄)が御到着なされましたが、いかが致しましょうか?」
秀吉「丹羽(長秀)より早く来てしまったか」
黒田「皆が集まるまで、放っとくが宜しいかと」
秀吉「そうじゃな、余計な事を言われては敵わぬ」
二日後、信長の寝所の近くにて
黒田「明智から、文が届きましたが」
秀吉「読め」(注:秀吉は字が読めません)
黒田「明智光慶が病で亡くなったそうに御座います」
秀吉「光慶?・・・あの子童か。どうでも良いわい」
黒田「では、返答は私めが書いておきましょう」
三成「殿、上様の御様態が悪くなったと知らせが参りまして御座います」
秀吉「とうとう来たか、丹羽と三介様はどうしておる」
三成「もうすぐ此方に来られるかと」
秀吉「柴田と滝川は、間に合いそうにはないのう」
黒田「こちらには秀勝様が居られます故、なにかと有利で御座いますが、
相手の油断を誘うなら、三介様を抱き込むが宜しいかと」
秀吉「手は有るか」
黒田「弱みを握れば宜しいかと」
秀吉「誰を忍ばせるかは、お主に任せる。後は柴田か」
黒田「それは後に考えましょうぞ」
秀吉「ん?それよりなにか焦げ臭いのう」
三成「殿、火事に御座います」
秀吉「火元は何処じゃ」
三成「それが、三介様が居た所にて」
黒田「手間が省けましたな」
秀吉「あの阿呆が!!!急ぎゃにゃ上様を運び出せ!!!」
火事は本丸だけを焼き鎮火した。
そして、織田信長は安土城が崩落と同時に亡くなった。
本能寺の変から十二日後、六月十三日であった。
(この物語では、本能寺の変は六月一日におきています)
一方、丹後国宮津城にて、
忠興 「早よぅ取り押さえよ(イタタタ・・・)」
伊也 「殺してやる!!!」
長岡家臣「姫様、落ち着かれ下され」
伊也 「夫の仇ぃぃぃ!!!」
珠子 「天罰が下ったようで(フフフ)」
忠興 「こんな時に笑うでない」
藤孝 「梔子の、何処で子育て、違えたか」
忠興 「父上、唄を読んでる場合か!!!」
伊也 「離せぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
藤孝 「さて、安土に向かうかのう」
忠興 「父上、置いていく気ですか」
藤孝 「わしはこれを期に隠居する。後は任せたぞ」
忠興 「伊也も一緒に連れて行って下され」
藤孝 「断る!」
珠子 「坂本に寄られるのでしたら、弟達にこの文を」
忠興 「少しは、わしの心配も致せ」
長岡忠興は、一色義定の妻で実の妹の伊也に鼻を切られた。
これは、一色義定を暗殺した報いである。
この事は光泰の人生に、何の影響もない出来事である。




