96 茂朝 大和国争奪戦を語る
僕は、鯛焼き(中身は小倉餡)を食べながら、筒井家の話を聞いてみた。
光泰 「筒井家には、十二郎を死なせた責任の、落とし前をつけねばならぬ。
解る範囲で良い、説明せよ(モグモグ)」
溝尾茂朝「大和の国は以前、松永家に支配されておりました。
松永久秀は民に重税を、家臣に無理難題をかけておりました。
その後、筒井権少僧都順慶殿が治めることになりますが、
大和筒井家の家柄は土豪であり、
家臣達も同格の土豪が多く、服従しているとは言い難かく、
民は、松永の悪政で疲弊、猜疑心を持ち、
検地の際に謀反を起こし、筒井家は明智家が手伝わねば成らぬほど、
力が御座いませぬでした。
また大和は、寺社が強く権少僧都殿も僧で御座います。
(権少僧都は僧官7位)
その為か、借りが多く、寺側に強く物を言えず、
体も病弱で、皆から弱腰、無能、虚無僧などと言われております。」
光泰 「ムズイ・・・・・(虚無僧て何?)」
溝尾茂朝「十次郎様を、養子にしようとした話で御座いますが、
権少僧都殿には嫡子が居らず、後継候補として
重臣、番條懐盛殿の子、番條五郎懐慶殿、(実力者)
叔父、筒井順国の子、甥の筒井四郎定次殿、(血縁)
が居られますが、
穏やかで人望があり権少僧都殿も押す、番條殿は継ぐ気は無く、
四郎殿は気性が荒く、皆から嫌われております。
現在家中は二つに別れ、番條派は代わりに評判が高い、
十次郎様を養子にしようと画策し、
四郎派は、織田家の養女を嫁に娶り後ろ盾に付け、
家臣の意見を纏めているようで御座います」
光泰 「長い・・・・・・」
溝尾茂朝「この件に際し、上様は明智家の親戚で、山岸家の娘の秀子様を養女にして、
四郎殿に嫁がせ、明智家にこの問題を、押し付けられたので御座います。
そこで殿は十ニ郎様を養子に差し出し、四郎派を牽制させ
番條派に、十ニ郎様と筒井家の娘と婚約させ、
番條殿に後見人をせよと申したので御座います。
ただこの後、問題が起こりました」
光泰 「まだ終わらぬか・・・・・」
溝尾茂朝「本来なら上様の親戚に成られた、四郎殿が跡継ぎに、
十ニ郎様は重臣として育てられ、家中を纏めさせる予定でしたが、
確たる証拠は御座いませぬが、番條派の方々が、
伊賀の乱の際、不審な死に方を成されたので御座います」
光泰 「伊賀と四郎派は内通していたのか」
溝尾茂朝「上様の親戚を疑う訳にはいかず、不問に成っております。
それに加え、誰も信じてはおりませぬが、
秀子様は、明智家の陰謀に違いないと主張しており
皆、困り果てて御座います」
光泰 「秀子とは何者じゃ。なぜ、明智を貶める」
溝尾茂朝「秀子様の母で、殿の従姉妹の千草様はその昔、殿と・・・」
光泰 「言いにくい事か?まさか仲が悪かったのか?」
溝尾茂朝「いえ、むしろ千草様が殿を無理矢理・・・・」
初体験の相手なのね。しかも無理矢理か・・・ウケルw。
光泰 「その話はもう良い。それより秀子の事じゃ」
溝尾茂朝「秀子様は、父親が誰だか解らぬ娘に御座います」
光泰 「父上の子ではないのか?(また誰かとカブってる)」
溝尾茂朝「時期が合いませぬ。その頃殿は、越前に居られまして御座います」
これはまさか千草さんは、娘に光秀の秀の字を付けるくらい、
一方的に惚れていた。そして奪った煕子を恨んでいた可能性がある。
その子である、僕達も・・・怖っ。
光泰 「つまり秀子は生い立ちから明智家に、恨み、妬み、嫉妬、
そして母を捨てたと思うておる訳じゃな」
溝尾茂朝「恐らくは・・それに元々、気性も酷く人を蔑む悪い癖が御座います」
筒井四郎定次と、秀子夫婦は似た者同士、最悪の性格、
明智家を敵視・・・・危ない危ない。
十二郎君には悪いが、僕じゃなくて良かったよ。
光泰 「まさか殺される可能性があるから、身代わりを用意したのか?」
溝尾茂朝「なにも言いませぬでしたが、恐らくは」
僕、命の恩人殺しちゃってた。
いやでも結局、謀反起こしているのだから、結果は変わらないよね。
恩人は光秀では無い、十二郎君だ。立派な墓を立ててやろう。金ないけど。
しかし大和の国は大変だな。険しい山々、不便な道路事情、
寺が強く、家臣も従わず、民は武士を敵視、ヤバイ後継者候補もいる。
光泰 「もしや番條が継ぐ気が無いのは・・・(茶をゴクリ)」
溝尾茂朝「筒井家に係わるのは、止した方が宜しいでしょう」
光泰 「ぜ・・・・絶縁じゃ」
これより明智家では、筒井家との援助、協力、交流を一切禁止した。
大和の国の闇は深すぎる・・・。
後に番條派は旧臣派、四郎派は寵臣派と呼ばれる様になり、
対立が激化し大和筒井家は衰退するが、光泰の所為ではない。
大和国の人々、(影響力順)
筒井順慶(大名辞めたい、仏門に専念したい)番條派
筒井定次(大和の国はわしの物、家臣は言う事聞け)四郎派
山岸秀子(憎い・・ああ憎い・・明智憎い・・・)四郎派
番條懐慶(大名嫌だ、現状維持)番條派
嶋左近 (筒井家辞めたい、でも領地ある、辞めにくい)番條派
木阿弥 (私は知らない、なにも見えない)中立
中坊秀祐 (愚かな四郎は扱いやすい)四郎派(注:今は羽柴秀長の家臣)
柳生家の人々 (剣!!!勝!!!飯!!!!!!)反筒井家派
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??宮 (ヨ・ノ・ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・ベ・キ・カ)
(??のヒントは鯛焼きです)




