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94 光泰 裏話を聴く

さて今、何が起きているのか、黒田官兵衛から聞かねばならない。

接待役は、溝尾茂朝に任せていたはずだが、

何故かこちらに向かって廊下を歩いている。


光泰  「黒田殿はいかがしておる」

溝尾茂朝「それが、羽柴殿から至急、安土に向かうよう命じられたように御座います」

光泰  「何か遭ったか?」

溝尾茂朝「詳しくは解りかねまする」

光泰  「今何処に居る」

溝尾茂朝「船着き場で御座います」


僕は急ぎ船着き場に向かった。


坂本城内船着き場、ここは琵琶湖を移動する為に整備された軍港の様な所である。


光泰 「間に合った。黒田様、何事に御座る」

黒田 「知らぬ。雨が振りそうなのに呼びつけられたわい」


そう言いながら、膝を手で擦った。


光泰 「先程、別れたばかりなのに休まる暇もなく、

    向かわねば成らぬ用事とは、もしや!!上様が・・・」

黒田 「かも知れぬ。それから後の事は、神子田みこだ殿に任せる故、

    余計な真似をなさらぬように」


神子田みこだ?そんな武将居たっけ?大名にも居ないはずだが。


神子田「拙者、神子田みこだ半左衛門はんざえもん正治(まさはる)でござる」


神子田正治の第一印象は、堅物で時代劇に出てくる、

切られ役の大部屋俳優みたいな感じだった。


光泰 「明智十次郎光泰でござる」


黒田 「次は切腹の時かのう」


この人は、嫌な事を。

黒田官兵衛は船で、安土城の方向に向かった。


あ!信長の事を聞いてないぞ。


光泰 「神子田殿は上様の身に何が起きたか、ご存知で御座いますか?」

神子田「詳しくは知らぬが、

    まず津田信澄殿が、信孝様に討たれ、

    次に信孝様が、信忠様に呼ばれ、

    妙覚寺に集まり、叱責なされた時、

    本能寺が燃え、皆が気を取られたきに、

    信孝様が信忠様を殺め、

    捕まえようとした近習のもりを斬りつけ逃げたし

    それを聞いた上様が、憤怒し倒れたと聞きましたが、

    ご存知では御座いませぬでしたかな?」

光泰 「ある程度は予想が付いていましたが・・

    そこまで話して良かったので御座いますか?」

神子田「口止めされていないから、大丈夫であろう」


神子田 「それよりも雨が振りそうじゃ、城の案内してくれぬかのう」

光泰  「庄兵衛、神子田殿の案内を頼む」

溝尾茂朝「畏まりました」


織田信長が倒れたか・・病名は何だろうか?

倒れるくらいだから相当重いはずだ。

脳卒中、血管破裂、脳神経麻痺、思いつくのはこれくらいか。

長くないかも知れない。


清須会議が始まるのかな?


平次君を帰したの早まったな。


お茂「若様、宜しいですか?」

光泰「茂兵衛はどうした?説教は終わったのか?

お茂「牢屋に入れ、反省させて居ります」


あのう一応、茂兵衛はまだ僕の近習だからね。

勝手に牢屋に入れてはいけないよ。


光泰「反省させるは良いとして、一言断るべきであろうに」

お茂「これから皆様が集まれば、部屋が足りなくなります故、

   息子の部屋を開けさせましただけに御座います」


僕の部屋の隣には近習が寝泊まり出来る部屋がある。


光泰「気が早いのう」


明智家の家臣達が、集まるのは明日からで、

今日は部屋を用意する必要はない。


お茂「それよりも、これから若様には、説教を聞いて頂きまする」

光泰「わしが説教される事は、していないはずじゃが?」

お茂「説教するのは、菊姫様に御座います。

   これからの事を考えても一緒に聴いてもらいまする」

光泰「初菊がなにかしたのか?」

お茂「勝手に城を抜け出した事を、お忘れで御座いますか?」


そういえばそうでした。

僕が死んだと聞いて、本能寺にやってきたんだった。


光泰「そういえばわしが死んだと言っていた、れ者は何処におる。

   迷惑をかけるなと、注意せねばなるまい」

お茂「それが、いつの間にか居なくなりまして御座います。

   今思えば、明智家の者では無かったやも知れませぬ」


なんだろう、なにか引っ掛かるが、何者だったのだろうか?


光泰「説教は、お手柔らかに頼むぞ」

お茂「いいえ、じっくり聞いてもらいます」


その後、僕の部屋で初菊は説教された。


お茂「姫君が、勝手に城を出ては成りませぬ」

初菊「はい・・」

お茂「置き手紙の字が、間違っております」

初菊「はい・・」

お茂「夜道を歩くなど、どれだけ心配したか」

初菊「はい・・」

お茂「追いかけてみれば、寺で若様と・・」

光泰「それは言うでない」

お茂「若様も若様で御座います。あんなに大きな声で・・・」

光泰「勘弁してくれぬかのう」

お茂「今の内に言わなければ、誰も注意する者が居なくなりまする。

   たっぷり聴いて頂きまする」


いつの間にかお茂の説教は、僕に変わってしまった。


お茂「そもそも、婚儀もしておらぬのにお手を付けるなど、

   上に立つ者として、あるまじき行いに御座います」

光泰「はい・・」

お茂「これで子が出来たらなら、生まれる月日が合わず、

   後で余計な面倒ごとが起こるやも知れませぬ」

光泰「はい・・」

お茂「これから若様は、当主として皆の見本に成るように、

   恥ずかしくない生き方をせねば成りませぬ」

光泰「はい・・」

お茂「しっかりして頂けねば、お方様(煕子)に顔向けできませぬ」

光泰「はい・・」


それから説教は三時間ぐらい続いた。


お茂「若様は小さかった頃から手を煩わせ・・(以下省略)」

光泰「Zzz・・・・」

初菊「Zzz・・・・」

お茂「クドクドクドクド・・・・」

光泰「Zzz・・・・」

初菊「Zzz・・・・」


お茂「起きなされ!!!!!!!!!!!!」

光泰「はい!」

初菊「はい!」


お茂「話の途中で寝てしまうなど、

   武家としてしては成らぬことに御座いますぞ!」

光泰「はい!」

初菊「はい!」


説教は、外が暗くなるまで続いた。


お茂「以上、宜しゅう御座いますね」

光泰「はい!」

初菊「はい!」


なんだか疲れた。凄く眠い。


光泰「初菊、寝るとするか」

初菊「では、床の準備を」

光泰「今日は疲れたであろう。一緒に寝ようぞ」

初菊「まあ♡」

お茂「成りませぬ、寝屋は別々で御座います」

光泰「駄目かのう」

お茂「駄目に御座います。我慢致しませ」


二度目のチャンスを、邪魔されてしまった。

早めに結婚式を挙げなくては無理そうかな?

だが喪中なんだよな。


・・・良い手は有るかな?


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