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56 光泰 たくらむ

明智光秀と光慶が亀山城に帰った後、焼き物屋店主が訪ねてきた。


光泰 「誰も近づけるでないぞ」

茂兵衛「畏まりました」

権兵衛「なにか、面白い話でもするのですか?」

茂兵衛「これ、何を言うておる」

光泰 「ただの商談じゃ。聞いても面白くないぞ」

店主 「左様で御座います。

    お近付きの印にお二人に、御土産をお持ちいたしました」

権兵衛「何で御座いますか?」

店主 「私は焼き物屋ですので、器をお持ちいたしました」

権兵衛「器より中身がほしいのですが」

茂兵衛「すこしは、遠慮せぬか」

店主 「もちろん、中の物もお召し上がりくださいませ」

茂兵衛「これは、変わった梅干しですな」

光泰 「ほう、干しナツメか。干し葡萄は無かったか」

店主 「残念ながら、見つけられ無かったようです」


レーズンがあればお菓子に使えるのだが、日本の葡萄では作らないのかな。


権兵衛「どれ、お一つ味見を」

茂兵衛「我慢致せ」

光泰 「役目の後で食べよ」

店主 「中々、愉快な家臣ですな」

光泰 「愉快すぎるがのう」


近習の二人を部屋の外に座らせ、店主と商談を開始した。


店主 「去年の大福帳(売上台帳)で御座います」


細かい金額は省くが売上順に

武家の子供に大ブームを起こしている、  ヨーヨー

小さい子供に人気な、          プロペラシューター

焼き物のおまけとしてプレゼントしている、竹とんぼ

数少ないインテリ層に人気な、      木工パズル

幼児知育玩具として密かに広まりつつある、積み木


これらの売上から20%のアイデア料を貰っている。


それ以外に販売中止にした、

明智光秀に禁止された、   静電気発生装置

売れ行きの悪かった、    髪飾り

武家の玩具には相応しくない、オセロ

こちらは試作品の段階で止めたので、

僕の荷物の中に押し込んでいる。


光泰 「次は、これを売るかのう。名は蟹の手じゃ」


新作の玩具はウルトラハンドだ。

竹と紐だけで出来てるから、簡単に作れる。

アレンジすれば、客寄せや手妻(手品)師に売れるだろう。


店主「どの様に、売り出しましょうか」

光泰「公家の女子おなごに売るのじゃ」

店主「公家は、ケチな者が多いですが」


公家は貧しい生活を送る者がまだ、沢山いる時代だ。


光泰「京の都に近いのに、公家に売れなくては勿体なかろう」

店主「たしかにそうですが」

光泰「竹と紐だけで出来てるから、

   簡単に作れて、安く売れるであろう」

店主「なにか別な目的が、お有りですか?」

光泰「大した事ではないが、公家と好みを結ぶのも悪くはないからのう」


光慶の婚約者を、公家から嫁がせる下準備をしようと考えた。

公家の女の子は、部屋から滅多に出ないそうだ。

ならば、明智家には面白い物があると思えば、

公家の娘から話が来るかもしれない。

玩具を売っている→お金がある→貧乏な公家が娘を嫁がせる

武家が駄目なら公家作戦だ。一生独身は可哀想だからな。


店主「売るには、色々問題がありますがやってみましょう」

光泰「駄目なら、普通に売れば良い」


上手くいくとは思っていない。

それより重要なのはこれではない。


光泰「例の計画は、順調か?」

店主「まだ武田の者に、怪しまれてはおりませぬ」

光泰「この博打を失敗すれば、明智家は終わると思え」

店主「しかし、浅間山がもうすぐ噴火するとは驚きますな」

光泰「なにせ極秘じゃからのう」


浅間山の噴火は大河ドラマで知っている。

真田丸、観ていて良かった。

武田家と織田家の最終決戦の前に、

起きる事実を利用して一儲けしよう作戦。


現在、武田家は籠城の準備をしている。

浅間山の周辺に、籠城用の兵糧を高く売り、

資金を貯めて、噴火したら武田家を裏切り、

逃げ出す家臣の兵糧を、安く買い叩く。

裏切る時に、大量の兵糧など無駄だからな。

安く買い叩いた兵糧は、織田家や徳川家に売り

収穫できなかった農民対策に使わせる。

余れば、明智光秀が謀反の準備で買うだろう。


店主「二年前に聞いた時は、半信半疑でしたが

   織田家の戦準備が、始まった今では、

   この策が成功すると、信じておりまする」

光泰「富士の山が、二百年から二百五十年の周期で噴火する噂も、

   後で流すのだぞ」

店主「その情報は、利用はしないのですか?」

光泰「富士が噴火するのは百年後じゃ。役にはたたぬ」

店主「次は、三年後の地震ですな」

光泰「くれぐれも秘密にせよ。話せば危険じゃぞ」


戦国時代に発生する、1586年1月18日の天正地震と、

1596年9月1、4、5日の連動型地震も、事前に話してある。


店主「若様は一体、どこでお知りで?」

光泰「なにせわしは、天神様の生まれ変わりと呼ばれているからのう

   災害を詳しく調べて、予測したまでじゃ」


もちろん嘘である。

地震の情報は、2011年のテレビの地震番組で覚えていただけだ。

ただ、日本での元号と日付は解らない。

三年後の冬と、十四年後の夏と秋の間ぐらいだと伝えてある。


店主「このような情報を、私などに知らせてよろしいのですか?」

光泰「確実に当たるか解らぬ事を、言える訳なかろう。

   もし外れても、おぬしなら損はせぬ程度は、やっておけるであろう」


店主には、世話になっているからね。

もし明智家が滅び、僕が死んでも、大商人に成れる様に

災害情報を活用してくれよ。

生き残った人を、雇って貰いたいからな。


店主「欲は貼らぬが、永く商う知恵で御座いますれば」


光泰「そうじゃ、この茶碗じゃが何か解るか?」


織田信長から頂いた、黒い茶碗を観てもらった。


店主「黒いですな」

光泰「宗易とやらが上様(織田信長)に、献上したそうじゃ」

店主「それならば最近、京の都で焼かれ始めた、黒茶碗ではないかと?」

光泰「古い茶碗ではないのか?」

店主「長次郎とやらに焼かせていると、聞き及びまして御座います」

光泰「宗易とは、何者じゃ?」

店主「堺の生まれで、名を千宗易という

   茶の湯を広めている、商人で御座います」


千宗易?千利休なら知っているが、もしかして名前を変えるのかな?

利休て、坊さんみたいな名前だし。


光泰「わしに、茶碗を与えたのは、何か意味が有るのじゃろうか」

店主「もしかして、曜変天目茶碗を作ろうしているのかもしれませぬ」

光泰「曜変天目茶碗か、売れそうじゃのう」

店主「ですが、不気味だと欲しがる武人は、少のうございます」

光泰「そうかのう、あれは夜空の様に、美しいのじゃがのう」


曜変天目茶碗は、テレビ番組の世界ふしぎ発見で、観たことある。

あと、開運!なんでも鑑定団でも観たか。


店主「見たことが、お有りで御座いますか?」


僕が、この時代で見たことあるのは、おかしいかったな。


光泰「誰にも、言うてはならぬぞ。

   噂が広まれば所有している者に、迷惑がかかるでな」

店主「左様でございますか。これ以上の、詮索はよしましょう」

光泰「確か、五客(個)有るはずじゃたのう」

店主「よくご存知で」

光泰「たしか上様も、持っていたはず」

店主「噂では、お気に入りの一つだそうで」


五個の内、四個を現在、誰が持っているか知らないが、

一つは、本能寺の変で消失している。

意外とよく覚えていたな。役に立たない情報だけど。


光泰「おぬしが白磁を作ろうとしている事に、気付かれたのかのう」

店主「隠してはおりませぬから、若様が絡んでいる事が、知られたのでしょう」


僕は、焼き物に興味がないのだが。


光泰「上様は、曜変天目茶碗を作ってみよと、

   無理難題を吹っ掛けてきたのかのう」

店主「そう簡単には、出来ませぬから

   口には出さなかったのかもしれませぬ」


織田信長も、期待はしていないだろう。

もし作れたら、ラッキーと思っているのかな?


光泰「おぬし、この茶碗いらぬか?」

店主「頂いても、利益分配は変えませぬぞ」

光泰「おぬしも図太いのう」

店主「若様ほどでは、ございませぬ」

光泰、店主「「ハーハハハハハー」」



権兵衛「何を話してるのじゃろうか?」

茂兵衛「聞き耳を立てるでない」

光泰 「茂兵衛、おぬしもじゃぞ」


茂兵衛は、注意しながら話を聞こうとしていた。


茂兵衛「お話は、終わりましたか」

光泰 「聞かれて困る話は、しておらぬからのう」

権兵衛「そうじゃ。茂兵衛は気にしすぎじゃ」

店主 「本当に、愉快な家臣ですな」

光泰 「わしもそう思うぞ」


気遣いをするわりには、ポンコツな茂兵衛。

武士なのに、遠慮する事が出来ない権兵衛。

この二人は、激動の明智家で生き残れるのか。


余計な事を、考えたくないのだがな。


茶器は、黒楽茶碗の試作品です。

完成品ではありません。

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