55 光泰 もらう
織田信長に、元服の挨拶をする。
本来ならこんな事はしないのだが、
急遽、信長と会見することになった。
これは、正式な謁見ではない。
正しくは、菓子を献上する為のものだ。
明智光秀をお供に(笑)、安土城にやって来た。
安土城は、話に聞いた通り黒かった。
明智光秀「粗相の無いようにせよ」
光泰 「心得ております(お前もな)」
光慶 「緊張して漏らすでないぞ」
光泰 「兄上、漏らしたのですか?」
光慶 「そんな訳なかろう」
光慶は、安土城に来るのは初めてだった。
嫡男として元服の挨拶したのは、織田家当主の織田信忠であり、
織田信長ではない。(注:織田信忠は岐阜城)
僕は、陪臣になるので織田信忠に、挨拶は出来ない。
光泰 「兄上が、余計な事を言うから、
安土まで来なくては、ならなくなったのですよ」
光慶 「実に羨ましいのう」
光慶は、何も解っていない。むしろ、手柄の様に考えてやがる。
まあいいや、おかげでお菓子の材料費を、ちょろまかす事が出来た。
(研究と称して、資金を出させた)
新しいスイーツで、高感度アゲアゲ作戦、開始だ。
大広間にてお頭を下げながら信長を待つ。
少し経って信長と、蘭丸らしき男がやって来た
信長 「面を上げよ」
頭を上げ、信長を見た。
明智光秀「我が次男、光泰で御座います」
光泰 「明智十次郎光泰に御座います」
右隣が蘭丸か、おや?左に黒人が居る。
光泰 「上様に、献上したき菓子が御座います」
プレゼントは、事前に連絡済みである。(ヤラセです)
僕は箱を取り、プレゼント用に作らせた
特製の湯呑みを振り皿に移した。
材料は牛乳、鶏卵、黒砂糖、黒蜜、黒胡麻、
黒蜜プリンである。
信長 「黒いプリンか」
まさか織田信長は、プリンを知っていたのか。
あんまり驚いてはいない。
明智光秀の野郎、新しい菓子を織田信長に献上したくなかったのか?
信長 「菓子の名は、何と言う」
名前は決まっている。黒蜜プリン改め
光泰 「安土風鈴と申します」
信長 「黒いから安土か。単純じゃのう」
プリンは六個、用意した。
織田信長の注文した数である。
まず、毒味役が一口食べて、信長に渡す。
信長 「まあまあじゃな」
信長は、二個食べた。
残りは、側室にでもあげるのだろう。
信長 「宗易(千利休)が、持ってきたあれを」
蘭丸 「畏まりました」
蘭丸は箱をもってきた。
信長 「持ってゆけ」
光泰 「有難き幸せに存じまする」
信長 「下がれ」
織田信長との会見は終わった。
時間にすると、八分ぐらいだった。
全部、事前に打ち合わせた通りに終わった。
プリンのレシピを、織田家の料理頭に渡し、
安土城内の明智家屋敷に戻った。
茂兵衛「おかえりなさいませ」
光泰 「上様は何をくれたのかのう」
箱の中身は、黒い茶器だった。
光秀 「大したものでは無いな」
明智光秀の評価は厳しい。
茶碗を貰っても嬉しくは無かった。
茂兵衛「お持ち致します」
光泰 「いや、わしが持つ」
なんだか、割りそうに思えた。
光慶 「茶碗を貰ったのか」
光泰 「欲しくてもあげませんよ」
光慶 「弟から奪ったりはせぬ」
しかし、茶器を貰うとは、期待されているのかな?
信長 「明智十次郎光泰か・・・覚えておくか」
元々、弥助の話を書く予定でした。
その為、1582年編を先に書いていました。




