5 十次郎 ガラシャと出会う
午前の勉強の時間が終わり、
休憩しながら、次にすることを考えた。
十次郎「爺、城の見回りをするぞ」
爺 「若様、見回りは家臣がするものですぞ」
見回りは方便で、本当の目的は城の探索なのだが、
ここで諦める訳にはいかない。
十次郎「見回りする者は皆、大人であろう。
子供の目線でしか、見えない問題点があるやもしれぬぞ
たとえば子供は、大人より音に敏感じゃ。それに目も良い」
爺 「確かに、これは爺の盲点でした。」
よしこれで城の探索ができる。
僕は立ち上がり、探索を始めようとすると、爺が着いてきた。
十次郎「爺、部屋で待っておいても良いのだぞ?」
爺 「爺は、若様の目線を見とう御座います」
なんだかやりにくい。
僕と爺は城の見回りを始めた。
中庭には雪がすこし積もっている。
中庭に綺麗な着物を着た、中学生ぐらいの女の子と、
5才くらいの男の子がいた。
?? 「乙寿丸、こっちですよ。」
乙寿丸「はい、あねうえ」
女の子が、手招きして男の子を呼んでいる。
?? 「乙寿丸、虫さんがいますよ」
乙寿丸「むしゅさん」
?? 「突っつくと丸まりましたよ」
乙寿丸「まるゅまった」
もしかしてこの女の子は、ガラシャではないか。
声をかけてみるか。
十次郎「姉上、なにをしているのです」
珠子 「乙寿丸と、雪遊びをしているのですよ」
雪遊びをするほど積もっていない。
十次郎「乙寿丸、楽しいか」
乙寿丸「あにうえ、ゆき、ちゅべたい」
5才と思ったがもう少し下だな。
ガラシャは年上だし、織田信長や豊臣秀吉と、
会っているかもしれない。
だが、いきなり聞くのは変なので、
十次郎「姉上、熊千代様はどんな人ですか?」
珠子 「熊千代様ですか?見た感じでは硬いかんじですね」
よく解からない。
珠子 「十次郎は、私の事を、心配しているのですか?」
いやアナタはこの中で、一番長生きする確率が高いのですけどね。
十次郎「熊千代様は、名門細川家の者。明智家を下に見ていて、
姉上が肩身が狭い思いをするのではないかと心配するのです」
珠子 「大丈夫だと思いますよ」
大丈夫ですけどね。
女の子だし少し褒めるか。
十次郎「それに姉上は美しく、他の者が嫉妬するかもしれませぬ」
珠子 「十次郎は、口がうまくなりましたね」
珠子姉さんは笑っている。
十次郎「所で姉上はお館様にお会いしたことはございますか?」
珠子 「小さい頃に、お会いしたことがありますよ」
十次郎「どんな人でこざいますか」
珠子 「真面目そうで、優しそうな方ですかね」
優しそう?信長が?イメージが違いすぎる。
織田信長は怖そうなイメージなのだが。
珠子 「そういえば一度、私を側室にする噂がありましたね」
えっ?信長との年齢差は30才ぐらいありそうですけど
いや、これはもしかして
十次郎「あの、お館様の名はなんと言うのですか?」
珠子 「信忠様ですよ」
織田信忠?
知らねーよ!!!!!
珠子を側室にする噂は創作です。
年齢が近いので可能性があると思いました。
爺は十次郎の傳役です。
十五郎には別の傳役が付いてますがまだ登場しません。
珠子と熊千代は会ったこが無い可能性が有り、見たのは手紙です。