4 十次郎 勉強する
爺は、戦の話だと饒舌になり、その他の事は
あまり知らない、もしくは興味が無いようだ。
爺は明智家の古くからの家臣で、斎藤道三が負けたあと、
明智一族はバラバラになり、明智光秀が織田家の家臣となるまで
美濃の国で待ち続けた忠義者だそうだ。(本人談)
爺 「さて、爺の話はこのぐらいにして御勉強を始めましょうか」
漢文を書き写すのを1時間ぐらいした。
爺 「若様、かなりご上達されましたな」
小学生の頃、習字教室に通っていた事が役に立った。
そういえば明智一族で有名人は、明智光秀以外でいないのだろうか。
たしか細川ガラシャは明智光秀の娘だったはず。
ガラシャは姉か妹になるが、本名が解からない。
十次郎「爺、細川家はどのような人達がいるのじゃ」
爺 「珠子様の嫁がれる細川様のことですか?」
十次郎「そうじゃ」
爺 「細川様は今は、長岡藤孝と名乗っておりまする。」
細川家は長岡家なのか?
まさか歴史が違うのだろうか。
十次郎「なぜ、名前をかえたのじゃ?」
爺 「将軍様が京の都から追放された後、織田家に仕える際
足利家の家臣として有名な細川の名では、
都合が悪かったので御座います」
ガラシャこと珠子は、本能寺の変の後、生き残っているので
5年以内に細川家ではなく長岡家に嫁ぐ。
年齢は解からないが、姉の可能性が高い。
十次郎「姉上のお相手は、どのような人じゃ」
爺 「熊千代様は紀州で初陣し、来年元服なされます」
十次郎「誰と戦ったのじゃ」
爺 「松永久秀で御座います」
十次郎「松永久秀?」
爺 「主君を殺め、寺を焼き、領民に厳しく、
お館様を三度も裏切った極悪人で御座います」
(注:爺は大和国に、行った事が有りません)
十次郎「三度も裏切ったのか?」
爺 「殿とは、大違いでございます」
この先の事を知っている僕は、
爺には明智光秀が後に最も有名な裏切り者になることを、
とても言えないと思った。
時系列がおかしいかもしれません