27 十次郎 あせる
もっと初菊と、お話がしたい。
一応言っておくが、ストーカでもロリコンでもない。
乙寿丸にヨーヨーの技を見せている。
最近は初菊も慣れたようだ。
乙寿丸「あにうえ、すごい」
乙寿丸をダシにして、初菊に会いに行く作戦。
実に完璧な作戦だ。
乙寿丸「これはなんですか、あにうえ」
十次郎「これは初菊にあげるものじゃ」
お菓子作り用の、ハートや動物の形をした型抜き器具だ。
初菊 「これ以上、贈り物を受け取れば、十次郎様の愛妾と思われてしまいます」
十次郎「いっそ成ってくれぬかのう」
初菊 「まだ、早うございます」
十次郎「では、いずれ成ってくれると」
初菊 「知りません」
うん、可愛いらしい反応だ。
乙寿丸「あにうえにはまだ、はつぎくを、さしあげませぬ」
初菊 「乙寿丸様が、大きく成るまで、お世話をさせていただきます」
ああ、変われるものなら、変わりたい。
それから来年に、亀山城へ引っ越しする事が決まった。
爺 「お引っ越しの準備は進んでおりますかな」
十次郎「ようやく、この城にも慣れてきた所じゃったのに」
爺 「亀山城は守りに適した堅城で御座いまして~(以下省略)」
爺の長い話を、聞き流しながらこの先の事を考えた。
十次郎「早急に、焼き物屋の店主を呼んでおいてくれ」
爺 「畏まりました」
店主に、今後の話をしておかないといけない。
爺 「また、なにか頼むので?」
十次郎「あの店主は、先見の明があるからのう」
焼き物屋の店主は、坂本城の地の利を解っている。
西に京の都、東に琵琶湖がある、この地は
流通拠点として発展性がある事を、いち早く見抜いていた。
堺の町の方が本当は良いのだが、町衆と呼ばれる大商人が
支配していた為、まだ小さい町だった坂本に目を付けたそうだ。
十次郎「忙しくなるのう」
爺 「新しい城は、いつ見ても楽しゅう御座います」
亀山城より、坂本城の方が本能寺に近い。
十次郎「戦略の立て直しをせねばな」
爺 「亀山城を、どう活かすかですな」
違うけど、まあ良い。
本能寺の変が亀山城で、スタートするならどうすれば良いか、
考えながら1579年が、終わろうとしていた。
1579年編終ります




