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23 十次郎 商談する

店主 「ヨーヨーでございますか」

十次郎「どうじゃ、面白そうじゃろ」


店主にも、ヨーヨーをやらせてみる。


店主 「若様のように、中々上がりませぬが?」

十次郎「半分ぐらい落ちたら、腕を上げるのじゃ」

店主 「これは、面白いで御座います」

十次郎「売れると思うか?」

店主 「少々作るのに手間がかかりますが、儲けられましょう」

十次郎「そうか、売れるか」

店主 「しかし、名が”ヨーヨー”では解りにくいかと」

十次郎「なにか良い名はあるか」

店主 「”ヨーヨー独楽こま”でよろしいでしょうか」

十次郎「それでよかろう」


そうだ、あれも見せてみるか。

十次郎「あと、こんな物も有るのじゃが」

店主 「これは竹ですか?」

十次郎「”竹とんぼ”と言う玩具だが知らぬか」


竹とんぼを飛ばしてみる。店主はまた驚いた。

十次郎「これは売れるか」

店主 「簡単に作れましょうから、儲けは少ないかと思われます」


僕でも簡単に作れたからな。


十次郎「そこで、こんなのはどうじゃ」

紐で柄の部分を回し、プロペラの部分だけ飛ばす、玩具の設計図を見せた。

店主 「これは、売れるかと思われます」


店主は感心しながら、設計図を見ている。


十次郎「其方そなたは焼き物屋であったのう」

店主 「はい、他にも手広くやっております」

十次郎「そこでじゃ、この玩具を、武家や公家の子供に見せるのじゃ」

店主 「焼き物の中に入れれば、かさばりませぬので問題御座いませぬ」

十次郎「一緒に売れるであろう」

店主 「竹とんぼを、土産おまけとしてあげても良いかと」

十次郎「なるほど、土産おまけを貰えば、他も買わざる負えないと」

店主 「左様で御座います」

十次郎「ならばこうしてもよいのでは(ゴニョゴニョゴニョ)」

店主 「ではこのように(ゴニョゴニョゴニョ)」


僕と焼き物屋店主は、耳打ちをしながら、利益の分配と悪巧みを話した。


十次郎「焼き物屋、そちも悪よのう」

店主 「いえいえ、若様の方こそ」

十次郎、店主「「ハーハハハハハー」」


十五郎「なにをしてるのじゃ」


まさか、聞かれたか。どう誤魔化そう。


十次郎「今後生まれる、姉上達の子供にあげる、玩具の相談をしているのです」

十五郎「まだ生まれても居ないのに、気が早いのう」

店主 「では、私はこのへんで」

十次郎「うむ、よろしく頼むぞ」

店主は、そそくさと帰っていった。


十五郎「なんじゃそれは」

十次郎「まだ、試作品ですが、遊んでみますか?」


十五郎はヨーヨーを手にした。


十次郎「輪っかに指を入れて下に落としてみて下さい」

十五郎「なんで戻ってくるのじゃ」

十次郎「まりを壁にぶつけた時、戻ってくるのと同じです」

十五郎「これは面白いのう」

十次郎「差し上げましょうか?」

十五郎「良いのか」


そんな、キラキラした目で見られたらな。

十五郎もまだまだ子供だ。

今回は、乙寿丸には竹とんぼをあげるか。

店主に、新しいヨーヨーの注文をしておかないとな。

竹とんぼは歴史が古いですが

流行ったのは江戸時代からです。

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