2 十次郎 決意する
江戸時代じゃなかった。
戦国時代だった。
しかも明智家だった。
「それで父上はどうしたのじゃ」
爺の話は続いている。
父上は、明智光秀。
戦国時代で、一番の裏切り者じゃねえか。
しかもまだ生きている。
つまり本能寺の変の前、織田信長の家臣の頃だと、
爺の話でわかった。
さてどうしようか。
「若様、夕餉(夕食)の支度が整いました」
中年の女性がやってきた。
「では、十五郎様、十次郎様、話の続きはまた今後で」
「うむ、中々面白かったぞ」
この子供の名前は明智十五郎と言うことになる。
立ち上がると十五郎のほうが大きかった。
もしかして明智十五郎は、十次郎の兄なのだろうか。
とりあえず兄上と読んでみるか。
「兄上」
「なんじゃ、十次郎」
よし、今度は
「お館様は、今年でいくつになられたのでしょうか?」
「いきなり変なことを聞くのう」
信長の年齢がわかれば本能寺の変がいつ起きるかわかる。
「たしか、四十四歳だったかのう」
信長は、人間五十年とよく歌っていたらしいから、
50才くらいに死んだ可能性が高い。
昔は数え年だから一年減らして49才として
5年後ぐらいか?信長が死ぬのは。
たしか本能寺の変は、1582年6月だったから、
今は1577年だと思う。
5年後、本能寺の変が起きる。
そう予測した僕は、夕ご飯を食べながら考えた。
さてこれからどうしようか。
このまま何もしなければ、明智光秀が信長を殺し
秀吉が敵を取るはずだ。
そうなった場合、明智の子供はどうなるか。
たしか、切腹させられると思う。
さすがに嫌だ。
5年以内、に何かいい方法を思いつくしかない。
「十次郎、なにボーとしておる。はよう食べぬか」
向かいには兄、十五郎がいる。
「兄上」
「なんじゃ」
「明智家を盛り立てていきましょうぞ」
「爺の真似か?」
本能寺の変を回避することを決意した。
セリフがおかしいかもしれません